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STEAM食育のススメ


20年以上、病院の管理栄養士として一筋に働いてきました。学生時代に、食事で人の体を変えることができるという点に魅力を感じ、食事の力で病気を治すことを仕事にしたいと思い、この職業を選びました。
 
最初の2年半は、病院食の調理や食器洗い、献立作成などの業務に携わりました。その後、急性期の総合病院に転職し、病院給食の管理監督や栄養指導、主に入院患者さんの栄養管理に従事しました。乳児から100歳を超える高齢者まで、さまざまな疾患を持つ患者さんに関わってきました。
 
20年の経験を通じて気づいたことが3つあります。
1つ目は、食事の力が生活習慣病の治療に大きく貢献できるということです。ただし、患者さんのモチベーションが低い場合は、その向上を促す働きかけが必要であり、そのためには信頼関係の構築が重要だということも学びました。
2つ目は、外科的疾患やがん治療等においては、対症療法的な立場から貢献することができ、その場合患者さんの食事療法に対するモチベーションは高く、受け入れも良好であるということです。
3つ目は、日本の超高齢化社会において、胃ろうや腸ろうを用いて栄養を摂取する方は多いですが、特に、胃ろうなどを作った初期段階では、投与スケジュールの検討や輸液量の調整、栄養剤の選択が重要な役割を担います。私は主にこの3つの領域で貢献できたと感じています。
 
ただし、患者さんの多くは40代以降の方であり、もっと早い段階、つまり幼少期から適切な食生活を送っていれば、生活習慣病を予防できたかもしれません。そのため、食育の重要性を強く感じるようになりました。
 
私自身、長男が1歳のころから食育に取り組んできました。一緒に買い物をしたり、料理をしたり、お皿を洗ったりすることから始め、次男や長女も2歳前から料理を一緒にするようになりました。長男が小学生になると、STEAM教育の視点を取り入れた食育も始めました。
 
長男の小学校入学に合わせて、私たちは都心を離れ、愛媛県の島へ移住しました。義両親の介護を支援するためです。これまでと全く異なる生活環境に身を置き、片手間ながら畑で農作物を育てるようになりました。以前から関心があったSTEAM教育ですが、食育や農業と非常に親和性が高いことに気付きました。従来の食育にSTEAMの視点を加えることで、単なる食育にとどまらず、広い視野で物事を考えるきっかけになることに気付いたのです。STEAM教育と食育を掛け合わせることで、子供の学びに広がりが生まれます。
 
以前の私は、フルタイムのワンオペワーキングマザーでした。仕事の関係で7年間ワンオペ育児を経験しましたが、現在は時間の自由度が高くなり、様々なことに挑戦できています。ワンオペ時代には到底できなかったことです。3人の子供を育てる中で、試行錯誤しながらSTEAM食育を行っています。
 
周囲を見渡すと、まだSTEAM食育は体系化されておらず、私自身もトライアンドエラーを繰り返していますが、子供たちの学びには得るものが多くあると感じています。毎日模索しながら取り組んでいますが、うまくいかなかった失敗例も公開していこうと思っています。STEAM食育は家庭で手軽に実践できる教育方法です。我が家での取り組みを公開することで、多くのご家庭がSTEAM食育を取り入れるきっかけになればと願っています。


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