キャパが上限に達した妻に、「何かを辞めればいいと思う」とすすめた。いつの間にか、僕が辞められていた。
ある春の日、妻は言った。
「やっぱり私はまだ、あなたと一緒に住んでいたい。」と。
ある夏の日、妻は言った。
「あなたと話す時間がとても大切だと分かった。」と。
ある秋の日、妻は言った。
「将来やりたいことを考えたいけど、手いっぱいで考えられない。」と。
ある冬の日、妻は言った。
「あなたと話す時間がめんどくさくなったので、辞めた。」と。
そして季節はまた変わる。
ある春の日、妻は言った。
「あの人の1番になりたいのだけれど、どうしよう。」と。
ある夏の日、妻は言った。
「私はたくさんの人を愛したいから、それを受け入れられないなら、あなたとは生きられない。」と。
ある秋の日、妻は言った。
「私は真っ白な世界で、一人ぼっちで生きたいの。」と。
ある冬の日、妻は言った。
「私はもう、あなたの温かさはいらない。」と。
そしてまた、季節は変わる。
ある春の日、妻は言った。
「つかれた。」と。
ある夏の日、妻は言った。
「私は変わるの。前言ったことと今生きてる私は関係無い。」と。
ある秋の日、妻は言った。
「私が愛して欲しい時に、愛してほしいやり方で、愛してください。」と。
ある冬の日、妻は言った。
「分からないけど、会いたくないです。」と。
そしてまた、季節は変わる。
ある春の日、妻は言った。
「私は、あの人を愛しているから、大丈夫。」と。
ある夏の日、妻は言った。
「私はたくさんの人に愛されてるから、大丈夫。」と。
ある秋の日、妻は言った。
「もう、何も無い。」と。
ある冬の日、妻は言った。
「寒い。」と。
ある春の日、私は言った。
「大丈夫だよ。」と。
ある夏の日、私は言った。
「大丈夫だよ。」と。
ある秋の日、私は言った。
「大丈夫だよ。」と。
ある冬の日、私は死んだ。
そして私はまた言った。
「大丈夫だよ。」と。
その大丈夫だよ。は、地上にはもう、届かなかった。
大丈夫.