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SeanEllisテスト「このサービスが無くなったらとても残念か」は有用な設問か?(2/2) 

前回の投稿では、Sean Ellisテストをやみくもに取る前に、本質目的に立ち返り、自社なりの測定指標を設計する必要があることをお伝えしました。
では、どのように設計を検討していけばよいでしょうか?

ここでは、Sean Ellisテストで起きがちな代表的な2つの事例を挙げて、その対策をお伝えします。

1.ユーザーの応援要素が邪魔をする場合がある

Sean Ellisテストで「とても残念である」と回答をしたユーザーの深掘りをしたところ、以下のようなケースに出会います。

"自分たちが抱える課題に向き合ってくれる企業やCEOを大切にしたい。これまで同じように挑戦していた企業が何社も撤退していった。
この会社のサービス自体は、自分はそこまで強く惹かれてはいないし、自分自身は使い続けるかはわからない。でも、この企業が無くなったら、自分としてはとても残念だから「とても残念である」と回答した。"

難しいのは、ユーザー自身も嘘をついているわけでなく、ユーザー自身の論理で「とても残念である」と結論づけているところです。
これはCEOとユーザーが近い関係性であったり、ハードルの高い社会課題を解決する企業で起きる傾向が高いです。

対処方法:


Sean Ellisテストと併せて、「このサービスを使い続けるか、お金を払い続けるか」の設問も取りましょう。
上記のユーザーたちは、Sean Ellisテストでは「とても残念である」と回答をする一方で、この設問に対しては「使い続けるかはわからない」「払い続けるのは難しい」という回答をしてきます。そこでユーザーの本心の確認が可能になります。

2.ユーザーの将来への期待要素が邪魔をする場合がある

Sean Ellisテストで「とても残念である」と回答をしたユーザーの深掘りをしたところ、以下のようなケースに出会います。

"今のサービス自体に自分は満足していないけれど、今後、機能や製品の改善が進んで、自分が期待していることが実現してもらえるかもしれないから今の時点で「とても残念である」と回答した。"

これは、Sean Ellisテストでは今のサービスに対する心理を聞きたいのですが、将来の期待値と混同して回答されてしまう状況です。
ユーザー自身もイメージが沸いていないが、とにかく最後こういうことができたらいいなという思いが強いユーザーや、代替手段があまり充実しておらず、その企業に過度な期待がかかる市場で見られます。

対処方法:

Sean Ellisテストと併せて、現在のサービスに対する満足度の設問も取りましょう。上記のユーザーたちは、Sean Ellisテストでは「とても残念である」と回答をする一方で、現在の満足度に関する設問に対しては「あまり満足していない」という回答をしてきます。そこでユーザーの本心の確認が可能になります。

さて、いかがでしたか?
一番お伝えしたいことは、Sean Ellisテストで「とても残念である」の回答が、別の思惑を持つことがあり、必ずしもCXOの意図を反映した回答にならない可能性があるということです。
そのため、私は、Sean EllisテストだけをPSFやPMFの判断基準にしていくのは危険と思っています。ユーザーの真の本音をくみ取れるアンケート設計を検討していきましょう。

最後まで、お読みいただきありがとうございました!X(@YukaKayama)でもPMFに有益な情報を発信していきます。フォローしていただけると嬉しいです。

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