「雲に乗りたい。」~アル中・徒然日記 その50~
喫煙所の窓から雲を眺めていて。
と、ある仲間が言った。
「ねぇねぇ、雲に乗りたいって思った事ない?」
その仲間は、突然意味不明な事を言い出したり行動したり、でもたまに極上の話をしてくれる(「笹かまぼこってさぁ、ツマミにしか思えないんだよねぇ」とか)、気のおけない仲間の一人。
「雲に乗りたいって思う時があるんだ。(ゆび指さしながら)あの白い雲さ、ふわふわしてポンポン弾みそうじゃん」
「う~ん、(雲に乗りたいって思いは)あるっちゃあるけど……でもぽんぽんしてるから落ち着かないと思いますよ。10分もしたら飽きそう(笑)」
「でもさ、あのふわふわした雲の上で昼寝したら気持ちいいよきっと」
「う~ん、確かに気持ちよさそうだけど。今日は多分暑いと思う(笑)」
「そうだよね(笑)」
一瞬の間。
「でもさ、あの黒い雲。白い雲に続いてる向こう側にあるじゃん。あそこには行かないの」
「行かないの?」
「うん、あの黒い雲の所に行ったら落っちゃうじゃん。落っこったら死んじゃう」
「落っこっちゃう?黒い雲の所に行ったら死んじゃうの?」
「落っこっちゃう。落っこちたら死んじゃうじゃん。だから、白い雲のところに行く。ふわふわして気持ちいいだろうなぁ」
「そうか……そうですなぁ」
再び、雲を眺めながら二人でタバコを一服。
『雲に例えて、俺達アル中の話をしているのかな。白い雲は素面。黒い雲は酔っている時。白い雲と黒い雲の境目に俺達はいるのかなぁ。
考えている事が深いなぁ……………………………………………………………………………………………………………とか思わせておいて何も考えていないんだろうなぁいつもみたいにこの人は』
不意に。
「そんな空想しているの、最近(笑)」
……………やっぱりか!!!
(内心、ほくそ笑む)
残暑、お伺い申し訳あげますm(_ _)m