マジックの本を称賛するだけの文章(Magic Between Friends)

注意:この文章ではただ私が私の感じるままに、マジックの良書を褒めるだけの文章です。

タイトル: 『Magic Between Friends』
編集: Asi Wind、John Graham
出版年: 2024年
ジャンル: カード、その他 

『Magic Between Friends』はAsi Wind氏、John Graham氏がセッションの中で生み出したマジックを4作品掲載した書籍です。

Asi Wind氏はイスラエル出身のマジシャンであり、米国で活動しています。米国のテレビ番組「Fool Us」にも出演し、Penn and Tellerから賞賛を受けた才能ある方です。日本でもDVD『Three Card Routines』が大きな話題を呼びました。

John Graham氏は米国のマジシャンで、ショーの開催など精力的に活動しています。これまでに彼の作品をまとめた書籍としては『Stage by Stage』『Encore』『Afterglow』があり、どれも高い評価を受けています。

本書はAsi氏とJohn氏がセッションで生まれた作品を2人のコメンタリーとあわせて解説しています。作品はJohn氏の代表的な作品「Final Sale」のバリエーションや2人の共通的な強みであるカードマジックを2作品、さらにはコメディ要素の強い作品が掲載されています。作品の解説の前には2人によるコメンタリーも付いています。
本書も魅力的な作品が多いため特定の作品を取り上げるというのは心苦しいのですが、この文章では特に「Final Sale (Extended)」「Anybody & Nobody」についてコメントしたいと思います。

「Final Sale (Extended)」はJohn Graham氏の有名なマジック「Final Sale」にAsi Wind氏のこだわりが追加された作品であり、現象に対する考えが浮き彫りになる作品となっています。本書には「Final Sale」も掲載されていることから原作の持つ素晴らしさや完成度の高さを知った上で、Asi Wind氏のこだわりを理解することができます。Asi Wind氏のマジックはどれも完成度が高いという特徴を持ちます。こういった特徴はマジシャン全員に見られるものではありません。その秘密の一端を担う作品に対するアプローチの違いを理解することができます。特に本作品では原作が既に完成度が高いことから、まさにわずかな違いによる大きな変化を実感することができます。

また、「Anybody & Nobody」はバリエーションにおける変化の作り方という観点で興味深いなと感じました。ハンドリングを変えることでカバーの最適化を行うようなバリエーションや現象を増やす、変えることでインパクトを強化するようなバリエーションがありますが、殻を破るという意味ではプロットに縛られず、検討していくことも1つのオプションです。「Anybody & Nobody」は「Unshuffled」を起点とし、Nimrod Harel氏のアイディアを発展させたものです。「Unshuffled」が持つ現象はそのままにプロットに大きな変化が加わっています。結果、カバーとしてもインパクトとしても原作と比較の難しいものに変貌しています。

まとめると『Magic Between Friends』はAsi Wind氏、John Graham氏による作品集であり、短いながらもエッセンスが詰め込まれたものとなっています。目線を変えるという意味でもおすすめできる書籍だなと感じています.

以上が『Magic Between Friends』について勝手に本を称賛した文章でした。この文章は決して書評ではありません。ただ褒めるだけの文章です。力不足ながらも、この本が持つ魅力の一片を伝えられれば幸いです。


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