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Mirage - 江戸川乱歩に拠る叙情的風景

«Mirage, un paysage lyrique d'après Edogawa Rampo»
邦題:Mirage — 江戸川乱歩に拠る叙情的風景
編成:Violon (à 5 cordes), Electronics
作曲:2014年
初演:2015年2月3日
公演名:現代の音楽展2015《世界に開く窓—百留敬雄ヴァイオリンリサイタル》
会場:東京オペラシティリサイタルホール
演奏者:百留敬雄 (Violon) 有馬純寿 (Operation électronique)
演奏時間:約12分

本作は副題にもある通り、江戸川乱歩の短編『押絵と旅する男』をイメージの核としている。

「押絵の中の娘(八百屋お七)に恋いこがれ、ついに自ら絵の中に入ってしまった青年。しかし本来生身の人間であるため、押絵の中に身をおきながらその姿は年を経るごとに老いてゆく……」

今日のヴァーチャル・リアリティの幻惑と危うさを予見したような内容の原作であるが、本作品ではこの娘を取り巻く押絵の世界を電子音に、その中に取り込まれる生身の青年を五弦ヴァイオリンにそれぞれ仮託して、ひとつの持続を紡いでみた。2年前に書いた無伴奏ヴィオラ曲の中で潜在的に予感していたテーマを、より具体的なイメージとして引き寄せる事を試みた作品とも言えるだろうか。


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