【大人】動物学③動物の中の私、私の中の動物
前回、私たちが動物園で見た動物は、どこか私たち自身と重なるところがありました。(大人クラスで、動物園でどのように動物と向き合ったのかは、動物学①、動物学②にまとめましたので、そちらをご覧ください)。
▼動物に関するテキスト
「動物について学ぼう」と思った時、参考にした以下のテキストです。
・『一般人間学』 12講
・『オックスフォード教育講座』 第5回
・『人間理解からの教育』 Ⅲ-2 動物学 など。
…その他、アレコレ。
植物を大地との関連でとらえたように、動物を学ぶ時は、人間との関連で見ていくことが必要だと考えました。
動物園実習の翌月、大人クラスで動物に関して次のような言葉を一緒に味わってみました。
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ライオンは威厳があり、うさぎは臆病、羊は我慢強くて、ラクダは正直で優しい…。このように、動物は人間のいろんな性質を極端に示しています。また人間は、時に威厳を示し、時に臆病で、時に我慢強くて、時に正直で優しい。あらゆる動物が持っている特徴すべてを、少しずつ合わせ持っているのが人間です。
つまり、動物は人間の持つさまざまな性質が個々に独立したものであり、人間は動物界を総合的に結び付けたものなのです。
(上記テキスト群から抜粋し、自分たち用にまとめました)
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▼動物は人間のいろんな性質を独立させたもの
私たちは前回、気になる動物にじっくり向き合うことで、それぞれの動物の特徴を、以下のように捉えました。「自分にはそう見えた」ということで理解してください。
・ゾウ→穏やかで力持ち
・クジャク→毅然としていて美しい
・コアラ→甘えん坊で親子仲良し
・パンダ→見た目かわいいけどダラダラしている
・ワニ→自分を守るために攻撃的
動物を見ながら、このような特徴を、知らず知らず自分と重ねて見ていました。ということは、その動物の特徴が私たちの中にあるということです。その動物が気にならなかった人も、発表を聞いて「ホントだね~」「私もそーゆーとこあるわ!」などと盛り上がったのは、聞いた人にも多かれ少なかれ、その動物の特徴があるからでしょう。
「気になる動物」の特徴は、それを見た人が「人間の本質だと思うこと」の琴線に触れるものでもありました。
・ゾウ→穏やかで力持ち
→私は穏やかに静かに立ちたい
・クジャク→毅然としていて美しい
→周囲に振り回されないように生きたい
・コアラ→甘えん坊で親子仲良し
→ずっとこうしてたいなぁ~(赤ちゃんのママ)
・パンダ→見た目のかわいさにあぐらをかいている
→そういう人、人として苦手!
・ワニ→自分を守るために外に向かって攻撃的
→中身(心)のやわらかさを守りたい
動物を見ているようで、実は自分の大切にしていることや価値観が見えてきて、お互いの事もどんどん知り合えることになります。
▼人間は動物を総合的に結び付けたもの
こんな風に「動物は、人間の持つさまざまな性質が個々に独立したものだ」ということを確かめていきました。次は逆の方向から見ていきます。「人間は動物を総合的に結び付けたものである」という方向です。自分の中に、そんなにいろいろな動物の特徴があるのでしょうか?
早速、思いつくまま、できるだけたくさん動物の名前を挙げ、その特徴を言っていきます。たとえば、虎=獰猛、ウサギ=臆病、ロバ=従順、猿=せわしない、キツネ=ずる賢い、タヌキ=おとぼけ加減、チーター=俊敏…など。輪になって座り、順番にどんどん言い合っていくとおもしろいです。
そういう動物のすべての性質を兼ね備えたものが、私たち人間。であれば、極端に現れている性質の通りに生きるしかない動物と違って、人間は自分の中にあるあらゆる性質の中から、状況に応じていろんな性質を繰り出すことができるはずです。
動物園で一つの動物を見た時には、自分がどの動物の性質を強く持っているか、どの動物と似ているか、それは納得とか意外だとかいいとか悪いとか…。そんな視点で楽しみました。しかし「人間はそれらの特徴をすべてを持ち、調和させた生き物」だということは…。
人間は一人ひとり性格が違います。四六時中、臆病風に吹かれていたり、人を攻撃している人でも、時々は思いがけない大胆さを発揮したり、包容力を示したりします。動物のように、その特徴が極端に出ている時は、自分も周りも生きにくくなりますが、状況に応じて慎重になる時や、反対されても真っすぐ主張するなど、自分の中から必要な性質を取り出して発揮する事ができるのです。
動物占いは、人の特徴を動物に重ねてみるという所がおもしろくて、みんなで盛り上がれる遊びではあります。でも、自分はどの動物の性質が強いとか弱いとか、自分がその性質だからいいとか悪いとかではなく、状況に応じて必要な性質をふさわしく繰り出せるか、が問題なのでしょう。
▼まとめ ~必要な性質を自由に繰り出せる人間~
あなたの中にも私の中にも、すべての動物の特徴が含まれていると思えば、この地球に生きているあらゆる生き物が自分の中に生きているという荘厳な気分になります。そして、それぞれの性質が調和しているのが人間だ、ということを思えば、まだ自由に使えない性質(戦う性質だったり、勤勉な性質だったり、人によって違うでしょうが)を、意識的に育てていきたいものです。
いつ、どの性質を出すかを選べるのは、私たち人間だけです。できる事ならその時の気分に振り回されず、自分が出したい性質を自由に繰り出せるよう、意識的でいられたらいいなと思います。
今回は、動物を見ることで、前より一歩深くメンバーや自分の事を知ることが出来ました。私にとって、あらゆる学びは自分との関わりが見える時に意味を持ちます。これからも単なる知識やノウハウに終わることなく、自己教育としての学びを続けていきたいと思います。
そして、そういう学びは、いつでもどこでも誰でも、自分でできます。というよりはむしろ、自分でアクティブに学ぼうとする時にのみ、自分と関わりが生まれるのだ、ということを再確認できた「動物学」へのトライでした。
あなたも、動物園の動物の中に、自分を探しに行きませんか?
または、日常のあなたの行動の中に、いろんな動物を見つけてみませんか?
大人の学びは、いつでもどこでも誰とでも、そして一人でも。
ぜひ楽しんでみてください。
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▼オキツ 神戸シュタイナーハウス代表 大人クラス担当
小さな勉強会や書くことに関する仕事、普段の暮らしなどを通して自分の考えを深め、表現する。その結果、自由で愛のある社会に近づけるといいな。
ブログ毎日更新中。https://blog.goo.ne.jp/oneby1
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