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「一生消えない大きすぎる傷を人に与えたことに気が付きもしない人は、きっとずっと、それを繰り返すんだろうなぁ」というセリフとサザエさん。

日本のお茶の間を何十年と平和にし続けてきたサザエさんは、一体なにが平和だったのか。

あの10分の物語では、絶対に、生涯残る傷を与える物語が生まれることは無い。

マスオさんは不倫しないし、カツオ君は同級生を思い浮かべてオナニーもしないし、イジメもしない。波平が金に目をくらまして借金地獄に陥って夜逃げすることもなければ、フネがマスオをいたぶることもない。タラちゃんは川で遊んでも流されて死ぬこともないし、ワカメは痴漢を受けることも無い。勿論サザエさんがママ友を虐めることもないし交通事故で人を殺すこともない。

「安心安全」

この世界のほとんどのコンテンツに、なぜか、上のいずれかの要素や似たような要素が入っていて、見ている時に多少の緊張感と恐怖感を感じる。

精神が正常な時は良いんだろうが、コンテンツ疲れの正体はけっこうここにあるのではないだろうか。心に一生残る傷を負った人が、見て感動できるコンテンツは無いに等しく、もはやスポーツと音楽ぐらいしかカバーできなくなっている。しょうもないYouTubeの動画や、バラエティ番組なんかはなぜだかもっと心に大きなダメージを与える。(基本的に出演者が無神経極まりないからだ。)


「一生消えない大きすぎる傷を人に与えたことに気が付きもしない人は、きっとずっと、それを繰り返すんだろうなぁ」


ほとんどの場合、一生消えない大きすぎる傷を与えた人は、それに気が付かない。そして、それを繰り返していく。

「一生消えない大きすぎる傷」は、人を殺す。

その傷をもし背負えたとしても、大半は認知変容で幸福論を語って同じように人を傷付ける人になるか、一生人を信用できなくなって孤独になるかだ。

本当にその傷を背負ってでも大切なものを守り続け、抱きしめ続けて、温度を持ち続けられる人なんて、ゼロに近い。

だが、そういう人が増えることだけが、苦しみの連鎖を止める希望でもある。

ゴミクズはゴミクズであって、ゴミクズを生む。ゴミクズと一緒に傷付いて一緒にゴミクズになってでも絶対に離さずにゴミクズをゴミクズじゃない世界線に持ってゆける人が、希望ではないだろうか。

あなたは今、どこにいるんだろう。

そして、これから、どうするんだろう。

世界はキモイ傷付け合いで、

満ち満ちすぎている。

あなたもその、駒、歯車の、ひとつだろうか。


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