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ほぼ使ったことのない帽子を洗濯する羽目になった話

仕事中夫からLINEが来た。

「夜、ダンボールの仕事行くから帽子貸して」


昨年末に一つ得意先を失った夫は現在日雇いバイトのようなものをしている。一応本業はあるのだがガテン系の為雨の多い梅雨時期は毎年本業が少な目。昨年まではそれでももう一つ得意先があり本業がない日はそちらで作業をしていたのだが今年はそれもない。

いくつかのエージェントに登録をして本業のない日に声がかかれば行くというスタンスにしているらしい。

募集内容は様々で二度と行きたくないという過酷な物からこんなんでお金もらっていいの?という楽ちんな物まで様々。

その中でも群を抜いて楽ちんなバイトがダンボールの仕事らしいのだ。

以下夫から伝え聞いた内容なので実際とは乖離があるかもしれない。

上階のラインで作業員がダンボールから中身を取り出す作業をしてコンベアに空のダンボールを戻す。そのダンボールが夫たちの待機している下階に落ちてくるので拾って畳んで籠コンテナに積む。たったこれだけ。

私なら5分で飽きて嫌になりそうな仕事だが夫はこういう黙々単純作業系が向いているそうな。高校卒業から何十年もガテン系の本業一筋だったので新たな発見。

そのダンボールの仕事は自前の帽子を持って行き被らないといけないんだそう。夫は残念ながらサングラスはとっても似合うのだが帽子が壊滅的に似合わない。そのため現在所持している帽子は0個。

逆に私はサングラスが全く似合わないのだが帽子は好きなのでいくつか所持している。ほんのたまに行くバイトの為に似合わない帽子を買うのはもったいないので私のかぶっていくといいよということになっている。


「リビングのクローゼットの私の棚の向かって右端」

LINEを返しておいた。

ということは今日は夫は夕飯要らないんだな。娘は確かいたはずなので適当に夕食を作って早々にゲーム出来る。やったー。

夕方タイムツリーを見直すと何故か翌日に「夕飯不要・バイト」の夫スケジュールが書き込まれている。

あれ。今日だと思ったけれど明日だったか。

その日は娘の予定にもバイトが入っていた。おっとー!ということはこの日は夕飯作らなくていいのか。一日延びちゃったけど適当にでも作らないといけない日が2日あるより片っぽは普通に作って片っぽは帰宅直後からフリーの方がいいかもしれない。

私の脳に昨日は夕飯をちゃんと作る日、翌日(今日)は夕飯作らなくてもいい日というスケジュールがインプットされた。

そして帰宅。

娘の車がない。あれ?娘遊びに行くんだったか?

リビングに入ると夫の座椅子が置いてあった。

我が家はリビングに個人の物を置きっぱなしにしないというルールがあり私と娘は座椅子を使わないのだが腰痛の持病のある夫はじかに床のクッションに座ると悪化するらしく座椅子を所持している。しかしそれがあるとルンバをかけるとき邪魔になるので毎回二階の自室から座椅子を持って降りて使わない時は自室に持って上がるという七面倒くさい事態になっている。

七面倒くさいルール作ったの私だけど(笑)

その座椅子が置いてありクローゼットを見ると帽子もある。

家は静まり返っていて誰もいる気配がない。

ということは夫と娘でコンビニかどっかへ行ったんだな。

私はそう結論付けて夕飯の支度にとりかかった。

ブロッコリーを茹でて冷凍しておいたかぼちゃのスライスを解凍する。少し足りなさそうなのでシイタケも足すか。

…ところであの二人遅いな。コンビニだったらとっくに帰って来てるくらい時間が経っている。

あれ?もしかして?

ふと嫌な予感がして二階へ上がり娘の部屋に声をかけた。

「娘、いる?」

「いるよー。おかえりー」

やっぱり!ということは車は夫が乗って行ったのか。

「父ちゃんは?」

「バイトー」

まさか座椅子を置きっぱなしで貸すことになっていた帽子も持たずにバイトに行ってしまうとは想定外にもほどがある。

すでに半分以上下ごしらえをしてしまった3人分の夕食どうするのさ。そして私の労力返してっ!娘と二人ならもっともっと簡単な夕食でよかったのに。

しょうがないのでちゃんとした夕飯を作り余った分は冷蔵庫に保管して夫によかったら食べて欲しいとの旨LINEを入れた。

ゲームにはログインしたがイン早々にメンバーに今日から早く寝る宣言をして予定通りの時間にログアウト&ベッドで就寝。


深夜ふと目が覚めてリビングへ降りると夫が帰宅していた。

タイムツリーは単純に書く日を間違え座椅子は片付けるのを忘れたらしい。

いい。それは別にいい。問題は帽子だ。

「帽子どうした?」

「おぅ。それよ。分からんくてめっちゃ探したわ。2個あったしどっちにしたらいいのかと思ってこっちにした」

洗濯籠にネットに入れて置いてあった帽子は。

今の帽子がくたびれたら使おうと数年前に買うだけ買ってまだほとんど使ったことのない新品同様の私の帽子。てか、こんなのあったことすら忘れていた。

聞くと私のタンスの中にしまってあったらしい。もう一つはかなりくたびれてちょっと外にかぶっていくには…だけどとても気に入っていたので捨てるに捨てられず残っていた帽子だった。

いや、なんでタンス?なんで家探し?私ちゃんとLINE入れたよね?

夫「リビングのクローゼット」を読み飛ばしてしまったらしい。

私の棚の向かって右端。

棚ってどこやねんということになり私のウォークインクローゼットの棚を物色したが見つからずその他に棚っぽい表現が出来そうなところはタンスしかなかったのでほぼ空っぽのタンスを一つずつ開けて行き見つけたのだとか。

タンスには見られて困る物は入っていないはずだがやはり私の留守中に物色されたとなると面白くない。

それよりなにより私すらほぼかぶったことのない新品同様の帽子を勝手に使われて更に汗だくにされて洗濯する羽目になろうとは。

リビングのクローゼットには夫・私・娘各自の棚があり開けると私の棚がちょうど目線に来る高さなのだが人はそこにあるとは思わない物って見えないものなんだなと再認識した。

って、ちがーう!!

夫には再度普段使いの帽子の定位置を教え次回から新品の帽子をかぶらないように釘を刺す。

ごめんごめん。なんやこんなとこにあったんか。

LINEも斜め読みせずにちゃんと読んでよね。

私の経験や考え方が少しでもお役に立てたなら嬉しいです(◍•ᴗ•◍)