音楽ビジネスを変えていくのはミュージシャン


現代ではマルチな能力を発揮しないとやっていけない流れになってきていますが、これは加速していくでしょうね。
たとえばミュージシャンでありながら、営業や広告代理店業務、A&Rまでやってしまうといったような。
実際にそういう活動をしている若手ミュージシャンとの出会いもあり、益々面白くなってきたなと感じています。

CDが売れていた頃は、レコーディングエンジニア、アレンジャー、またはレコード会社の宣伝担当、事務所のマネージャーというように、業務がはっきり分かれていて、それぞれの分野でスペシャリストが能力を発揮すれば仕事が成立していました。

でも今はレコーディングエンジニアでありながら、アーティストのプロデュースやマネジメントもやるということは珍しいことではなくなってきました。

昔は音楽の経験がなくてもレコード会社のディレクターやA&Rはできたのですが、これからは特に制作に関わることは経験者じゃないと難しいだろうなと感じています。
例えば作詞や作曲はもちろん、楽器も弾けてボーカリストとしてステージの経験もあるというようなことですね。

音楽経験のないディレクターがアーティストに対して指導をしていても、アーティスト側から「この人音楽をわかってないじゃん」と思われていて、売れたら言う事を聞いてもらえなくなるというようなことが、レコード会社にいた頃には見かけることもありました。

まぁそれでもシステムがしっかり組み上がっていたし、業界全体で言えばCDは売れていたので大した問題にはなりませんでしたが。

戦後、日本で音楽ビジネスの創成期には、プロダクションの創業者はミュージシャンであることが多かったのです。
その後は企業として大きくなり、新卒で社員を募るというように、一般企業と同じような流れになっていったために、音楽ビジネスもサラリーマン社会になり、他の業種と同じように売り上げ至上主義になっていってしまったという歴史があります。

ところがCDが売れなくなったことで音楽業界も崩壊しましたから、これから新しいビジネスモデルを構築していかなければなりません。
その時代を作っていく中心的存在は、やはりミュージシャンだと思うのです。音楽をわかっている人がこのビジネスを作り上げていくのです。
今現在実績があるとかないとかは関係ありません。

業界という考え方ももう存在しないかもしれませんが、とにかくアーティスト単位でマネジメントもレコード会社的役割も兼ね備えた活動というのが主流になるでしょう。
今まではこうだったからというのが成り立たなくなりましたから、逆に言うとやりやすい環境なんだと思いますね。

戦後の焼け野原の中から、個人商店が世界の企業になっていくということを経験していますから、音楽の分野でもそういったことが可能だと思っています。
今はまだカオスな状態なので、まだやりにくいことはあるかもしれませんが、ここからはとても面白い世界が展開してくるでしょう。
今までとは全く違う発想で取り組んでいくことです。
今はまだ小さい流れでも、ある時から手応えを感じるようになるはずです。
時代が大きく変わるエキサイティングな時ですから、思い切ってやりたいことを形にしていきましょう。

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