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【必見】知識を深める!アナボリックステロイドの最初の教科書


はじめに

この記事ではアナボリックステロイドの概要から始まり、その作用機序や効果、副作用などを深く解説する教科書です。やや難しい話もありますが、ステロイドユーザーの方が知識を深める事はもちろん、ステロイドを使用するつもりはないが、より深い知識をつけたいと考えている方へオススメです。

アナボリックステロイドとは

アナボリックステロイドは、筋肉の増強やパフォーマンス向上を目的として使用される薬物の一種です。もともとは医療用に開発されましたが、その効果に注目したスポーツ選手やボディビルダーが利用し始め、今では一般のトレーニーにも広く知られるようになりました。ただし、その効用と同時に副作用のリスクや倫理的な問題も抱えているため、正しい知識を持って理解することが大切です。

歴史

アナボリックステロイドの歴史は、20世紀初頭にまでさかのぼります。1930年代にドイツの科学者によってテストステロンが初めて合成され、そのアナボリック作用が確認されました。テストステロンは男性の二次性徴に関与する重要なホルモンで、筋肉量の増加、骨密度の維持、体毛の発達などに寄与します。

1950年代には、医療分野で成長不全や慢性消耗性疾患の治療薬として使われるようになりました。一方で、スポーツ界でもその効果が注目され、1960年代には競技者による使用が拡大。1970年代以降は、スポーツでの使用が問題視され、オリンピックや各種スポーツ競技で禁止薬物リストに加えられるようになりました。

用途

アナボリックステロイドには、医療目的での使用と、非医療目的での使用があります。

医療用途:

  • 成長ホルモン分泌不全:成長障害のある子供や成人に使用されます。

  • 性腺機能不全:男性ホルモンが不足している場合に処方されます。

  • 慢性消耗性疾患:エイズやがんによる体重減少や筋肉萎縮の治療に使用。

  • 骨粗しょう症:骨密度の減少を防ぐための治療に使用。

非医療用途:

  • 筋肉増強:ボディビルダーが筋肉を増やすために使用。

  • パフォーマンス向上:スポーツ選手が競技能力を高めるために使用。

法規制

アナボリックステロイドは、医療で必要な場合に、適切な指導の下で使用されるべきですが、その作用から非医療目的での使用が広がり、多くの副作用や健康リスクが報告されています。これに対応して、多くの国ではアナボリックステロイドの違法な使用や取引に対する法規制が強化されています。

アメリカ:
アナボリックステロイドは「コントロールド・サブスタンス法」に基づく規制薬物に指定されており、医師の処方なしに所持・使用することは禁止されています。
日本:販売、譲渡などは違法ですが、個人の所持・使用合法です。

アナボリックステロイドの作用機序

アナボリックステロイドがどのよう作用するかを理解することは、その効果やリスクを知る上で非常に重要です。アナボリックステロイドが体内でどのように作用し、筋肉の増強や脂肪の減少といった効果をもたらすのかを説明します。

ホルモンの種類と構造

アナボリックステロイドは、自然に生成されるホルモンであるテストステロンと非常に似た化学構造を持つ合成ホルモンです。これらはテストステロンと同じような作用を持ちます。自然に生成されるホルモンは下記の2種類があり、それぞれを模倣したアナボリックステロイドが数多く存在します。

テストステロン:
男性の主要な性ホルモンで、筋肉の発達、骨密度の維持、性欲の向上などに関与します。

ジヒドロテストステロン (DHT):
テストステロンが体内で変換されて生成される強力なアンドロゲンです。男性の二次性徴の発達や、筋肉の増強にも影響します。

アンドロゲン受容体との相互作用

アナボリックステロイドは、体内に摂取されると血流に乗って全身に運ばれ、各組織の細胞内に存在するアンドロゲン受容体 (AR) と結合します。この受容体は特定の遺伝子を活性化し、タンパク質合成を促進します。その結果として2つの主要な作用を持ちます。

アナボリック作用(筋肉増強作用):
筋肉タンパク質の合成を増加させ、筋肉量を増やします。
骨密度を高め、骨の強度を向上させます。
赤血球の生成を増加させ、酸素運搬能力を高めます。

アンドロゲン作用(男性化作用)
男性の二次性徴の発達を促進(例:声の変化、体毛の増加)。
性欲や精子形成の維持に関与。

アロマターゼと5α-レダクターゼ

アナボリックステロイドの作用には、2つの酵素が関与しています。

アロマターゼ:
テストステロンをエストロゲン(女性ホルモン)に変換する酵素。アナボリックステロイドの一部は体内でエストロゲンに変換され、副作用として女性化乳房を引き起こす可能性があります。
5α-レダクターゼ:
テストステロンをジヒドロテストステロン (DHT) に変換する酵素。DHTは強力なアンドロゲン作用を持ち、アナボリックステロイドの男性化作用に影響します。

代表的なアナボリックステロイドとケア剤

アナボリックステロイドには多くの種類があり、それぞれが異なる特性と効果を持っています。ここでは代表的なアナボリックステロイドを、経口薬と注射薬の2つに分けて紹介し、それぞれの特徴と違いについて説明します。

経口ステロイド

錠剤の形で摂取できるアナボリックステロイドです。肝臓で代謝されるため肝臓への負担が大きくなる一方で、使用方法が簡単という利点があります。

メタンジエノン(ダイアナボル):
強力なアナボリック作用と適度なアンドロゲン作用を持ち、筋肉量と筋力のを大きく増やすことが出来ます。
オキシメトロン(アナドロール):
非常に強力なアナボリック作用を持ち、短期間での筋肉増強に使われます。
スタノゾロール(ウィンストロール):
アナボリック作用の割にはアンドロゲン作用が低く、減量サイクルでよく使われます。
オキサンドロロン(アナバー):
比較的安全とされる経口ステロイドで、筋肉量の維持や減量期に使用されます。

注射用ステロイド

注射薬は筋肉に直接注射されるため、経口薬に比べて肝臓への負担が少ないです。エステル化されている薬剤は体内でゆっくりと放出されるので、長期間にわたって作用します。

テストステロンエナンセート:
男性ホルモン(テストステロン)と同様の作用をもち、筋肉量と筋力の増加に使用されます。
ナンドロロン(デカ・デュラボリン):
強力なアナボリック作用を持ち、筋肉増強と関節の保護に使われます。
トレンボロン:
非常に強力なアナボリック作用を持ち、筋力と筋肉の増強に使用されます。
ボルデノン:
動物用ステロイドとして開発されたもので、筋肉増強に使用されます。

エステルの種類

アナボリックステロイドのエステルには、ショートエステル(短期間作用)とロングエステル(長期間作用)の2種類があります。

ショートエステル:
アセテートやプロピオン酸エステルのような短期間作用型。数日で効果が現れますが、頻繁な注射が必要。
例:テストステロンプロピオネート、トレンボロンアセレート
ロングエステル:
エナンセートやデカネートのような長期間作用型。数週間にわたってゆっくりと効果が現れます。
例:テストステロンエナンセート、トレンボロンエナンセート

ケア剤

副作用を抑えるため、以下のような薬剤が使用されます。

アロマターゼ阻害薬:
テストステロンのエストロゲンへの変換を抑制する薬剤。
例:アロマシン

選択的エストロゲン受容体モジュレーター (SERM):
エストロゲン受容体を阻害し、女性化乳房を防ぐ薬剤。
例:ノルバデックス、クロミッド

プロラクチン阻害薬:
プロラクチンの分泌を抑制する薬剤。
例:カベルゴリン

肝保護剤:
肝毒性を抑えるために使用される薬剤。
例:ウルソデオキシコール酸、シリマリン

アナボリックステロイドの効果

正しい使い方をすれば筋肉量の増加や体脂肪の減少など、メリットのある効果を発揮します。その代表例を説明していきます。

筋肉量の増加

最も代表的な効果は筋肉量の増加です。ステロイドは筋タンパク質の合成を促進するため、トレーニングと組み合わせると筋肉が速いペースで増えます。
まず、アンドロゲン受容体の活性化により、筋タンパク質の合成が増加し、筋肉の肥大を促進します。減量においても筋肉量の維持を助け、脂肪を減らしながら筋肉を保つことができます。

体脂肪の減少

体脂肪の減少にも効果があります。体脂肪の分解を促進する酵素の活性が高まる事で脂肪が燃焼します。また筋肉量の増加に伴い基礎代謝が上がること
基礎代謝の向上:筋肉量の増加により、基礎代謝が上がり、カロリー消費量が増えます。

筋力の向上

筋肉量の増加に加えて、筋力とパワーも向上させます。筋タンパク質の合成、特にミオシンやアクチンといった筋収縮に関与するタンパク質の量が増加するため筋肉の収縮力が強化され、その結果として筋力が向上します。また中枢神経系における神経伝達効率を向上させ、筋肉と神経系の連携を強化します。

モチベーションの向上

男性ホルモンの増加に伴い、積極性や競争心が高まり、モチベーションが向上します。また集中力が高まる効果もあり、ハードなトレーニングを続けることができるようになります。

アナボリックステロイドの副作用

筋肥大の効果もある反面、身体や精神への副作用も数多く存在します。特に、長期間の使用や不適切な使用は健康に大きな悪影響を及ぼします。その代表例を説明していきます。

ホルモンバランスの乱れによる副作用

女性化乳房:
アナボリックステロイドの一部は、体内でアロマターゼという酵素の作用によりエストロゲン(女性ホルモン)に変換されます。
エストロゲンの増加により、男性でも乳腺組織の発達が起こり、乳房が大きくなる女性化乳房の症状が現れることがあります。

性腺機能抑制:
アナボリックステロイドの過剰摂取は、視床下部-下垂体-性腺軸 (HPTA) の抑制を引き起こし、精子形成やテストステロンの自然分泌が減少します。
これにより、性欲減退や勃起不全を引き起こします。

顕著な男性化(多毛、声の変化):
アンドロゲン作用により多毛症や声の変化、頭髪の抜け毛などの症状が発生します。

心臓や血管への副作用

高血圧:
アナボリックステロイドの使用は血圧を上昇させる可能性があり、長期間の高血圧は心臓や血管に負担をかけます。

コレステロール異常:
善玉コレステロール (HDL) を減少させ、悪玉コレステロール (LDL) を増加させます。動脈硬化や心血管疾患のリスクが高まります。

心筋肥大:
心臓の筋肉である心筋の肥大を引き起こすことがあります。心機能の低下や不整脈、心不全のリスクが高まります。

肝臓への副作用

特に経口アナボリックステロイドは肝臓で代謝されるため、肝臓に負担がかかります。長期間の使用により肝機能障害や肝炎、肝臓がんのリスクが高まります。

精神的な副作用

ロイドレイジ:
アナボリックステロイドの使用は一部のユーザーで攻撃性を増加させます。日常生活や人間関係に悪影響を及ぼすことがあります。

うつ症状や不安:
長期間のアナボリックステロイド使用を中止した後、体内のアンドロゲンレベルの低下により、うつ症状や不安感が現れることがあります。

ステロイドへの依存:
オンサイクルの筋肉量やモチベーションの増加に対して、オフサイクルでそれらが少なからず減少してしまうことから、ステロイドに依存してしまうようになります。

アナボリックステロイドのサイクル

アナボリックステロイドを使用する場合、特定の計画に基づくサイクルを設定します。効果を最大化し、副作用を最小限に抑えるためです。ここでは、さまざまなサイクルについて詳しく説明します。

サイクルの構成

オンサイクル:
アナボリックステロイドを使用して筋肉を増やす期間。

PCT(ポストサイクルセラピー):
オンサイクル終了後に、ホルモンバランスを正常に戻すための治療期間。

オフサイクル:
PCT終了後に、身体の回復を促す期間。

サイクルの詳細

バルクアップサイクル:
オーバーカロリーで筋肉量の増加、筋力向上を目指すサイクル。
テストステロンエナンセート、ナンドロロン(デカデュラボリン)、トレンボロンエナンセート、オキシメトロンなどを使用。

カッティングサイクル:
筋肉量を維持しつつ、オーバーカロリーで体脂肪を減らすサイクル。
テストステロンプロピオネート、トレンボロンアセレート、マステロン、スタノゾロールなどを使用。

スタック:

異なる種類のステロイドを組み合わせて使用する事。組み合わせることにより、副作用を抑えて筋肉量を増加させることができる。系統の違う薬剤を組み合わせたスタックが基本。テストステロン、トレンボロン、マステロンなど。

ピラミッドサイクル:
少ない使用量からはじめ、徐々に増やしていき、サイクルの終わりに向けて再び減衰させていく方法。体がステロイドに慣れるようにすることで副作用を抑える目的で実施する。

PCT(ポストサイクルセラピー):
オン・サイクル終了後に実施し、体内のホルモンバランスを正常に戻すサイクル。特に睾丸、性腺機能を回復させ、テストステロンの自己生成力を回復させるために、hCGやクロミフェンといった薬剤を使用する。

最後に

ここまでステロイドの基本的な知識や作用機序、効果や副作用、サイクルなどを説明してきました。主に教科書的な内容でしたが、より実践的な内容については下記を参考にしてもらえると嬉しいです。


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