Shierium
大人になってから読んだ絵本は、幼少期とはまた違った感動をくれるみたいです。読んだ絵本の感想文をはじめました。
田舎暮らしに失敗した、身の程知らずの20代前半地域おこし協力隊員の記録です。
プロフィールの紹介1991年 山口県生まれ 東京都在住 幼少期は絵画や読書感想文で賞をいただくことが多い子供でした。 将来はデザイナーになるんだと意気込み、高校受験を経てデッサンの勉強を始めるも、まったく描けなくて挫折。 地元で唯一の美大予備校の先生に「アグリッパ(石膏像)とお前の合の子だな」と笑われたことが耐えられなくて、予備校にパタッと通えなくなりました(笑) 夢をあきらめるなと先生から手紙も届きますが、アグリッパと先生がトラウマになってしまい復帰することはなく、夜逃げの
異世界と私の距離感 私はアニメを見るが、異世界転生物は苦手だ。 現実世界から離れた世界で繰り広げられる人間が主役のお話は、地に足がついていないような感じがしてどうもしっくりこない。 この文章を書き始めて思い出したが、幼少期お気に入りだった絵本も、人間ではなく、動物が何かを繰り広げるお話中心だった。 めっきらもっきらどおんどん。 この絵本も人気の絵本として親しまれているようだが、小さい頃自分がこの絵本を通ってきた記憶はない。 それでも大人になって手に取ったのは、パートナー
「子供のころ好きだった絵本は?」という問いかけに、 「からすのパンやさん」と答える人は少なくないのではないでしょうか? 私もそのひとりで、かわいいカラスの家族が営むパン屋さんやたくさんの種類のパンがぎっしりつまったページにわくわくした気持ちを今でも覚えています。初版から50年近くたった今でも、児童書のコーナーに平積みされている伝説の1冊です。 しかし、最近改めて読み返してみた『からすのパンやさん』は ただただほのぼのとするかわいいお話ではなかった?! 大人がハッとする、5
軽バンは大破し、フロントガラスはめちゃめちゃにひび割れた。エアバッグは運転席も助手席もバンバンにしっかり作動していた。何かが焦げる匂いとともに、白い煙が車内に漂い始めた。
地産地消の恋、東京から仕入れる恋、全ての恋に挫折した私はもぬけの殻となった。身も心も、懐もすっからかんである。クソ田舎に赴任してからというもの週休3日の悠々自適なスローライフと引き換えに、収入はかつての半分程度になっていた。
東京を離れて8か月経った私は、婚活アプリにいる都内在住の若いメンズ達を遠い蜃気楼のように感じた。ここは朝6時にエーデルワイスが大音量で流れる農村だ。住み始めた頃はその爆音に目覚めていたが、いつの間にか目覚ましが鳴るまでしっかり眠れるようになっていた。
この村に根ざした人間との恋は難しいと見限った私は、暇を持て余してチーズケーキを焼いた。
家の窓から見えるガソリンスタンドに勤める、気の優しい彼とは地域の飲み会で知り合った。若者は両手で数えられるほどしかいないあの村で、何様のつもりなのかと今となれば思うが、恋人候補に入れてもいいかもと可能性を感じ始めた、慣れない田舎で迎える初めての冬。
しみったれた若者しかいない田舎でも、私は恋をしたかった。恋は退屈な世界から、いつも女の子を連れ出して幸せにしてくれる。たくさんのおとぎ話や少女漫画によって、そんなおめでたい思考回路は例外なく私の頭にも形成されていた。
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