stelline

少し寂しい詩やお話を書いていきたいです.

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青。 若さ、未熟さを象徴する色だ。 青春。青葉。青二才。 「青」ではなくなった今、 それがなんて美しく儚いものであったことに、遠い郷愁を覚える。 大人にへの憧れが、いつの日か、若さへの憧れに変わってしまった。 その境界こそが、青の終わりである。

    • 空を撮るということ

      変わった色。変わったかたち。 ふたつとして、同じ景色は無い。 この先もずっと、同じ景色は無い。 ただ、不思議なことに、 一定の範囲内に居る何百万という人が共通体験しているはずのその景色に、 特別感を感じ、撮る。 どれだけの人が同じ景色を目に焼きつけていようと、 個々のカメラに収められた写真達は、 その人だけの「作品」である。 同じような写真が世に出まわっていようと、 それは確かに、ひとつの「作品」である。 空はそれだけ、人を惹きつけてやまない、ということ。 今日もたくさ

      • 夜の金曜日

        コンビニ前に寄り集まる若者も。 肩に腕を回し回され酔いどれも。 家路につくまでに、あちこちで笑い声が聞こえた。 夜の金曜日だけが持つ特別な”明るさ”が好きだった。 夜なのに、朝よりもずっと明るいんだ。 疲れきったはずの身体なのに、足取りは軽く。 今週もよく頑張ったなと、赤の他人にですら讃えあう。 ひとりでも。たくさんでも。 金曜日は、どんな時代であっても、 金曜日であってほしい。 たとえ明日が仕事でも、誰にだってあっていい。 日常が日常であるのと、同じように。

        • Once upon a time

          昔々の物語 暗い夜の森の中で 優しい声を聞いた 甘い果実が実ったその木 あなたが声の主だって すぐ気がついた そっとその橙に触れ そっと呟く 「おやすみなさい」 そう言うと 実をもいでは 口へ運ぶ 葉の掠れる音色が 奏で終わる頃 星屑の瞬く音色が 奏で始まる頃 転がったままの欠けた実に 露雫

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          さよならに さよならを

          また お別れする人がいる 今日までいた その人は 明日からいない その人は なぜ海と空の色がかのような色なのか 眼を開き息を呑むだろう でもね、さよならに さよならは言わないよ 生きている限り いいえ 生きていなくたって どこかでまた出会うはずの 決まりきった世界に さよならなんて無い 「また明日」 またひとつ 色を映したあなたに 精一杯のおめでとうと、ありがとうを。 

          さよならに さよならを

          泡沫の尾灯

          追いかけるために 付いているのよ あのテイルランプを 私は追うの ずぶ濡れのコンクリートが 作られた光に染まり 乗算された世界の中で 遠のいてゆく 遠のいてゆく 消えることのない ネオンの街の物語

          泡沫の尾灯

          終刻の灯

          子どもの声が疎らになる頃に さあお帰りと 灯が家路を示す そんなに楽しそうな顔をして 君の一日はまだ終わらないみたいだね おいしい夕ごはんと お夢の時間が待っている 草臥れた背広の足音が聞こえる頃に さあお帰りと 灯が家路を示す そんなに眠たそうな顔をして 君の一日はもう終わりみたいだね ゆっくりおやすみ おつかれさま 朝を知らない静かな溜息が掠める頃に さあお帰りと 灯が家路を示す そんなに悲しい顔をして まるで二度と明日など来ないかのような  遠いまなざしをしている

          終刻の灯