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Croque-mondamoiseau...?! (2)

未知のメニュー Croque-mondamoiseau(クロック・モンダモワゾー)探求の小さな旅記録 ––––– 本記事はその続きとなる。相変わらずカバー写真はフツウの〝クロック・ムッシュ〟である。

前回までのあらすじ:

*   *   *

さて、日本人にも親しい〝マドモワゼル〟という仏語。Ma(我が)+demoiselle(令嬢、古くはdamoiselle)という語釈となる。demoiselle に対応する男性名詞が damoiseau となる事は先立つ投稿でも記した。となれば、mon+sieur / ma+dame が存在するように、ma+demoiselle に対する mon+damoiseauという称号も当然あり得る。

ところで、この damoiseau という語を辞典 Le Petit Robert (2015年版) で確認すると、次のような説明があった。

damoiseau
1. ANCIENNEMENT Titre du jeune gentilhomme qui n'était pas encore chevalier.

Le Petit Robert (Éd.2015)

「まだ騎士ではない若い男性貴族」––––– なるほど、半人前の青年という印象ではある。これは古風な文脈での意味合いで、まだわかる。しかし、もうひとつの説明では…

2. PLAISANT Jeune homme qui fait le beau et l'empressé auprès des femmes.

ibid.

「女性のご機嫌を取る若い男」––––– 今時の表現で〝チャラい〟男という事だろうか。どうも良い意味合いではない。

ちなみに mondamoiseau という単語の用例はさらに稀で、我が師と仰ぐ Le Petit Robert には見つからず、スマホアプリの仏語辞典に mademoiselle と対比する形でしか見つからなかった。しかも…

Ce mot n'est plus utilisé que pour critiquer l'usage du mot mademoiselle, notamment dans le milieu féministe.

Dictionnaire Français

…「フェミニスト界隈で mademoiselle の使用を批判する場合以外用いられない」のだそうだ。追い求めているメニュー Croque-mondamoiseau の存在意義そのものに暗雲が立ちこめてきた具合である。

とにもかくにも、この世に Croque-mondamoiseau の存在の片鱗でも見えるかどうか Google 先生にお尋ねしてみる、が…

…ない。引っかかりもしない。
出てくるのはムッシュかマダムの情報ばかり。
事此処に至り、探求の旅は隘路にハマるのだった。

それにしても、ね…
〝モンダモワゾー〟いう響き、何ともイケてないというか、もっさりした第一印象が拭えない。カナで書くと〝モンダ・モワゾー〟という区切りでどうしても読んでしまう。果ては〝門田母和蔵〟などという当て字が思い浮かんでしまい、次第にイメージは曲亭馬琴『南総里見八犬伝』に登場する網乾左母二郎(あぼし・さもじろう…そういえば此奴もチャラい優男だ)のような小悪党の姿に収斂していくのである。

斯様に筆者の想像はあらぬ方向に展開しつつあった。
これはマズい。食品だけにマズいのは大いに困る。

さぁどうしたモンダ? ––––– と、一寸先は闇の中で、この項続く。

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