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アツギのタイツを行動心理学で炎上マーケティングを他事例と共に考察!

今SNSで話題になっているアツギのタイツ。

宣伝で使われている絵が性的搾取とかで賛否両論が巻き起こっていますね。

この記事では他にもこうしたジェンダーに関して炎上したり賛否両論があった事例を取り上げて行動心理学およびマーケティング的にどうすると効果的なのか?をまとめます。

性的搾取かどうか?や正しいのかどうか?よりも企業側と消費者側がどうすればこういうマーケティングが増えたり減ったりするのかを書きます。

アツギの件について簡単にまとめると宣伝に使われている絵が性的で炎上しているってことです。

ここでポイントになるのはマーケティングの観点から言えば「炎上している」こと自体は良いことでも悪いことでもないということです。

炎上マーケティングという言葉がある通り「良い炎上」になるか「悪い炎上」になるかは炎上自体とは別の要因が働きます

(ただ、今回の炎上については恐らく企業側(アツギ)にとっては「悪い炎上」になると考えられます。理由は後述します。)

この「良い炎上」と「悪い炎上」になるかの要因をわかりやすく理解するために行動心理学的に見ていきます。

行動心理学をざっくり超簡単に説明すると

きっかけ

行動

見返り
の「見返り」によって「行動」をとる確率に影響及ぼします。

これだけだとなんのこっちゃなので
具体的な例を見てみましょう。

あなたが暖房が効きすぎていて暑いと感じる部屋にいるとしましょう。
この場合あなたの行動を分析して落とし込むとこうなります。

きっかけ 暖房が暑い

行動   温度を下げるボタンを押す

見返り  涼しくなった

この場合暖房の暑さを感じていたあなたにとっては
この「見返り」は良い、プラスな見返りです。
そしてこの「見返り」は次の「行動」に影響を及ぼします。

きっかけ 暖房が暑い

行動   温度を下げるボタンを押す
↓            ↑次回、同じ行動をとる確率UP
見返り  涼しくなった

良いプラスな見返りがあった場合、「行動」をとる確率はUPします

続いて同じケースですが、この部屋が集中管理式で部屋についているボタンでは温度が変化しなかった場合について考えてみましょう。

普段使ったことがない会議室などで、あなたはこの冷暖房が集中管理式だということは知らないという場合ですね。

きっかけ 暖房が暑い

行動   温度を下げるボタンを押す
↓           
見返り  暑いまま!

この場合、「きっかけ」と「行動」は全く同じですが
「見返り」は異なります。
温度を下げるボタンを押したにもかかわらず表示温度は変わらないし暑いままです。

これはあなたにとって悪い、マイナスな見返りです。
この場合はさっきとは逆で「行動」をとる確率はDOWNします。

きっかけ 暖房が暑い

行動   温度を下げるボタンを押す
↓            ↑次回、同じ行動をとる確率DOWN
見返り  暑いまま!

この会議室は集中管理型の冷暖房だということを忘れて何回かはボタンを押しに行くこともあるかと思いますが、
慣れればこの会議室ではボタンを押さなくなると思います。

つまり、「きっかけ」があって
「見返り」が「行動」を制御しているといえます。

同じような行動をとる確率は
見返りがプラスならUP
見返りがマイナスならDOWN

するってことです。

では、今回の件に当てはめてみましょう!

企業側(以後、アツギ社を企業側と記載します)「行動」は宣伝ですね。つまり「きっかけ」にあたる部分はタイツの売り上げを伸ばしたい。になりますね。

では、「見返り」について考えてみましょう。
今回の場合だと(あくまで予想ですが)

主なターゲットは女性であり、その女性たちから批判の声が寄せられるということは「きっかけ」=売り上げを伸ばしたいは達成されていません。
おそらく売り上げは減るでしょうね。

図にすると
きっかけ タイツの売り上げを伸ばしたい

行動   炎上した宣伝手法
↓            
見返り  売り上げ減少

この場合は企業側にとってマイナスの見返りが発生することになるので
同じ行動をとる確率DOWNします。きっかけ タイツの売り上げを伸ばしたい

行動   炎上した宣伝手法
↓              ↑次回、同じ行動をとる確率DOWN  
見返り  売り上げ減少

今回の炎上では「行動」(=宣伝)の目的である
「きっかけ」の売り上げを伸ばすということに対してマイナスな見返りが発生したため「同じようなマーケティング手法を用いた宣伝は減少する」でしょう。
つまり、企業側はこのようなマーケティング手法を取らなくなります。

(仮に批判している方が主に40代、50代で20代、30代の若い層をターゲットに認知を広めようとして現代的な絵を用いて宣伝し、結果として売り上げが伸びたらこの「行動」は企業側にとって「良いプラスの見返り」だったということになりますので「行動」は増加します。)

ここで超重要なポイントなのが企業側は炎上したからこの手法をやめるのではなく、マイナスの見返りが発生したからこの手法を減らすとうことです。
ここがめちゃくちゃ大事なポイントになります。(大事なことなので2回言いました)

記事の冒頭で
炎上マーケティングという言葉がある通り「良い炎上」になるか「悪い炎上」になるかは炎上自体とは別の要因が働きますと述べましたが、

弱小ブランドや無名ユーチューバーが炎上によって認知度が上がり、売り上げや再生数が増えれば企業側(ブランドやユーチューバー)の目的(売り上げ増加や再生数増加)は達成されるのでこのような場合は彼らにとって「良い炎上」ということになります。

では企業側にこのような形のマーケティング手法を減らしてほしい場合はどうすれば効果的なのか?

他にも炎上した事例を挙げてみていきましょう。
まずはこちらの画像をご覧ください。

画像1

宇崎ちゃんは遊びたい!という漫画を用いて献血を促すポスターが炎上した事例ですね。
こちらもジェンダー関係の炎上です。
炎上理由も非常に似たような事例ですね。

こちらも先ほどと同じように行動心理学に基づいて分析してみましょう。

今回の場合、赤十字側のこのポスター作製の「きっかけ」は「献血量を増やしたい」ですね。そして「行動」はこの宇崎ちゃんコラボのポスターを張る宣伝手法です。

きっかけ 献血量を増やしたい

行動   炎上した宣伝手法
↓            
見返り  ???

赤十字側がこのような感じで漫画とコラボするマーケティング手法が増えるのかどうか?
それは「見返り」にかかっているということがわかっていますね。
では見返りはどうだったのか?

見返りの献血量はどう変化したのか・・・(SCMとか色々分析手法ありますがここでは省きます。コラボのみの厳密な抽出は厳しいので他の影響も多少あるかと思いますけど。)

結論から言えば関東圏の献血ルームの手法(宇崎ちゃんポスター宣伝含む)によって献血者数は1都県あたりの平均で250人くらい増えたといえるでしょう。

ということはつまり・・・?

きっかけ 献血量を増やしたい

行動   炎上した宣伝手法
↓                 ↑次回、同じ行動をとる確率UP
見返り  献血量増加 プラスの見返り

似たような炎上理由で話題となりましたが、
見返りおよび次回同じ行動をとる確率はUPしました!

「良い炎上」になるか「悪い炎上」になるかは炎上自体とは別の要因があると述べました。

つまり、企業側にとっての「見返り」がプラスになるか、マイナスになるかが「行動」にとっては重要なわけで「炎上自体」は企業側が行動を変化させる要因たりえないのです。

炎上が起こった結果、
どのような「見返り」が企業側にとってもたらされたのか?

が最も重要な要因なのです。

赤十字社にとっては結果的に炎上で話題になって献血という選択肢を宣伝してくれて献血量が増えてプラスの見返りを得ているわけですね。

もちろん炎上によって長期的なブランドイメージの損失などほかの影響もありますが、行動心理学的に言えば長期的見返りよりも短期的な見返りの方が強い影響を及ぼします。

みなさんも経験ありませんか?
長期的には太るとわかっていても深夜のラーメンや夜食などを食べてしまう。
これはまさに行動心理学的には正しくて、
長期的な太るというマイナスな見返りよりも
食欲を満たすという短期的な見返りの方が強い影響を及ぼしているからです。

これは企業も人も基本的に変わりません(企業も人ですからね)

ではこのような宣伝手法を減らしたい場合(もしくは増やしたい場合)
どのようにするのが行動心理学的に有効なのか?

お気づきかと思いますが、「見返り」をコントロールした方が何か批判的なツイートをするよりも効果的ってことです。

むしろツイートしたことで赤十字社の場合は話題になって宣伝効果が生まれ、
結果的に「プラスの見返り」を与えてしまっているのでこのような「行動」を減らしたいという場合、効果的ではない手段をとってしまっていることがわかります。

「プラスの見返り」があった場合、「行動」は強化されます。同じ行動をとる確率がUPしますからね。

つまり、これら2つの事例からわかることは同じような炎上理由、同じような炎上手法であろうと、
企業側が得る「見返り」によって「行動」が増加するか減少するかは変わるよってことです。

なので、
アツギ社の場合は顧客が女性なので
「マイナスな見返り」→「行動」は減少する

赤十字社の場合は
結果として「プラスの見返り」→「行動」は増加する

ということになります。

この行動心理学は企業だけでなく先ほどのダイエットのように個人にも応用できます。特に個人の場合は見返りをコントロールしやすいですから行動も変えやすいです。

※もし興味がある方は行動分析、応用行動分析(ABA)、認知行動療法などの書籍などで学ぶことができます。

なので企業側にこういった手法をとってほしくない場合は、
こういった宣伝方法は嫌悪感がある!というよりも、どのような見返りを求めていて、その見返りがマイナスになるように行動すればいいわけです。

赤十字社の場合であれば献血に絶対行かない、とか危険性(実際ないんだけどね)を訴えるネガキャンをするとかですかね(あくまでそういう手のが効果的だよってだけで嘘は良くないと思いますけどね)

簡単にまとめると
企業側にとって「良い炎上」か「悪い炎上」かは見返りによって決定され、
炎上の元となった行動は増減するってことです。

このようなジェンダー系を含む炎上するマーケティングの良し悪しについては一切言及していません。

あくまでこういう仕組みだから企業側の「見返り」をどうするか?によって「行動」は増減するから、この「見返り」をコントロールしようとした方が行動心理学的に効果的だよってことをお伝えさせていただきました。


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私はお金を払ってくれるだけの有益な記事が書けたんだなと感じ
記事を書くという「行動」が増加します!

逆にこの記事には1円の価値もないのか、となると
記事を書くという「行動」は減少します。

行動心理学的に私がどう動くか?の実験の意味合いも込めて
投げ銭してみるのも面白いと思いますよ!笑

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