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オタク、マッチングアプリで女性と会う(序)

人と人との社交の場、出会いの場はリアルからどんどん減っている。事態に拍車をかけたのはコロナ禍…と、なんでもかんでもコロナのせいにするんじゃあない。ときは令和、マッチングアプリ黎明期。

現代社会をひた走る僕も、ひっそりと断続的にマチアプを続けています。とはいえ無課金ユーザーだし、気が向いた時にアプリを開く程度。窓拭きをするように画面を左右にスワイプし、1〜2分ほどでアプリを閉じます。そんな日々の積み重ねが功を奏し、女性とマッチすることも稀にある。律儀に毎日アプリを開いているわけではないので、データとして信憑性には欠けるが、月に1人2人くらい。マチアプ上位プレイヤーの皆様ならお分かりでしょうけど、マッチしてからが難関なのだ。とにかく会話が続かない。「こんにちは、マッチありがとうございます」「こちらこそ、よろしくお願いします」この1度きりのラリーを何度繰り返したことか。マチアプでは、男も女も、老いも若きも、みな数との勝負をこなしている。とにかく数、数、数を捌く。必然、1人1人への熱の注ぎ方は薄れていく。とりわけ、アプローチを受ける数の多い女性側はこの傾向が顕著でしょうね。

さて、長期にわたる戦のすえ、僕は1人の女性と実際に会う約束を取りつけるまでに至った。イン・ターネット大陸の先住民たちは、これと似た催事を「おふかい」などと呼んでいたそうな。どのような漢字を当てるのだろう。「悪怖会」とか?まあよい。

女性と会えるからといって、しかし、浮き立ってばかりいられない。懸念点だっていくつかある。まず、マッチしてから会うまでの期間がたったの3日だ。こう言うと、なかなか女性と会えずヤケになった僕が、勢いのままけしかけたように思われるかもしれない。が、誘ってきたのは女性側だ。マッチしてテキストでのやり取りをすること、ものの2時間弱。「今度お茶しよう」と言われ、意表をつかれた。女性を疑うのは気が引けますが、さすがに何かの勧誘か、あるいは美人局かと勘繰ってしまう。加えて、相手のプロフィールに顔写真はおろか、身体の部位が映った画像が1枚もない。ちょっとエモげな風景の写真のみ。これはますます怪しい。けれど、もし仮に相手が紛うことなき一般女性だった場合、マッチ相手との初の対面を不安に思う気持ちは僕と同じか、またはそれ以上でしょう。というわけで、互いの不信感を払拭すべく、通話で声や雰囲気を確認し合いました。

結果、訝る気持ちはだいぶ薄れました。とはいえ、僅かに疑念は残っていますが。しかし、声を聞くということが、これほど他人への解像度を上げる要因になるとは…驚きです。今まではぼんやりとした黒い霧のような生命体と話しているような気持ちでしたが、それが一気に人の姿形になり、目耳鼻口などのパーツが埋め込まれ、イメージ像が浮かび上がった。目で見たわけでもないのに、いやはや人間の想像力には脱帽です。

これから、件の女性と会ってまいります。その一部始終については、当記事に追記する形でお伝えしようと思います。記事を更新しましたらタイトルも変更しますので、もしよければ再び足をお運びください。それでは、ひとまずこれにて。

さて、こう書いたはいいものの...。いざ家を出発しようと思ったら、メッセージが1件届いているではないか。この時間に連絡が来るとすれば、思い当たるものは1通りしかない。嫌な予感だなあ。

残念ながら、僕の嫌な予感というやつは九分九厘的中してしまう。そうさ。マチアプ女性からドタキャンの連絡だったさ。ふん、笑うがいい!それみたことか、貴様のようなオタクがマッチングアプリで一般女性と出会えると思ったか!思う存分バカにするといい。

しかし、希望が完全に消え去ったわけではない。話はここからだ。いわく「熱っぽくてコロナにかかったかも💦」とのこと。このまま、夏が終わるように僕たちの関係はフェードアウトしていくんやなあ、と思ったのですが、なんと日程の再調整を依頼された。もし、僕との関係を断ち切るつもりならば、キャンセルの連絡をしたのちブロックをすればいい。というか、最悪バックれたってかまわない。なのに、キャンセル後もメッセージのやり取りは続いているのです。

で。リスケしまして、会うのは26日になりました。5日後です、焦らしおってからに。しかしコロナならば仕方がありません。しっかりと療養していただきたい。チャットを続けているところを見ると、完全に僕に興味を失ったわけではなさそうですし、まだ期待してよいはずだ。

コメント欄でワクワクして下さった方々には申し訳ないのですが、進展があるのはもう少し先になりそうです。今しばらくお待ちください。というか、僕だってこの先の展開が気になるんだぞ!(大逆ギレ)

◆続きです

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