蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
蓮ノ空との出会い
私が蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブと出会ったのは、スクフェス2でした。元々ラブライブ!シリーズは、熱の深さ浅さに高低差はあれどマイペースに追い続けてきたので、バーチャルスクールアイドルなるものが始まることは知っていましたが、正直なところ当時メインで追っていたAqoursをはじめ、虹ヶ咲とLiella!のアニメで手一杯であったので、当初は手を出さないと決めていたまであります。自分にとってラブライブ!シリーズは、学生時代のいちばんの支えと言っても過言では無いくらい大きな存在で、その中で生半可な気持ちで追いかけるのもどうなのかと思ってしまう部分もあったので、それなら最初から知らないままでいた方がいいな、と思ったのが大きな理由です。ですが、スクフェス2がリリースされて、懐かしい曲たちをシャンシャンしていた時に不意に出会いの瞬間が訪れました。彼女たちのはじまりの曲、
「Dream Believers」
との出会いでした。燻っていた気持ち、やるせない想い、閉じ込めていた葛藤、そんなモヤモヤで溢れつつもそれらを見ないようにしまっていた私にとって、その扉を吹き飛ばして開いてくれたような、そんな感覚でした。
「いまを頑張ることが楽しい」
「デコボコの道だって 大丈夫さ」
一度聴いただけで、青春群像がありありと浮かんでくる爽やかさと一部の儚さを持ったメロディ、ラブライブ!シリーズの核心をつくような歌詞に惚れ込んで、この瞬間から私は追わないでいるのは勿体ないと思うようになり、アプリ「Link! Like! ラブライブ!」をインストールしました。
蓮ノ空の魅力:ストーリーの重厚さ
私がラブライブ!シリーズの中でも蓮ノ空に深くはまっていくようになった理由のひとつは、間違いなく「ストーリー」もとい「活動記録」にあります。はじめのうちは何より時間が長いことから、気軽に手を出せるようなものではありませんでしたが、ひとつ読むと次が気になる、というように次第に長さは気にならなくなっていきました。アプリ リンクラでの活動記録として展開されるストーリーは、蓮ノ空のメンバーがいつどんな体験をしたのか、どういうやり取りがあったのか、何をして過ごしていたのか、そういった今までのラブライブ!シリーズのアニメ時間枠という限られた中では描き切れなかったような細かな描写までがされており、自然とメンバー1人1人の解像度が上がっていきます。この子はこういう時こうする、こう思う、そういった一面がひとつひとつ積み重なっていくことで、メンバーが本当に3次元に存在している人物のように感じられ、感情移入を容易にさせているところが、今までのシリーズにはない蓮ノ空の特徴だと思っています。
蓮ノ空の魅力:リアルタイム性
何より、蓮ノ空を語る上で外せないのが「リアルタイム性」です。今までのラブライブ!シリーズは、アニメの放送がされていく中での時系列はあっても、それが実際の私たちの世界線とは進み方も奥行きも違っていましたが、蓮ノ空はそれを超え、私たちの生活と全く同じ時間軸を進んでいるというのが、蓮ノ空にしかない面白さであると思っています。ストーリーにしても、配信にしても、Fes×LIVEにしても、更にはキャストたちによるリアルライブにおいても、蓮ノ空は実際の時間軸を元に動いています。これを可能にするというのは、キャストを筆頭にプロジェクトに関わるスタッフの方々の日常を蓮ノ空が生きる時間軸に合わせる必要があり、供給を受け取っているうちに段々と麻痺してくる部分はありますが、相当大変なことであると分かります。
そのリアルタイム性が今までのラブライブ!シリーズに起こした革命として、「ラブライブ!」への出場を実際にリアルタイムで見届けることができたこと、がひとつあります。10月に行われた竜胆祭の地区予選にはじまり、12月の北陸大会と、彼女たちが実際に「いま」まさにラブライブ!に挑戦している様子を見守り、更に予選通過できたのか、という結果待ちのドキドキまで共に味わえたことは、今までのラブライブ!シリーズには無かった、所謂モブ的な立場から彼女たちを応援することを可能にしたという点で、革命的な過程だったと思っています。
蓮ノ空の魅力:ユニット展開
蓮ノ空は、これもまた従来のラブライブ!シリーズには無い、ユニットを前提とした展開がベースにあります。これまでのラブライブ!シリーズは、μ's、Aqours、Liella! の、グループ活動をベースにしたシリーズと、ソロ活動をベースにした虹ヶ咲がありますが、いずれも展開の中でユニットが組まれ、あくまでも主軸はグループあるいはソロに置かれていました。蓮ノ空は、ユニット活動をベースに置いたことによって、学年の縦の繋がりをより強固に描くことを可能にしたと思っています。個人的な感覚ですが、これまでのラブライブ!シリーズは同学年の横の繋がりがまずはじめに作られ、グループとして人数が固まったのちに学年を超えた関係性が作られていった印象ですが、蓮ノ空はそうとは限らず、スクールアイドルを始めるきっかけも続ける理由も、まずは先輩後輩の関係の中に在って、その上で更に横、違うユニット同士の縦の繋がりへと展開されていったと思います。この結果、従来のシリーズと比べて先輩と後輩との絆が強く感じられるだけでなく、横やユニットを超えた繋がりが見えるとまた違った良さがあり、メンバーそれぞれがお互いを想い合う様子が綺麗に見えてきます。
ストーリーでは、主にユニットごとに焦点が当たりながら展開がされていますが、スリーズブーケならラブライブ!決勝後、DOLLCHESTRAならオープンキャンパス、みらくらぱーく!なら夏の慈 復帰、あるいは2月のシャッフルユニット辺りが特に印象的でしょうか。それぞれ、スリーズブーケは花帆と梢、DOLLCHESTRAはさやかと綴理、みらくらぱーく!は瑠璃乃と慈、2人の関係性が揺らいでは寄ってという様子を丁寧に描いていますが、その過程で必ず、花帆、さやか、瑠璃乃の103期生の繋がり、梢、綴理、慈の102期生の繋がりがどこかしらに見えます。103期生はそれぞれ、自分の所属ユニットの先輩がきっかけでスクールアイドルを始めることになりましたが、活動の中でやっぱり同じ学年同士、支え合える仲間として苦楽を共にする姿が可愛らしいですし、102期生は1年生時代の1年間がたとえ辛いことの多いものであったとしても、出会って1年間一緒に同じ夢を見て切磋琢磨してきた仲間であるということは揺らがないんだと思わされます。勿論、2月のシャッフルユニットで特に描かれるユニットを超えた繋がりもまた面白く、ここまで全ての組み合わせを丁寧に描けるのはやはり蓮ノ空ならではなのかなと思います。
蓮ノ空の魅力:シンクロを超えたシンクロ
ラブライブ!シリーズの醍醐味といえば、主にリアルライブで見られるキャラとキャストのシンクロだと思います。蓮ノ空でも勿論、リアルライブの場においてはそれが見られますが、そのバックに流れるキャラのライブ映像であるFes×LIVEの様子というのは、実際にキャスト自身がバーチャルキャラクターを通して行ったものである、というのが特異的です。つまり、リアルライブの場でキャストがキャラにシンクロさせてパフォーマンスをする以前に、キャストはキャラ自身を成立させている存在であるということです。配信であるWith×MEETSでも同様のことが言えますが、Fes×LIVEでパフォーマンスをしているのはキャラに見えていながら、それを成り立たせているのはキャストの皆さんであり、キャストがキャラに命を吹き込む「声優」である以上に、動きや立ち振る舞いまでもがキャストによるものであるのが、蓮ノ空がバーチャルスクールアイドルとして切り開いた新境地です。
これはリアルライブに参加すると感じますが、キャラとキャストの境い目が分からなくなるような、不思議な感覚をもたらします。今目の前でパフォーマンスをしているのは生身のキャストであるのに、この動きも声もダンスも、全てWith×MEETSやFes×LIVEで見てきたキャラそのものであるように見えるからです。もはやシンクロ、というよりもキャラそのものであるという感想さえ抱きます。これもまた決して簡単に出来ることではなく、いくら似ている点があるキャラとキャストであっても、配信で見せたキャラクター像をリアルライブの場面で常に崩さずに活動する必要があり、その様子がまた配信に還元されていきます。まさに、蓮ノ空がバーチャルスクールアイドルプロジェクトであるからなせる技であり、キャストのたゆまぬ努力とキャラへの理解と敬意による賜物です。
蓮ノ空のこと好き好きクラブ
蓮ノ空のこと好き好きクラブ、知らない人が聞いたら何それ、となる名前ですが、今となってはすっかり馴染んだファンネームです。
私事ではありますが、蓮ノ空に出会った2023年は進学を控えた浪人期間中で、それも自分が今まで専門としてきた分野ではない進路への切り替えを決断し、退路を絶った年でした。不安しかない春でした。いつも春は心がざわついて、何となく心地よくない季節だと思っているのですが、いつも以上でした。加えて、それまで自分の自信を作っていたものと離れることにもなった春で、自分の中のどうしようもない不安や悩み、迷い、焦り、そんな感情が常にごった煮になっていた時です。蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブは、暗闇の中で迷子になった私を導いてくれた光です。まだ、今の自分に自信が持てている訳ではないし、これからも沢山の壁とぶつかり、その度に自分の無力さに打ちひしがれることになると思います。でも、蓮ノ空のみんながいたら、蓮ノ空のこと好き好きクラブでい続けさえいれば、それでも前を向こうと思える気がしています。
蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブのこれまでに「感謝」と、これからに沢山の「期待」を込めて、結びとします。
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