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「父が子に語る近現代史」

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最近、国際情勢が不安定です。新型コロナの影響もあって不安が広がっているせいかもしれませんが。このような不安定な時代に何をどう考えて行動すれば良いのかのヒントを得る目的で、歴史の本を手にとってみました。分厚い本や読み物として難しそうな本は飽きてしまいそうだったので、なんとなく読みやすそうな本を選んでみました。

近代の始まりを、松平定信の寛政の改革としています。彼の主張した「大政委任論」という政治思想が、大政奉還への流れの起点になっているから、ということのようです。

全30トピックが載っていて、江戸後期から戦後までの約200年間をカバーしています。一貫して感じられるのは、歴史を一面から見ることはしない、分かりやすい図式で理解しようとしない、日本のことを知るためには外国のことも知らないといけない、相手の視点からも物事を見なくてはいけない、ということです。

印象的な部分をいくつか。

太平洋戦争は、軍部、財閥、革新官僚の暴走で、一般民衆は彼らに騙されて戦争に巻き込まれたのだろうか?いや、そうではなく、一般民衆も「東亜の解放」や「共産主義から自国を守るため」というスローガンに積極的に支持した、いわば共犯関係にある。このような過去を真摯に受け止め、その場の空気に流されないように自分で調べ、自分の頭で考え、何が正しいのだろうかを判断し行動することが重要だ、と著者は言っています。

『中国や韓国、それに台湾・香港のような隣国について、もっときちんと知る必要があるのです。そうしてはじめて、僕たちはちゃんとした隣同士の付き合いができるようになります。経済発展著しい中国社会の裏側で、どんな事態が進行しているのか。日本政府の首脳が靖国神社に参拝すると、なぜ東アジア諸国は厭がるのか。見たいものだけを見るのではなく、見たくないものをこそ見ることによって、僕たちは真の友好関係を築くことができるようになります。』

仕事柄、韓国関係のニュースをよく読みますが、特に感情的なニュースが両国ともに多いため、気を緩めると思わず流されてしまいそうになります。こういうときだからこそ、自分の頭で冷静に考え、行動することが重要だと、特に最近考えるようになりました。

そのためにも、この本の著者が指摘するように、現代史を含め、相手の社会で何が起こっているのかを、もっと関心を持って知ることが重要なのでしょう。

重い感想になってしまいましたが、単純に読み物としてもとても面白い本です。最近200年のザクっとした歴史の流れを楽しみながら読むことができます。




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