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【2022.09.15 イベントレポート】Deep Domain の技術者として大切にしたいこと / ファストドクター

皆さん、組織やカルチャーづくりにおいては非常に悩みも多く、手探りなこともあるのではないでしょうか?
特に、スタートアップフェーズにおいての組織やカルチャーは非常に大きなissueです。そこで今回はスタートアップの中でも既存産業DXをリードしている5社によるLT形式で様々な事例をご紹介するイベントを開催しました。

こちらではイベントで紹介した内容を各社のレポート形式でご紹介させていただきます。様々な企業の取り組みをぜひ参考にしてみてください。

今回は、ファストドクター株式会社 宮田氏のLTをご紹介いたします。


宮田芳郎 | ファストドクター株式会社 |前:技術開発部長(12月から CTO就任)

ファストドクター 宮田芳郎氏(以下、宮田):ファストドクター株式会社の技術開発部長(イベント当時。現在はCTO)の宮田と申します。ファストドクターという名前の通り、医療系のスタートアップです。前職はEd-Techの会社に所属していました。去年の12月に医療の可能性を広げたく当社にジョインしました。現在は技術開発部長(当時、2022年12月からCTO)としてプロダクト開発とテック組織醸成のリードをおこなっています。


ファストドクターとは

深夜23時23分、遠くに住む実家の母親から電話が来ました。
「父親がめまいと頭痛がすると言っている。普段と様子がちょっと違う」と。
エンジニアとしていくら力があっても打つ手がありません。
私たちはこのような時にいつでも医師に相談ができて、必要時には医師の診察を自宅で受けることができる救急往診・オンライン診療サービスを提供しています。

「Deep Domain × 急成長組織」の難しさ

今日の登壇について考えている中で、我々の課題となる部分に一番近い言葉を探しており「Deep Domain」という言葉が一番しっくりきました。ドメイン知識が深いことを指しています。

我々でいうと医療になりますが、法律や行政、製造業等の様々なところでドメイン知識は必要になります。我々の分野は特にDeep Domainが求められる上に、ありがたいことに会社が急激に成長している事がさらに難しさを底上げしています。つまり、ただでさえ深堀りが難しい医療分野のDXを、そのドメインに新しく触れ始めた人たちで成し遂げる使命があるのです。ちなみに1年で3.5倍の組織に成長しています。そのため「分からないこと」を「分からない人たち」でやるということが非常に難しいです。そのため組織としての学習方法が非常に重要になるのです。

スタンス:ーHRT + 学習者としての感謝

H(謙虚(Humility)、R尊敬(Respect)、信頼(Trust)
ベースとなる知識は動画でのオンボーディングなどの仕組みで獲得しつつ、専門家に「いかに快く教えてもらえるか」は非常に大事です。そして、教えてもらった時にきちんと感謝をお伝えしつつ、「成果でお返しする」ことへこだわりを持つことをカルチャーとしても重要視しています。

スタンスー一次情報を取得する

続いて、一次情報を取得する重要性です。エンジニアは医療は門外漢なのでドメインスペシャリストと接していくには、自ら一次情報を得ることは非常に重要だと思っています。実は弊社ではエンジニアもコロナの波の立ち上がりの時などはコールセンターのオペレーターを担うこともあります。後は、ジョブシャドウイングを行うこともあります。
私は家族に精神科医がいるので、我々のオンライン診療で、実際に仕事をしてもらうことでも一次情報を得ています。
一次情報を持った上で、仕様を考えプロダクト開発をすることでユーザーさんからのプロダクトへの信頼も上がります。

スタンスードメインスペシャリストと膝突き合わせて考える

これが一番の王道です。ドメインスペシャリストとエンジニアが膝突き合わせて、高質なコラボレーションで取り組み、同じゴールに向けて走るということが圧倒的に最強です。そのため、この時間をいかに生み出すかを考えていますね。教え合うサイクルを構築したり、一緒に作ったものを一緒に触ったりしています。
夜間の往診車で移動中の操作を再現するためにスクラブ(医療着)を着て部屋を暗くして、出来るだけ実際に現場で利用するシーンを再現して目の前で機能を使ってもらいます。

スタンスー逆アプローチ:「思考停止の濃さ」を出発点に

課題発見のショートカットがあるなと思っています。思考停止の濃さみたいなものを感じて、濃いところに課題があるはずだと深ぼっていくやりかたです。思考停止しやすい領域として「専門性の高いチームの狭間」「歴史的経緯の狭間」があると思っています。
まず「専門性の高いチームの狭間」についてです。例えば、管理会計と診療報酬計算のチームは互いに高い専門性があり、会計をあつかうという意味で隣接しています。片方に熟達した専門家は多くいますが、双方に熟達した専門家はいないのが普通です。このような状況ではインターフェースを決めて連携するのが基本です。全体最適できればQCDがグッとあがる課題が潜んでいる可能性が高いです。
次に「歴史的経緯の狭間」についてです。当社では新しい仲間がどんどん増えています。立ち上げ当初から残っているメンバーも多くいます。新しく入ったメンバーが、ある業務に疑問を持って質問をした時に、「2年前の経営意思決定でこのようになっています」と回答されたときに、一旦は「ああ、そうなのですね」と受け入れるのが普通と思います。この状況も思考停止が増えやすい状況です。このストーリーのポイントは、「過去に偉い人が決めた」という点です。このような状況も思考停止しやすいシーンです。現実は、当時の状況でそのような意思決定がなされたというだけです。当社の経営陣はクイックに変えていって欲しいと思っていて、状況が変わった今も同じようにやり続けてほしいとは思っていないです。なぜこうなっているのか、を解きほぐしていくと、緊急避難的な一時的な運用が残っているだけのこともあります。低コストでQCDがぐっとあがる「宝」のような課題が潜んでいる可能性があります。

まとめ

ドメインスペシャリストとコラボレーションのポジティブなサイクルとして回っていくために、教えてもらって学び深めて、一緒にやって成果を出して讃えあうっていうようなサイクルをやっていきたいと思っております。

Q&A

Tebiki 渋谷和暁氏(以下、渋谷)何か議論が煮詰まってるなぐらいの感覚でミーティングしていたことがあって、思考停止のパターンめちゃくちゃ勉強になりました。ちなみに、この4つのスタンスを考えるきっかけとなった原体験はありますか?

宮田ありがとうございます。前職の経験が結構強いですね。教育のプロダクトを作るのに、先生に教えてもらったり、教材を作る人に教えてもらったりして作っていくんですけど、毎週定例ベースでしか物事が進まなく遅いなと思う時がありました。そして膝突き合わせて一緒に考えたらすごく速くなったんですよ。その体験が大きいですね。

渋谷なるほど。先生や専門家(ドメインスペシャリスト)の方と会話する中で、共通言語?ユビキタス言語?のような共通のワードみたいなものを意識して会話されたりしますか?

宮田そうですね。やっぱり用語が共通化されてないと、コミュニケーションがそもそも成り立たないので、そこは我々もすごく大事にしています。用語集を共有したりしています。あとPharmaXさんと同じように、SQLを看護師の方が書くこともあります。そうすると「レセプションテーブルあるじゃないですか〜」みたいな感じで、結構テーブル名とかで会話ができたりします。

渋谷SQLを書ける看護師さんってのはすごいですね。

宮田そうですね。弊社も自分たちで書きましょうというカルチャーなので積極的に学んでもらっています。
ご清聴いただきありがとうございました!
是非また次回のイベントでお会いできることを楽しみにしています。


ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございます!
領域が深いからこそ社外の方の力も活用しプロダクト開発に向き合っているファストドクター。みなさんもなにかお持ち帰りいただけるトピックスがあれば嬉しいです。
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