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ヒグマに遭遇してしまった時

前回は、ヒグマに遭遇しないために気をつけてほしいことについて書かせていただきました。

どれだけ気をつけたとしても、もしかしたらヒグマに出会うことがあるかもしれません。

ご存知の通り、ヒグマに遭遇してしまったら相当危険な状況です。

「死んだふりをすれば良い」という知識のみでは非常に危ないです。

自分とヒグマとの距離がどのくらいかが肝心であり、それぞれに適した対応が求められます。

自分自身や周りの人の命を守るためにも、ぜひご一読いただけたらと思います。


100m以上離れている場合

100m以上離れている場合は、まず「ヒグマがこちらに気づいているかいないか」を確認してください。

・ヒグマに気づかれていない

この時は、「気づかれないように立ち去る」だけです。

走って逃げて気づかれることのないように注意しましょう。

・ヒグマがこちらを見ている

ヒグマに気づかれているが、特に何もしてこない状況の時は、「静かに立ち去って下さい。」

クマの様子をみながら、ゆっくりその場から離れましょう。

見えなくなるまでは、前を向いたまま、下がるのがポイントです。

・気づいているかわからないが、ゆっくりと近づいてくる

人間だということを知らずに来ている可能性があります。

ヒグマに人間だということを知らせるため、石や倒木などに上がり、大きく腕をふりながら、穏やかに声をかける。

・人間だと分かっていても、ゆっくりと近づいてくる

このパターンは、非常に稀なケースです。

上記の行動をとっても接近をやめない場合、興味本位または捕食目的で近づいている可能性もあります。

車内や屋内などに退避してください。

20~50mの距離の場合

・クマが急に現れる

焦らず、ゆっくり両腕を上げてふり、穏やかに話かけながら、静かに移動して下さい。

その際、クマとの間に立ち木などが来るように移動するのが重要です。

クマが立ち上がり、または四つんばいのまま、鼻をヒクヒクさせる行動は、相手を確認するためのものです。

焦って走って逃げる方が危険なので、静かに退いて下さい。

・クマが無視している or クマが立ち去らない

上記の行動に加えて、クマから目を離さないようにゆっくりとクマから離れましょう。

「立ち去らない理由は、なぜなのか」を考えることも大切なことです。

子グマやシカの死体などがないか、付近を冷静に観察して下さい。

もし、子グマやシカの死体がある場合、そこには絶対に近づかないでください。敵と見なされ。襲ってくる可能性があります。

・クマが近づいてくる

先程も書きましたが、このパターンは、非常に稀です。

車内や屋内などに移動できなかった場合は、強気に対応しましょう。

倒木や石の上に立ち、自分を大きく見せ、大きな声と音をたてて威嚇して下さい。

クマ撃退スプレーを持っていれば、噴射の準備をしましょう。

その他、棒など武器になりそうなものを手にとりましょう。

クマ撃退スプレー

クマ撃退スプレーは、クマの目と鼻をめがけて、一気に全量を噴射します。

射程距離は、物によりますが長くても、約10m程度です。

相当威力が大きい物らしいので、間違って噴射しないように注意して下さい。


20m以下の距離の場合

・クマが急に現れる

クマも驚いている可能性が高いです。

「走って逃げる」、「大声でわめくような行動」は、逆効果です。攻撃的になってしまうかもしれません。

走って逃げると、時速60kmのヒグマが後を追いかけてくるかもしれません。

この場合も先程と同じように、焦らず、ゆっくり両腕を上げてふり、穏やかに話かけながら、静かに移動して下さい。

ほとんどの場合、唖然として立ちすくむと、とたんに、クマが全速力で逃げていきます。

・クマが突進してきたら

まず落ち着きましょう。

突進の多くは、威嚇突進行動(ブラフチャージ)です。

クマは相手に突進しても途中で止まり、激しく地面を叩くなどした後に、後退する事が多いです。

この場合、穏やかに声をかけながら、クマとの間に障害物を置くようにゆっくり後退しましょう。

・本当の攻撃の場合(突進が止まらず3〜4mの距離まで迫ったら)

クマ撃退スプレーがあれば、クマの目と鼻をめがけて、一気に全量を噴射します。

クマ撃退スプレーがない場合(またはスプレーが効かず攻撃を受けてしまったら)、その場に倒れこんで、防御姿勢をとりましょう。

防御姿勢は、うつ伏せになって顔と腹部を守り、首の後ろは手を回して保護する。

リュックがプロテクターになります。

転がされても、その勢いで元の姿勢に戻り、同じ体勢を取り続けて下さい。

防御姿勢

まとめ

距離によって対応が少し変わりますので注意して下さい。

簡単にまとめてみます。
・遠い距離でクマが気づいていない時は静かに立ち去る
・遠い距離で近づいてくる時や近い距離での遭遇した時は、人間がいるということを知らせる
・それでも近づいてくる時は、車内や屋内に逃げる
・不可能な場合は、自分を大きくみせる
・突進してきたら、クマ撃退スプレー or 防御姿勢

クマに遭遇してしまった時の対応は、意外と多いように感じたのではないでしょうか。

「怖い」気持ちは、もちろんわかりますが、クマを刺激しないことは絶対条件です。

また、意外と知られていない「人間だということを伝える」ということも、覚えておいて下さい。

死んだふりをするのは、本当に最終手段です。また、ただ寝れば良いわけではなく、大事な部位を隠すことが大切です。

この記事を、何度か見直していただき、いざという時に自分と周りの人の命を助けられるようにしてくれたら嬉しいです。

今週もありがとうございました。

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