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息のできる場所を探して。40代のキャリアシフト

”仕事ができる喜び”なんて言ったら、仕事以外のことには興味がない、仕事が趣味みたいな人を思い浮かべてしまいます。

でも、私が思う”仕事ができる喜び”は、そうじゃない。だいぶ違う。

仕事は生活のため、社会的な地位を確保するため、労働することが義務だから、そういうお堅い理由ではないところにある

『 仕事をする理由 』を、

長いこと言語化できませんでした。

障害福祉で就労支援をしていて、少しだけクリアになった、"この仕事を選んでよかったと思えた理由"を振り返ってみたいと思います。

就労支援での労働はなんの為?

障害福祉において、就労継続支援事業所での稼ぎは、利用者の人件費の補填ができるかできないかくらいの小さなものです。

正直なところ、売上と工賃や賃金がトントンの事業者はひと握り。ほとんどの事業者で、福祉事業所を利用する利用者が作った売上だけでは、事業は成り立たちません。

福祉事業の特性上、稼がなくても事業は成り立つのです。

では、なんのためにその仕事はあるのでしょう?その疑問は少しでも就労支援に関わると見えてきます。

まず、障がい者の方が外に出ること。
他人とコミュニケーションをとること。
お昼ご飯を提供し、日中のリズムを整えること。
などなど。

社会保障の視点だけじゃなく、社会的な意義として一番重要だと感じているミッションは

障がい者を社会から孤立させないこと。

そう考えると、私の中の"仕事をする理由"が少し変わってきたのです。

稼ぐことや社会的地位以外の意義を求めても、現実は食い違うばかり

アラフォーの転職活動は難しかったです。

なんでも出来る気はしてたんですが、変なプライドもあり、今更、全体を見渡せない歯車の一部のような仕事はしたくない。

かといって管理職を張れるほどの実績は出産前の話で、今とは状況も違う。

産休に入る前に管理職になってしまえば大丈夫だろうと管理職になったのに、私の目の前の階段は途中に穴が空いていて、産休後に仕事復帰した時には、かなり下のポジションに落ちてしまった。

出産を境に結果的に、世にいう『 ガラスの天井』『 くっつく床』の典型的な仕事が振られ仕事へのモチベーションはダダ下がり。

一度落ちたら最後、実績も積めない仕事ばかりで、昇進の機会もない。目の前の階段は壊れていて、「あー、これが『 壊れたハシゴ』ってやつかぁ、こうならないように頑張ってきたんだけどな」と、後悔するも既に遅し。

進むも地獄、退くも地獄の状態で燻り続けていました。

キャリアに見込みのない仕事が嫌なんじゃない。誰にも必要とされてない仕事をしたくなかった。

仕事って、やる事で誰かのためになったり、喜ばれると実感できたほうが断然楽しい。

そんな、仕事をする喜びを知っていた私には、意味を見いだせない仕事を続けることは、苦痛でしかなかったのです。

ただ、役に立ちたかった。自分のやった仕事が、何かに生かされ、その会社を通して購入してくれたエンドユーザーやサービスを利用してくれる人に必要だと、選んでもらいたかった。

そうやって、少しでも世の中に自分の仕事のカケラが残ると思ったらなんか楽しくなれたのに、どうポジティブに考えても、いつの間にかそう思えなくなっていました。

仕事をすることすら辛くて、息苦しくて、体が思うように動かない。心が壊れる前に逃げるように辞めました。

稼ぐことだけが存在理由じゃない仕事を知って

逃げるよう辞めた先で拾ってくれたのは、昔からFacebookでお友達になっていた、多くの障害福祉事業を手がける社長さん。

福祉事業に関わるボランティアをしていた関係で繋がったご縁でしたが、福祉事業は全くの初心者の私を、「福祉事業が検索できるポータルサイトの管理をやってくれる人を探してるから、ウチ来てよ」と、家に友人を誘うような気楽さで採用してもらい、「肩書きがその人を、その肩書きに相応しい人にするから。んで、どんな肩書き欲しい?」と、ポンッと、好きな肩書きをくれました。

就労継続事業所で、職業指導員のお仕事もやりつつ、突如始まった福祉のお仕事。

転職を機に社会保障に関わる仕事を初めてして、そこにいること、そこにサービスがある事が存在意義になる仕事もあることを知りました。

利益や実績を追求するだけが存在意義ではない世界は、『ガラスの天井』『くっつく床』にぶつかってしまい、成果らしいものを出せずに、足掻いてもがいていた私に、「あれ?こだわってたけど、わたしはこっちの世界の方がスキじゃない?」と気づくきっかけをくれました。

誰かのために心を尽くして 役に立つことが仕事。「ありがとう」がたくさん転がってて、つまずくくらい。

成果主義から解放されて、利用者の方の"これから"に関わり、少しずつだけど成長して、いつか巣立っていけるようにサポートする。

期限に追われ、できなかったら即降格、降給なんてぶっそうなシステムとは無縁の福祉事業の色んな意味での"ゆるさ"に救われたのだと思います。

キャリアチェンジとキャリアシフトを同時に経験し、誰かの役に立つことを一番に考えていい、稼ぐことが一番ではない仕事に出会いました。

仕事をする喜びを感じられて、消耗合戦から解放された私は、長い長い冬の時期を経て、ようやく息ができる場所に出ることが出来たのです。

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