【子ども】数①次は数学的なものに挑戦だ!前途多難な道のりを越えて
自分でお話を作ると、子どもへの影響が半端ない!!
という学びを得た文字の授業を終え、次は自分でお話を作りたい!という意欲を手に入れた私。
国語的な題材だったから、次は数学的なものに挑戦してみよう。
そう。2つ目の題材は、自分が挑戦してみたいもの。
しかし、それがまた大変な道のりを進むこととなった・・・
誰か教えて
さて、漢字の授業なら公立学校のイメージがあり、たたき台のようなものがあるところからスタートしたが、数の授業となるとそうはいかない。
1年生を担任していたころのことを思い出しても、数図ブロックを動かすとか、何かを数えるとか、なぞり書きとか、なんだかシュタイナーっぽくない。
子どもたちはスケッチブックとクレヨンを持ってくるし、いつも描くのが楽しそうなので何か描きたい。
そう。私は、そんな漠然としたイメージしか持っていなかった。
まずい・・・
教員養成講座では、教師としての在り方を教わった。
音を聴いて、植物を観て、身体を動かして・・・
知識やハウツーではなく、もっともっと大切なことを教わったのだ。
おかげで、世界への接し方も子どもの観方も大きく変化した。
あらゆることに意識的になり、学ぶことの尊さを知った。
でも、今必要なのはハウツーだ・・・
公立なら指導書があるのに・・・
盗む、真似る、学ぶ
神戸シュタイナーハウスを始めてからも、いくつかの講座には参加し続けており、そこに教員養成の同期も数名参加していた。既に土曜クラスを始め、軌道に乗せている人もいる。相談してみると、海外の授業実践は書籍として販売されているとのこと。(記事を書くにあたって検索してみると、webサイトも充実していた→こちら)
なんと!
授業はゼロから自分で作るものだと思っていた。
確かに、小学校の教員になったときにも初任者指導の先生から言われたことがある。
「まずは盗んで真似てみなさい。やってみたときの違和感はオリジナリティを生み出してくれる。自分らしさの追求はそれからでも遅くないから」
そうだ、私、初心者だった。教員経験があるからできる、と思い上がっていた。学ぶことは真似ることから始まるはずだ。
しかし、海外で出版されている書籍は、当然ながら外国語表記。
「辞書を片手にやってるよ~。あと、参考にしてるのはe-waldorfかな」
と同期。そういえば、教員養成のときも、既に土曜クラスを立ち上げて奮闘中の先生が多くいて、e-waldorfの名前は聞いたことがあったのだった。
悩んでいる暇はない。とりあえず、買って読んでみることに。
それでも、やっぱり意地っ張り
頼れそうな本を入手した私は、早速、目の前に子どもがいるつもりでシミュレーションしてみた。これでもう大丈夫。考えて練られて世に出された授業なんだから、大丈夫に決まっている。
うーん・・・
このまま、まったく同じ授業をする?
自分の性格を忘れていた。そもそも、人から言われた通り、本に書かれた通りに動ける人間だったら、日曜クラスの先生に興味も持っていないのだ。書かれた通りにしても、私自身が楽しめない。自分でやりたい。自分にしかできないことをしたい。
いろいろ考えた結果、絵の描き方をまるごと真似させてもらい、お話は自分で作ることにした。自分で作った方がリズムの時間の遊びとのつながりを作りやすく、お話の世界に入り込みやすかったからだ。
しかし、そんなお話を作ることができたのは、ある程度の方向性を示してくれる書籍があったからこそ。本当に助けられた。先達はあらまほしきこと、ってこのことだ。
実際にやってみて
(↑ 人間は両手両足を広げると、五芒星の形。数年後、5人でタイミングを合わせたり、1人で五芒星を動いたりする。でも、このときはまだそんなことを知る由もない)
「1ってどんな数字なんだろう」
「2のものって、何があるかな?」
数の質を味わうことを目指して、毎月子どもたちと話し合っていった。お話の方も、例えば2を学ぶときには対になっているものや、「ぐうぐう」「のっしのっし」といった繰り返しの言葉など、数を意識して作るように心掛けた(お話の記事は次々回→数③二人のこびと、魔女の館へ)。
子どもたちは、文字のときと同じようにとても楽しそうに「耳は2つ」「お箸は2本セット」など探しては教えてくれた。「3人家族」という意見が出れば、「今日は4でしょ、うちは4人家族だから」と個人的なことを知らせてくれたり、「指が5なら爪も5なんじゃない?」と広がったり。私が思いつかないことも多く、絵を描く時間がなくなるくらい、子どもたちの話を聞くのがおもしろい。子どもたちにとって、数がどんどん身近で自分事になっていくのが嬉しくもあった。
良かった・・・!
始める前はどうなることかと思った数のタームも、これで万事オッケー!
1カ月に1回の活動なので、5まででいったん一区切り。それでも、5カ月継続したことになる。小学校低学年にとっての5カ月はずい分長い。
終わってから、
「1から5の数字、どれが一番好き?」
と尋ねてみると、5が人気だった。
当然だ。今を生きている彼らにとって、1を学んだ日は遠い昔の出来事なのだから。
それで良い。忘れてしまえばいい。今はセピア色で忘却の彼方にいる記憶が、数か月後に思い出したときはどこか色づいて見えるのだ。それはきっと人それぞれで、個性的で、鮮やかで美しい色に違いない。そうやって、子どもたちを取り巻く世界がどんどん美しくなっていってくれたら、願ってもないことだと思う。
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えりか先生。神戸シュタイナーハウスでは、子どもクラスを担当。
小学校教員を経て、現在は放課後等デイサービスの指導員として働くかたわら、神戸・京都において日曜クラスの先生としても活躍中。
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