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典型的な就活生

就職活動に迷っていた僕は

朝井リョウの『何者』を読む事にした。


今回は『何者』の登場人物について考えていこうと思う。

しかし、彼らを並べてこういう人という紹介ではない。

作品全体を通して私が彼らから感じたことを正直に話していく。


彼らはデフォルメされた就活生だった。

2019年の大学生が約290万人、

就職活動が本格化するのが4年生、院への進学などの特殊な事情を含めると

だいたい50万人ほどだろうか就職活動に参加するのは。

本作品において主な登場人物は5人。

映画だと6人で宣伝されているが、私が小説を読んだ感覚だと5人だ。


この5人は就活生のイメージをそれぞれに詰め込んだような性格だなと私は感じた。

私自身が就活生だということもあり、描き出される内面はどこかで感じたことや

実際に見たことだった。

大体就活生はパターンに分けることができると思う。

・就職活動が得意な人

・就職活動に長い間取り組んでいた人

・周囲の流れで就職活動を始めた人

・就職活動に嫌悪感をもちながら必要だからと我慢する人

こんな感じだろうか、実際はもっとパターンがあるが

この人だけは他とは違うということはならないと思う。

『何者』の登場人物はこのパターンが共存しやすいように人格が設定されているような気がした。

だからこそ自分は登場人物の中に自分と似ているところを感じることができたというものもある。

このデフォルメされた就活生たちは自分が特別でもなんでもない一人の人間だということを嫌が応にも突きつけてくるような静かな凄みがあった。

彼らは決して強くない。弱々しく社会の荒波に飛び込んでいこうとする僕と同じ大学生だった。

そんな人たちだからこそ僕は自分を彼らに重ね、自分自身の就活観を見直す事にしたのかもしれない。

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