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【大人】植物観察からゲーテの認識論へ2

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自分が何かをするにしても、何かを考えるにしても、ものの見方がゆがんでいたら元も子もありません。自分は物事をちゃんと捉えられているのか。まわりを間違いなく認識できているのか。同じものを見ても、人によって見えている深さが違うのは知っているけど、どうすればもっと深くまで物事が見えるようになるのか。

そんな課題を抱えて始まった「植物観察」。
「理論を知るよりも、実際にやりながら考えよう!」と、各自が植物を観察し続けるという宿題を主体に、オンラインでの植物観察を始めて3回目。なんと、植物観察をリードしてくださったYさんが、しばらく参加できないことに。せっかく始めた植物観察、どうやって続けよう? 

どうやって続けよう?? 強力な助っ人登場! 

私たちはいつも、自分たちで持ち寄って学んできました。今回も何か違う方法があるはず。そうやって続ける方がYさんも嬉しいはず。基本に戻って「なんで植物観察しようと思ったんでしたっけ?」「モノを見る目を育てていきたいって所からですよね?」「本読んで、観察と重ねて行きますか?」「観察方法がわからない」…。

半年ほど前から参加してくださった方が手を上げてくださいました。お互いのブログを読みあって、10年くらいゆる~く交流があったKさん。去年、『いかにして超感覚的世界を認識するか』の最後の「認識の細道」を読む時に、思い切ってお誘いしたら、なんとこっちの勉強会に参加してくださり、10年越しにお顔を見てお話しできた方です。

「認識の細道」を読み終えてからも、そのまま一緒にお勉強してくださることになり、植物観察に関しても、ものの見方が深いというのか広いというのか…。外からと中からの両面から植物を見ているのを感じます。観察をシェアしている時の、植物観察リーダーのYさんと、このKさんの会話は、宇宙的にどこまでも広がって行って、聞いている方も異次元に連れて行ってもらえるようで驚きの連続です。

ゲーテの認識論を絡めて、植物観察を続行!

Yさん不在のピンチに際して、そのKさんが「次にゲーテの認識論をしたらどうかと思っていたんですけど、植物観察と一緒にやったらおもしろいかも!」と言ってくださいました。そして、シュタイナーやゲーテの書いたものは難しいから「論文はどうでしょう?」と。

そして、Kさんが一緒に読もうと提案してくださったのが、「ルドルフ・シュタイナーによる“ゲーテ的観察”の学校教育への活用」という見上裕美氏の論文。中学校で植物観察をやってみた論文の中で、具体的にどういう方法で観察したかを書いてあるので、それとゲーテの認識論をつなげて取り組んでみよう、と。

植物観察の7段階

その中では、植物観察を7段階の見方に分けてくださっています。伝わりにくいとは思いますが、7段階を簡単にメモしておきます。

1 印象を受け取る(バラを見た時どんな印象?)
2 事実を見る(葉っぱの形、色、手触り…一つひとつに注目)
3 構造を見る(全体の構成に注目)
4 身振りを見る(この辺りから聞き慣れない感じになってくる)
5 あなたは誰?(ここから対象から受け取るだけでなく対象への働きかけが始まる)
6 どうやってこの状態になったの?(事実をもとに成長を流動的に想像する)
7 植物を見ないでもその植物のイメージを保つことで本当の名前を知る

一般的に植物観察と言えば、2までのことをイメージしますが、1~3段階は、やればできる領域です。愛情を持って意識的に植物と出会うことで4段階が可能になり、4段階から5段階への壁は、私はまだ越えられません…。だから5段階以降の説明はできません。当然、伝わらないと思います。ゴメンなさい。知りたい方は上記の論文を読んでトライしてみてください。

観察なのに、受け身じゃなくて自分から迫っていくの?

でも、4段階を境目に、観察の方向性が変わることはわかります。植物から受け取るだけだった1~3段階と比べ、4段階5段階と進んで行くにつれ、自分から植物に働きかける方向へとベクトルが変わります。

受け身じゃなくて、自分から。それも、自分の思い込みで相手を規定するのではなくて、きっちりと相手を見る1~3段階を経た上で、その形に沿って法則を見たり、相手の中に入り込んだりして考える5~7段階。『自由の哲学』にも、「観察(見る)と思考(考える)を重ねることで、対象への理解はどこまでも深めていける」という一節がありますが、植物観察はまさにその練習になります。

秋からはじめて、植物が枯れ、また芽吹き、成長していく様子を題材に、ゆっくりとひとつの植物とつきあってきました。一人ひとり、この練習を通して本質を見る目を育てるべく、それぞれのペースで観察を続けています。「誰かがこう言ってた」に頼らずに、自分の目でまっすぐ人や社会、移りゆく現象を見て、自信を持って行動していける日を願いつつ。

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▼オキツ 神戸シュタイナーハウス代表 大人クラス担当
書く人、聴く人、考える人、作る人、遊ぶ人。小さな勉強会や仕事、普段の暮らしの中で、ちょっと立ち止まって考え、言葉にし、行動してみる。少しずつ、みんなで幸せになっていけたらいいな。
ブログ毎日更新中。「自由の哲学を読む」~日々の暮らしから~
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