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司法試験受験生がB Dash Camp Nextに参加してみて

人生のかかった司法試験の合格発表をB Dash Camp Nextで迎える、それだけでも十分変なことだし、何なら親不孝まである。

そして、それだけにとどまらず、登壇してスクリーンに法務省HPを映し出して合否の瞬間をライブでお届けする、そんな変すぎる提案を受け入れてくださった運営の方々・一緒に盛り上がってくださった参加者の皆様に感謝を込めて、同サイドイベントについてnoteを書かせていただきたい。

初めてのnoteだしインパクトあった方が良いかなとか思ってこんな出だしにしてしまったが、真面目に言うと感謝ポイントはもっと他にあり、そしてその度合いはめちゃくちゃ高い。

創業前の学生が参加できるサイドイベントは管見の限り他になく、後述の通りコンテンツも大変学び多く、我々経験の浅い学生からすると人生に与えるインパクトは相対的に著しく大きい。
現に自分は、司法試験合格発表日、京都に帰る新幹線の中で、今まで準備してきたものとは全く違う業種の事業計画書を書きなぐっていた。

1. B Dash Camp Nextとの出会い

(1)サクッと自己紹介

7月に司法試験の受験を終えた後、かねてから思案していた事業の実現に向けて、京大起業コミュニティKSLに入会した。

それまで自習室に引きこもってひたすら受験勉強をしていた分、Skyland Venturesの木下さんが弊会オフィスに来てくださったときですら、「この方は何をされている方なんだろう」と思っていたくらいには世間知らずだった。(この日の夜に深く反省し、まずはTwitterの運用を開始した。#起業しろ)

(2)スカラーシップ落選

弊会代表田中は、凄まじい頻度でスタートアップ関係のイベント情報等をコミュニティのDiscordに共有してくれる。私は脱世間知らずに向け、全イベントにひたすら申し込み続けていた。(その結果今日も、東大松尾研GCIのプログラミングの課題に追われている。)

そして、申し込み続けていれば当然落ちるものもあり、それがB Dash Campスカラーシップであった。

(3)それでも自費で福岡へ

その後いくつかのイベントに参加し、少しずつスタートアップ界隈のことが分かってきた頃、失ったものの大きさに気が付いた。

打ちひしがれていた折、East Ventures平田さんがTwitterにてB Dash Camp Nextの告知を行なっているのを拝見した。
受験前シフトを抑え目にしていたツケで、宿泊費は捻出できなかったが、交通費くらいは絞り出せそうだったので、日帰り前提で申し込んだ。

2. B Dash Camp Nextのコンテンツ①

(1)Startup Story of HOKUTO

このセッションは、株式会社SmartHR取締役ファウンダー/Nstock株式会社代表取締役の宮田昇始さんがモデレーターとなって、株式会社HOKUTO代表取締役会長の五十嵐北斗さんの創業前〜今までの経緯を深掘っていくというものだった。

本noteの冒頭において、「京都に帰る新幹線の中で、今まで準備してきたものとは全く違う業種の事業計画書を書きなぐっていた。」と述べたが、そのきっかけとなったのがこのセッションである。
以下、特に印象に残った五十嵐さんの経験談を2つ挙げる。

ペットと飼い主に対して高い熱量を持っていた人と、トリミングサービスを提供する会社を設立
  ↓
五十嵐さん自身はペットを飼ったことがなく、この事業にこだわりを持ちきれなかった
  ↓
トリミングサービスを考案した共同創業者が離脱
  ↓
残っていたメンバーも全員会社を去る

2社目廃業までの経緯

帰省する際に立ち寄った空港でばったり高校の同級生に会い、医学部生の就活事情を知る
  ↓
国内の全医学部82ヵ所を周り、直接課題をヒアリングし、HOKUTO residentをリリース
  ↓
1年後、かつてヒアリングで出会った医学部生が現役の医師になったタイミングで全国の病院を周り、直接課題をヒアリングし、HOKUTOをリリース
  ↓
HOKUTO residentは医学部生の約9割が使用、HOKUTOは医師の約2割が使用

3社目爆伸びまでの経緯

このお話を帰りの新幹線で反芻していた折、「自分は来年の導入修習で約1800人の司法修習生に会えるなあ」とふと思い、次の瞬間には、自分自身が弁護士としてのキャリア形成について抱えていた悩みが脳裏をよぎり、それが、別途ここ数ヶ月間思い悩んでいたスタートアップ企業の法務課題と干渉し、1つのサービスとなって浮かんできた。

本題から逸れるので同サービスの内容は割愛するが、うまくいけば、大AI時代の中で自分にしか出来ないことを模索する同世代の弁護士と、法務体制の構築に苦戦するスタートアップ企業のお力になれるのではないかと、若輩者ながら夢描いている。
これまで準備してきた事業でヒアリングに苦戦してきた私にとって、最大のポイントは、次の対象は双方とも、自分自身が近い距離で課題を感じられる位置にいることである。

一般論として、必ずしも課題との距離感が近くなければならないというわけではないと思うが、いずれにしても、五十嵐さんの具体的なお話をもって、「ヒアリングが重要」という言葉の真の意味を理解した人は多かったのではなかろうか。

(2)Startup Story of KEEN

このセッションは、株式会社Startup Laboratories代表取締役/弊会(旧帝大起業コミュニティQSL)代表の田中隼人がモデレーターとなって、KEEN株式会社代表取締役の小倉一葉さんの創業前〜今までの経緯を深掘っていくというものだった。
以下、特に印象に残ったお話を2つ挙げる。

資金調達が必要だった頃の小倉さんは、サブリミナル効果を狙って結婚式でも木下さんに挨拶しに行っていた
  ↓
本来時間を取ってもらい難い方であっても、学生であれば話を聞いてもらい易かったりもする
  ↓
機会に恵まれていることを自覚しつつ、殻を破って機会を掴み取りに行く勇気が重要

カンファレンスの過ごし方(初級編)

時間を取ってもらい難い方のところに行けば良いというものでもない
  ↓
多くの起業家が列をなすキャピタリストと話せたとしても相手の印象には残りにくい
  ↓
限られた時間の中で、向き合うべき機会を取捨選択する戦略も重要

カンファレンスの過ごし方(中級編)

その他、起業時に合同会社を選んだことにより生じた弊害や、KEENという社名に込められた思いもお聞かせいただいた。
詳しくはこちらにもまとまっており、大変参考になるので、是非ご参照いただきたい。

3. B Dash Camp Nextのコンテンツ②

(1)VCカフェ

上記セッションの後、後述する「NEXTシャウト」との同時進行で開かれていたブースが、「VCカフェ」だ。
私は、次々と繰り広げられる個性豊かなNEXTシャウトに釘付けで、VCカフェを訪れることはできなかったが、キャピタリストの方々が、事業相談から恋愛相談まで何でもライトに相談に乗ってくださっていたとのこと。

(2)NEXTシャウト

このセッションは、約30人の希望者が、それぞれ3分間ピッチを行うというものだった。
ピッチのテーマは、十人十色にもほどがあるやろというレベルに多様で、飽きる暇なく楽しく拝聴していた。

この日個人的にたくさんお話しさせていただいた方々のピッチタイトルだけ列挙してみても、やはりバリエーションに富みまくっている。

・JPYC株式会社代表取締役岡部さん
  『イノベーション阻害勢力との戦いにカツ!』

・株式会社Difun代表取締役KAILUNさん
  『モテたきゃ失恋しろ』

・株式会社CryptoCoco代表取締役坂井さん
  『プロダクトをできるだけ開発しないで仮説検証する方法』

・GoMA株式会社平賀さん
  『人生の最期から逆算して』

私はというと、ちょうど同日16時に司法試験の合格発表があるということで、法務省のHPをスライドに投影しながら、参加者の方々に自分の受験番号を探してもらい、1番最初に見つけてくださった方に無料法律相談券を進呈するという、変なシャウトを企画させていただいた。

落ちて地獄の空気を生み出してしまったらどうしようという不安はあったものの、「今しかできないこと」が大好きな自分としては、やらずにはいられなかった。

結果、無事合格することができていた。会場のほぼ全員がはじめましてなのに、びっくりするくらい一緒になって盛り上がってくださり、温かい空気感に感激した。

降壇後、弁護士の先輩でもあるSkyland Venturesの中村さんが、「何より先に親に電話してきな」と言ってくださり、猛ダッシュで会場を出て親に電話した。電話越しに親が号泣してくれたので、さすがに若干もらい泣きした。若干。冒頭に述べた「親不孝」も若干低減できていると嬉しい。

4. その後

合格発表の2日後は、先月から参加させていただいている「Kyoto Startup Challenge」という事業立ち上げ支援プログラムにて、エクイティファイナンスを学んだ。

同プログラムで今まで検討してきたものとは全く別の社会課題に対する意識が強くなっていたため、同日、「KYOTO SOCIAL IMPACT PROGRAM」というインパクトスタートアップ支援プログラムにも応募させていただいた。その4日後、集団面接を経て、何とか採用していただくことができた。

その2日後、「20’s Kyoto Innovation Academy」に参加させていただいたところ、新しく考え始めた事業のMVPについて妙案をいただくこともできた。

こうして直近の活動を振り返ってみても、やはり学生のチャレンジに対する大人の方々のご支援はびっくりするくらい温かく、感謝してもし切れない。

これからも、KEENの小倉さんのお言葉を胸に殻を破り続け、HOKUTOの五十嵐さんの経験談から着想を得た事業を進めながら、B Dash Camp Nextでお会いすることのできた凄い方々に追いついていけるよう、研鑽に励みたい。

最後まで冗長な拙稿をお読みいただき、誠にありがとうございまいた。
末筆ではございますが、素敵な場をご提供いただいた運営の皆様に、改めて深く御礼申し上げます。

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