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【大人】手仕事:糸掛けづくり

子どもたちが九九の糸掛けをつくっていたのを見て、大人たちも「楽しそう!」「やってみたい」という話になり、Hさんが糸掛けの準備をしてくださいました。子どもたちが、九九を勉強しながら作っていたものの、ピン数の多いバージョンです。

すんごいもの作れそう!ワクワク♪

2時間半で、釘打ちから糸掛けまで、すべてを完成させるために、あらかじめ準備できるところは、用意してくださいました。板を磨くのも、釘を打つ場所を決めるのもナシ。参加した私たちは、本やWEBにあったいろんな画像を見てイメージを膨らませた後は、早速、釘打ちから始めました。

子どもは10本のピンでしたが、大人はもっとたくさん。80本も90本も釘をコンコン打って、円周をズラ~~リ一周。全部釘を打ち終わって、秒針のメモリ以上に細かく釘が打たれた板は、なかなか壮観でした。ちょっと乱杭っぽくなってしまったけど、糸をかけるワクワクで全然気にならない!

手仕事をする時には、いつも思うのですが、動いているのは手だけなんだからお話し出来そうなのに、いつしか、黙々と無言で取り組んでいきます。心地よい集中の時間です。

効率よく作る良さ、味わいつつ作る良さ

早く作りたくて、ガンガン釘を打っていきました。「自分が考えた通りのことを形にしていく」という極上の贅沢をゆっくり味わうこともなく。もしかして、何かを目の前にして、効率よく最速・最短距離を行こうとするのは、イイコトばかりではないのかもしれません。ふとそう思ったのは、一通り釘を打ち終わった頃でした。

江戸時代、歩いて伊勢参りをした人たちにとって、東海道を移動することは、一生に一度、人生が変わるほどの一大イベントだったはず。今の時代に、飛行機でハワイに行くよりも、もっといろんな事を経験できたことでしょう。

効率を重視する手仕事は、いうなれば、いつも飛行機や高速道路でひとっ飛びで移動するようなものかもしれません。手仕事の意味が、世の法則を目に見える形で現すことや、人間に与えられた自然を美しく加工できることを実感する事だとしたら、出来るだけていねいに関わるのがふさわしい。先着順でもないし、急ぐだけなら機械でやればいいのだから。

「今日は目的地で人に会うために早く飛行機で行こう」「今日は道中を楽しみたいから自転車で行こう」など、自分の目的を意識することで、その時々でふさわしい行き方が変わってくるはずです。

早くやりたくてたまらない!

そんなことを感じたくせに、ズラリ並んだ釘を見ると、やっぱり血が騒ぎます。「早く糸をかけたい!」。ワクワクが止まりません。

47.43.41.37.31.29…。素数の数ごとに釘を空けて糸をかけていくと、ぐるぐると全てのピンに糸がかかります。ただし、急いで数え間違えなければ。

その日は、家に余っていた細目の毛糸2色を持参していたので、2色を交互にかけました。よく見る透明感のある幾何学的なイメージとはずいぶん違う、クッションみたいな厚みの糸掛け。

毛糸と釘との素材感が軟と鋼の対極で、その二つを、硬いとも柔らかいとも言える「木の板」でつないでいるという感じが、それはそれでおもしろく感じました。

無事、完成です! 気が向いたらまた他の糸でかけ直そうと思いつつ、なんだかふわふわ感がおもしろくて、今もそのまま飾ってあります。

ひとつ作れば応用したくなる

おみやげに、小さな板をふたつ分けてもらったので、帰りに釘を買って、勢いのままに別のものを作ってみました。今度はマルじゃなくて四角と三角だとどうなるのか。結果は下の写真のとおり! 

等間隔で同じように糸をかけてみても、マルとサンカクとシカクでまるで模様が変わって行くのがおもしろい! 土台の板も、白地のままのものと、黒地に塗ってみたものの印象の違い、かける糸の暖色と寒色の違いなど、あれこれ楽しんでみました。数学の得意な人なら、いろんな法則も発見できると思います。

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WEBを検索したら、金星の数や曼荼羅や…いろいろ出てきます。なんとなく作り方が予想できるものや、どう釘を打てばそうなるのか全然わからないものなど、ミステリアスで美しい糸かけがいくつも出てきました。そういうものにもいつか挑戦してみたいものです。

帰って「見て~。今日はこんなの作ったよ!」と子どもに見せたら、「子どものマネした?」と言われました。子どもたちは何か月もかかって、板をツルツルに磨いたり(大人はパス)、分度器も定規も使わずにピンを打つ場所を決めたり(大人は釘の場所を示した紙の上から打った)、いろんな感覚を総動員して作っていました。

それにしても糸掛け作りは夢中になります。クラスで作った後、しばらく家にあるいらない板をいくつも使って、いろんなパターンを作ってみました。使える板がなくなってからも、円周にポイントを打って、直線で結びながら「こーしたらどーなるんだろう?」と、あれこれ試行錯誤がとまりませんでした。

子どもも子どもクラスで作った糸掛けの間に釘を追加で打って、夏休みの工作として提出していました。子どもの作品は、ていねいさと法則性が融合して、とても美しい! 基本的な作り方は簡単なので、みなさんもぜひ作ってみてくださいね。(下の写真は4年生の時の子どもの作品)

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オキツ 神戸シュタイナーハウス代表 大人クラス担当
小さな勉強会や書くことに関する仕事、普段の暮らしなどを通して自分の考えを深め、表現する。その結果、自由で愛のある社会に近づけるといいな。
ブログ毎日更新中。https://blog.goo.ne.jp/oneby1
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