R・I・S・K⑤

司は、札幌市内や近郊から、数百人近く人数を集めた。そして、中島公園内の広場で、集会を開いた。
「この数ヶ月間、皆も知っていると思うが、あの3人組が、俺の仲間やダチを倒して、この俺に挑戦状を叩きつけているっ! そこでだ、多少手荒ではあるが、そいつらを捕まえようと思うっ…!」
もちろん、大勢でヤキを入れて再起不能にするのが目的である。
ーー…俺が決着つける前に、あの女を倒されてたまるかよっ…!ーー
洋次の頭に、ある思いが浮かんでいた…。
ーーあの女は、俺から忍を奪った女だっ…! それに俺は、あの女に勝って、忍を奪い取る為に今まで鍛えてきたんだっ…! 風間さんには悪いけど、俺の手でっ…!ーー
洋次は、ギュッと手を握りしめた。


数週間後…、
司の作戦が決行される事になった…。
夕方頃、辺りが薄暗くなってから、3人組が現れるよう、不良達は何人か囮になり、なるべく目立つよう、何ヶ所かに分かれていた。物陰には数十人ぐらい待機させていた。
すると…、
囮の不良達がカツアゲを始めて間もなく、3人組が現れた。
「おい、来たぞっ…」
カツアゲしていた1人が、物陰で待機していた不良達に手振りで合図をした。それを見て、物陰で待機していた不良達が出てきて、3人組を取り囲んだ。
「飛んで火に入るとは、こういう事だな…」
そのグループのリーダーらしい少年がニヤッと笑うと、
「それは、どうかな…?」
好美は、不敵な笑みを浮かべ、ものの数分もかからないうち、その場にいた不良達を倒してしまった。
別の場所にいた不良達も、それぞれ忍と文人により倒されてしまった。
「あいつら、1人ずつでも強くて、あっという間にっ…!」
倒された1人が、司にそう報告すると、気を失ってしまった。
「クソ〜ッ…!」
その後、街中で待機していた者達も、あっという間に倒されてしまい、結局、作戦は失敗に終わってしまった。

数時間後、公園に集まった好美達は、笑いが止まらなかった。
「あいつら、全っ然、弱すぎ〜っ…!」
忍は、笑い過ぎて涙が出ていた。
「それにしても、フーちゃんも、あいつらの急所蹴飛ばしたりとか、結構やるよね〜っ♪」
「だって、あいつら、僕の事を女だって勘違いして、押し倒そうとするから、ついっ…」
3人の笑い声は、公園内に響いていた。
だが…、
好美は、自分に向けられている殺気を帯びた視線を感じていた。
「好美ちゃん、どうしたの…?」
忍もそれに気付いて、気配のする方を見た。
すると…、
物陰から突然、何者かが好美に襲いかかろうと飛び出した。
「誰っ…?」
好美は、とっさにかわし、捕まえた。
「洋次っ…!」
洋次は、好美の手を振り払った。
「…あのねぇ〜っ、アタシに何か恨みでも抱いているみたいだけど、言いたい事あるんだったら…」
好美が呆れた表情でそう言いかけると、洋次はキッ!と睨みつけた。
「1週間後、俺とタイマン勝負しろっ…! 場所は、この公園だっ…!」
洋次がそう言い放った後、忍は唖然とした。
「洋次、何寝ぼけた事言って…」
忍がそう言いかけた時、文人は忍の口を手で塞いだ。
「洋次君、本気みたい…」
好美も、洋次が本気でそう言っているのを感じ取った。
「わかった、1週間後ね…。アタシが勝ったら、2人とも風間達から手を引いてくれるんでしょう…?」
「…ああ。その代わり、もし俺が勝ったら、忍は俺がもらうっ…!」
「何言ってんだっ! オレは男に興味ないんだって、前にも言ったはずだろっ…!」
忍がキレかかって洋次を殴ろうとしたので、文人は必死に忍を抑えた。
「アタシは、あんたには負けないっ…」
好美が余裕の笑みを浮かべてそう言い放つと、洋次はチッ!と舌打ちした。
「その言葉、1週間後に俺がそっくりそのまま返してやるからなっ…!」
洋次はそう捨てゼリフを残し、公園から立ち去っていった…。

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