見出し画像

「地元」ができた日

生まれてから多くの時間を、愛媛県で過ごしてきました。

仕事の関係で関東に飛び出し、人生で(ほぼ)初めて愛媛を離れたのです。

大学時代、県外から来た人もたくさんいたけれど、私自身はずっと地元暮らしだった。そしてその後、初めて県外で過ごしていても、何かが大きく変わるわけではないと感じていた。

東京って、とてもキラキラしてて憧れるイメージだったけれど、関東に住んだからと言って毎日東京に行くわけでもない。新宿駅で迷子にならないわけじゃない。

場所が大きく変わっても、生活はそんなに簡単に変わらない。

そんな中、先日買い物していたら、ふと視界の端にオレンジ色が目に入り、思わずそちらに目を向けてしまいました。

ああ、みきゃんだ。

愛媛県のイメージアップキャラクターのみきゃんが、はるか遠くの関東に現れた。

そこで初めて、

ああ、地元を離れたんだ

って実感したんです。

なつかしさを抱くことがなかったものに対して、なつかしさを感じた。

毎週のように目にしていたキャラクターを、関東に来てから見ていなかった。それに初めて気づいた。

愛媛は、私の地元なんだ。そして私は、もう愛媛にいない。

知っていたのに、実感していなかったことを、直視させられた気分だ。「場所が大きく変わった」なんて、地図上の位置だけの話だと思っていた。

だけど、違う。私にとって地元って位置じゃなく、愛着なんだ。そこで過ごした日々や、そこで暮らす友人は、私にとって当たり前の存在だった。

飛行機で2時間程度の距離だけど、やっぱり、遠い。

わたしたちにとって当たり前の場所は、いつしか過去に変わっていく。そしてそれに気づくのは、過去になってしまってからだ。

でもね、それと同時に、帰りたくなる場所も得られたんだよ。それはそれで、悪くないのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?