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ビートルズは眠らない 松村雄策(2003)

ウィズ・ザ・ビートルズは読み終わったので、次に同じ松村さんのビートルズは眠らないを手に取ってみた。
読み進めながら時系列的にこっちを先に読めば良かったな…とか思いながら。

1991年から2003年にロッキング・オン等に寄稿されたものを寄せ集めたものなので、内容は1つ1つ短いけど量は多いと言った感じ。
書かれている内容も真新しいことはないし、時系列順に追って松村さんの体験談を混ぜながら語っているだけ。まあ、研究本じゃないしね。
それでも面白くて読み進めてしまうのは、松村さんのビートルズ愛と「僕は楽しんでるけど君は楽しまないのかい?」みたいなスタンスだと思う。

面白かったのはウィズ・ザ・ビートルズでも言及されていたけど、2000年にベスト盤「1」が発売された時新橋のSL広場で酔っ払ったサラリーマンがインタビューに「ビートルズは僕の青春だった」と語ると松村さんは「嘘をつけ」とテレビ越しに愚痴ってしまうところ。
松村さんによると、当時の中学生・高校生でビートルズが好きな人はクラスに1人か2人しかいなかったし自分達より上の世代は1966年の来日公演の際の騒動から分かるように敵だった。つまりビートルズのファンはマイノリティ・異端者だった。
そう言われるとそう感じてしまう。
確かに日本で本当に当時人気だったかどうかという話題は結構見るし、東芝EMIに至っては売上枚数の桁を1つ増やす・ビートルズ来日前に部下にマッシュルームカットをさせ流行ってるとやらせをする等、現代だったら大問題になってるのも普通にやってたりする。

本文でもこういったことは特に言及されていないし、松村さんがどこまで把握してたか分からないけれどある程度作られた人気だったというのが分かる。

じゃあなぜ、2000年のビートルズのベスト盤「1」は国内だけでも300万枚売り上げたのか。作中ではこう締めくくってます。

現在のビートルズを支えたのは、八〇年代以後からの若いファン達である。少なくとも、四十歳以下ということになる。それよりも上の世代は、クラスにひとりかふたりだったのだから。うそをつくなよ、うそを。

愛すべきビートルズおじさんといった感じで、おすすめです。

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