コント 『世界を変えよう』

一人の男とその隣に一台の黒電話。

男「僕の父は世界を変えた人間でした。政治家?いいえ違います。そんなに強い人間ではありません。発明家?それも違います、そんなに賢い人間ではありません」

男は受話器を取る。

おじさんの声「もしもし?あのですねテレビでこんなに煙草をスパスパ吸っちゃいかんと思うよ、こどもがまねしたらどうする?」

受話器を下す。

男「テレビの世界からタバコが消えました」

男「僕の母は世界を変えた人間でした」

受話器を取る。

おばさんの声「ちょっとちょっと!こどもが観てる時間に幽霊番組なんか流さないでちょうだい!怖くて眠れなくなったらどうするの!?」

受話器を下す。

男「テレビから幽霊がいなくなりました」

男「僕のペットは世界を変えたネズミでした」

受話器を取る。

ピカ〇ュウ「ピカ!ピカピィカ~ピカァ!」

受話器を下す。

男「世界は少し明るくなって、みんながテレビから距離を取るようになりました」

男「さあ僕はいったい何を変えてやろうかな?晩御飯時に流れるトイレのCM?いやいや・・・」

電話が鳴る。

ジリリリリリリリリン

受話器を取る。

若い女の声「さっきからねぇ!変な独り言行ってる男を映さないでよ!気持ち悪いったらありゃしない」

男は消える。

持ち主を失くした受話器がぷらりと垂れる。

ツー。ツー。ツー。

おわり。

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