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農業との出会い

「どんな事業やってるのですか?」
「農業体験事業です。」
「すごいですね。」

初対面の方とは9割このような会話から始まります。

相手の事業内容に対して、一言目が「すごいですね」がお決まりトークであることは否めない。

ただ、"農業"と聞くと、とっさにすごい!と思う(言ってる)人は多いのではないだろうか。

独断と偏見だけど、
農業=稼げていない、という先入観があるからだと感じる。
見下しているとかいうわけではなく、潜在的にそういう意識になってしまっているからだと思う。

少し話がそれたが、今回は農業との出会いについて。
農業を仕事にしたい、と思った経緯を語る。

大前提、実家や地元では農業や農家さんとの繋がりが皆無。
小学校高学年から駅前で暮らしてきた自分には、土はもちろん虫なんてもってのほか。
田畑に興味は一切無く、野菜やお米はスーパーでしか見たことが無い程だった。

そんな自分が農業事業を起こすまでの出来事は全部で4つ。

step1. 農業体験
step2. 地元ストーリー
step3. 大学恩師の一言
step4. とりあえずやってみる

step1. 農業体験
大学3年次、
ゼミ活動の一環で農業体験があった。
場所は山形県米沢市。芋掘り、栗拾いを半日経験。

当時は、楽しい反面、
・土で服が汚れる
・虫気持ち悪い
そんなことしか頭になかった。
今になって思うと、せっかく機会を与えていただいたのに申し訳ないほど惨めであった。

step2. 地元ストーリー
2020年9月脱サラ前、
お世話になっている人材派遣会社で勤める方に、当時考えていた事業企画の相談をした。
うちの会社では、地方と都心部とマッチング(特に第一次産業)が需要高まってるよ。
鷹取くんも、地元の岡山を活性化するような事業だと良いのでは?と助言を頂く。

当時は、
・虫も汚れも嫌
・スーツ着てギラギラした社長になりたい
とそんな風に思っていた。

step3. 大学恩師の一言
2020年9月脱サラ前、
お世話になった大学の恩師にも事業企画を話した。
当時、たまたま業務委託で、九条ネギの販路拡大案件を抱えていたことも伝えた。
やりたいことをまず1つに絞りやってみる、特に第一次産業は良いよね、と助言を頂く。

当時は、
・農作業はしたくない(虫と汚れ)
・多くの人と出会う仕事がしたい
そう思ってた。

step4. とりあえずやってみる
なぜそんなに農業が良い、すごい、と注目されているのか、理由が知りたかった。
事業企画段階だったため、とりあえずいろいろやってみようと思い、とりあえず農業体験にチャレンジ。

とは言っても、身近に農家さんは1人もいない。
ましてや、縁もゆかりも無い東海地方では居るはずもなかった。

飛び込み訪問を考えたが、急に若僧が畑に来たら恐怖に感じるし、コロナが懸念となり断念。

次なる手はネット検索。
なんとなく岐阜の農業が盛んだと考えた。
🔍「岐阜 農業」

農家さんのインタビューがまとめられたサイトに行きついた。
そこには、動機や今後の夢が記載されている。
何十人もの方が載っている中で全件チェック。

ほとんどの農家さんが、畑の面積を大きくしたい、販路拡大したい、と書かれていた。

そんな中で1人だけ目についたとある農家さん。
その方のプロフィールには、
移住して、野菜作りを始めると言ったら周りに反対された。それでも努力し続けて美味しい野菜を作るまで至った。
と書かれていた。

めちゃくちゃ面白い人だと思い、Facebookで個人名検索。農業体験させてくださいとダイレクトメッセンジャー。

数ある農家の中で連絡くれた理由や事業内容の深掘り等、いろいろ答えた。
後から言われたが、最初は新手の詐欺だと思われていたみたい。

たしかに今思うとめちゃくちゃ怪しいし、お返事いただけたことがありがたい。

なんとか承諾いただき、訪問させていただくことになった。

訪問までかなりいろいろあったがここでは割愛。

■農家さんに伺って聞いたこと。
●致し方なく農協に卸している
農協との付き合いがあるため。
課題:片道1時間以上かけて持って行くが、利益がどのくらい出るかはわからない。消費者の手元に届けられる前に、別農家さんの物と混同する。直接消費者に届けることができない。農協が指定する商材を取り扱わなければならない。

●農薬を使わざるを得ない
数ある製品を効率的に収穫するため。
課題:農薬のリスク

●休みはない
1人でされているため、風邪でも引くと商品が届けられない。食物は待ってくれないということ。1日でも作業ができないことのリスクの高さ。
課題:家族の時間や、やりたいことの確保

●消費者のもとに直接届けたい
4割は飲食店などに直販している。しかし農作業と並行しつつ、販路拡大するリソース不足。
課題:流通コストや配送時間、営業力と時間の確保。

■農作業と農業の現状から感じたこと
●単純に作業が楽しい
1日目は打ち合わせ、2日目に農業体験をした。
農家さんの思いを聞いた後畑と向き合うと、なぜか作業が楽しいと感じた。(汚れは良いが虫はまだ慣れない)
今まで積極的にボランティア活動はしてないが、
今では月4,5日、農業に関するボランティアを行うほど楽しさを感じている。

●生産者の立場の弱さ
生産者<消費者,農協であること。
私たちはスーパーで食材を買う時、
誰が、いつ、どんな手法で、どのように、作られたか知らない。
それを見た目が良い悪いと判断して購入する。

その裏にある農家さんの思いと苦労を聞いて畑や農家さんへの思いや見方が変わった。
(それまでは野菜の流通等何も知らなかった)

私たちは、生産者の人がいてからこそ、食べて(生きて)いける。
しかし、立場が逆転してしまっている日本の農業の仕組みに疑問を抱いた。

同時に、体の元となる食べ物、
食べなければ生きていけないのに、もっと価格も高くても良いのではと思った。

ただ、昔は自給自足が当たり前、
田畑でできたものから利益を取るという考えがないのだと理解した。

ほとんどの農家さんは言う。
「今のままで良い、稼げなくて良い、自分たちが食べれたらそれで良い。」
そんな屁理屈言ってると、今後ますます日本の農業は衰退していく。

儲かる農業なんて求めてないが、
より生産者と消費者の立場を見直すことが必要だと考える。

そんな仕組みを変えるため、農業に関する事業を進めている。
既存の農家さんからではなく、消費者の方から変えていく。

(農業を通して実現したい社会について、近日公開予定)

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