必要条件と十分条件
どもです。
巷ではコロナウイルスのオミクロン株による感染で騒がれています。
最後に「オミクロン」という言葉を聞いたのは大学院時代です。こんな形で再び耳に入ろうとは、なにがあるかわからない時代ですね。
今回は必要条件と十分条件について、少しご説明させていただこうと思います。
高校の時に習ったときは、その言葉の意味は二の次にして、とりあえず答えを出せれば良かったと思っていましたし、場合によっては今の高校生に教えるときも答えを出す方法を第一に教えるぐらいです。
(意味を丁寧に説明するとかえって混乱を招く可能性大なので。。。と、僕の下手な教え方を棚に上げています)
一度わかってしまえばなんてことないものですが、それまではチンプンカンプン。
ゆるーく、だけれど腑に落ちるように、一緒に見ていきましょう
具体例
まずは具体例です。
あんまり身構えないでください。首や肩の筋肉をほぐしながらいきましょう。
次の2つの文章を考えてみましょう。
A:日本人である
B:地球人である
さて、あなたの目の前に権兵衛さんという方が突如現れました。
このとき、次の2つの状況を考えます。
①権兵衛さんが地球人であることを知らされました(宇宙人じゃなくてよかった)。
でも、それだけでは日本人であることはわからないですよね(名前は思いっきり日本風ですが)。
でもでも、権兵衛さんが日本人であるためには、最低限地球人である必要があります。
当たり前のことですが、この当たり前の感覚と「必要」という言葉を覚えておいてください。
②権兵衛さんが日本人であることを知らされました(名前の時点で分かっていましたが)。
このとき、権兵衛さんが地球人であることも自動的に言えます。
(だって、日本人って全員地球人じゃない? そうじゃない方がいたらこっそり教えてください)
つまり、権兵衛さんが地球人であるためには、日本人であれば十分ですよね。
当たり前のことですが、この当たり前の感覚と「十分」という言葉を覚えておいてください。
つまり、上で考えたことをまとめると以下のように言い換えられます。
①権兵衛さんが地球人であることは、日本人であるための必要条件である
②権兵衛さんが日本人であることは、地球人であるための十分条件である
これで終わりです。
数学の問題として取り上げられるのでよくわからないですが、日常的な例だとしっくりくるんじゃないでしょうか?
必要条件のイメージは、結果が成立するためにはその条件が成立することは絶対必要だけど、それだけで結果が成立するかどうかはわからない。
(上の例だと、条件:権兵衛さんが地球人である 結果:権兵衛さんが日本人である)
十分条件のイメージは、その条件が成立すれば必ず結果も成立する。
( 上の例だと、条件:権兵衛さんが日本人である 結果:権兵衛さんが地球人である )
もう少しだけ詳しく知りたいよ、という勉強熱心な方は、次の章からもお読みください。
集合という概念
必要条件と十分条件を厳密に理解する(答えを出す?)ための唯一の準備が「集合」の概念です。
普段イメージする「集合」って↑のようなイメージだと思いますが、数学でも同じです。
ただ、集まっているのが数字やら文字やら図形やら関数やら・・・といった違いがありますが。
集合の記法は直感的です。
例えば、自然数$${(1,2,3,4,\cdots)}$$全部入りの集合$${A}$$というのを考えてみます。
$$
A=\{1,2,3,4,\cdots\}
$$
こんな感じで書けばOKです。
自然数って無限にあるので、書けないところは・・・と省略しています。意外と数学も適当なところを残して、お茶目ちゃんです。
蛇足ですが、下のような書き方でもOKです。ふーん、で?って感じは否めません。
$$
A=\{n | nは自然数\}
$$
さて、大事なことを言います。それは「部分集合」です。
これはぶぶ漬け(お茶漬け)集合です。
惜しいです。
部分集合というのは、既にある集合の一部分の要素を持った集合、というものです。
例えば、次の集合$${B}$$は先ほどご紹介した自然数の集合 $${A}$$ の部分集合です。
$$
B=\{1,2,3\}
$$
$${B}$$ は $${A}$$ の部分集合であることを、数学の記号を使って $${B\subset A}$$と書けます。
準備はこれだけです。
え?ほんまに?
ほんまです。
必要条件と十分条件の判定
結論から申し上げましょう。
ただし、以下 $${B\subset A}$$とさせてください。
要素 $${x}$$ が $${A}$$ に含まれていることは、要素 $${x}$$ が $${B}$$ に含まれているための必要条件である
要素 $${x}$$ が $${B}$$ に含まれていることは、要素 $${x}$$ が $${A}$$ に含まれているための十分条件である
上の権兵衛さんの例だと、要素 $${x}$$ が権兵衛さん、集合 $${A}$$ が地球人の集合、集合 $${B}$$ が日本人の集合ですね。
もっとシンプルに以下のように考えても大丈夫です。
$${A}$$ は $${B}$$ であるための必要条件
$${B}$$ は $${A}$$ であるための十分条件
これで終わりです。
いやはや、長いようで短かったですね。お付き合いいただきありがとうございます。
お疲れさまでした。
ん・・・・??
なんでしょう。
とある高校生「数学の問題の選択肢には、必要十分条件だったり、必要条件でも十分条件でもないってあります」
りま「そうですか。おやすみなさい。」
そんなこと言ったら信頼もクソもない大人になってしまいます。
高校生から見た時の30代40代ってすごく大人に見えますけど、実際に自分がその年代になったとき、思ってた程大人じゃないな~なんて思いますよね。
何の話しているんでしょう。
とある高校生のご質問に答えさせていただきます。
上では $${B\subset A}$$ としましたが、今回 $${A=B}$$ とします。つまり、両者はまったく同じ集合とします。
要素 $${x}$$ が $${A}$$ に含まれていることは、要素 $${x}$$ が $${B}$$ に含まれているための必要十分条件である
要素 $${x}$$ が $${B}$$ に含まれていることは、要素 $${x}$$ が $${A}$$ に含まれているための必要十分条件である
お気づきの通り、どちらを前に持ってきても大丈夫です。
言い方や表現が変化しているだけで、実は同じ集合同士の関係性なんだ、ってことですね。
また、 $${B\subset A}$$ 、 $${A\subset B}$$ 、 $${A=B}$$ のどれでもないとします。
要素 $${x}$$ が $${A}$$ に含まれていることは、要素 $${x}$$ が $${B}$$ に含まれているための必要条件でも十分条件でもない
要素 $${x}$$ が $${B}$$ に含まれていることは、要素 $${x}$$ が $${A}$$ に含まれているための必要条件でも十分条件でもない
まとめると、必要条件や十分条件は、2集合間の包含関係(他方が他方の部分集合)があるときに登場する考え方なのですね。
今回もゆるーくお付き合いいただき、ありがとうございました。
今日のひとこと:日常で必要条件やら十分条件をこれ見よがしに使うと、嫌われます。
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