見出し画像

ツモの想定と盤面認識力

今回は実戦向けの内容となります。

私の中で比較的重要度が高いと感じているテーマですが(=苦手にしているとも言う)、得手・不得手もあるので「当然のようにできている」という方もいらっしゃるかもしれません。

あと、お知らせさんの著書の第6章とテーマ的に被る部分もありますが、直接参考にしたことや抜粋した内容はなく、オリジナルの記事です。むしろ自分が大事だと思っていたことを本で強調されていたので、書かれている内容のレベルこそ違いますが(特に後半部分)、共感できる部分が多くて嬉しく思ったりもしました。

① ツモ想定の重要性

捌きの難しそうな手に遭遇したら関連牌のツモを想定しておき、何を引いたら何を切るかを予め考えておくことはとても重要なプロセスだと思っています。

その作業を怠り、(その人にとって)想定外と感じるツモを引いて不意をつかれた場合は、その場の思いつきが打牌に反映されてしまうため、誤打しやすくなります。

また、有効牌のツモを想定しておくことは、リーチ判断ミスや鳴きミスを減らすことにも繋がります(必要牌が急に減った場合の対応など)。

その他、麻雀は13枚の手牌を眺めている時間帯の方が長いわけですが、そのイメージに捉われ過ぎないことも大事です。常に次のツモを意識しておくことで「14枚全体の形」を認識しやすくなるだけでなく、相手のリーチや副露攻撃など、突然の状況変化が起きたときの対応にも強くなります。

では、ツモ想定に関する例を3つほど挙げます

画像1

その1)
南3局の親。8pが暗刻になり、8mを切ってくっつきイーシャンテンに受けたところです。ドラはありませんがラス争いをしている親ですので、くっついて出来た待ちが急に薄くなったりしない限りは、愚形でも曲げる準備をしているといった局面です。


画像2

そこへひょっこり1sが来て暗刻になりました。

結論から言うとこれは7s切りダマが正解となります。ノータイムで何の違和感も感じなかった方は、このツモを自然に認識しているか、想定せずとも問題なく対応できるかのいずれかです。

しかしこのツモを想定外と感じた方は、この時点から思考がスタートすることになるので、別の選択をする可能性が出てきてしまいます。

くっつきという先入観が強過ぎると手牌が横に伸びるツモには自然に対応できますが、縦のツモが来たときへの対応に難がでる場合があります。

今回のような、雀頭候補が暗刻になるケース以外の例としては

①暗刻が槓子になる、②孤立牌が重なって対子になる(4トイツ→5トイツなどのケースも含めて状況は様々)、③リャンメンターツの牌が重なった場合の選択に時間をかけて相手に情報を与えてしまう、などがありそうです。


画像3

その2)
三麻での一コマです。ドラが9pのため前巡は西より8pを残していましたが、4sをツモって8pをリリースしたところです。

一通含みの45567889の両翼形がありソーズは35678s受けですが、58sツモ以外は一通が崩れてしまう形です。しかし対面にもソーズ染めの気配がありますので、367s引きならカン4pでリーチしようかなといった状況です。


画像4

2巡後にツモ7pが来ました。7pは構想外なのでツモ切る方もいれば、ここで58sを切って一通ドラ2のシャンテンに受け変える方もいるかもしれません。

チンイツへの渡りを残すに越したことはないので、7p切りがやや有利だとは思いますが、受け入れ枚数も1枚差のため一通確定に受ける選択が正解となることもあり、そこまでの大差はないと思われます。

しかし、この選択は7pをツモる前に決めておかないと打牌の精度が落ちます。7pをツモってから、「357のリャンカンができたし一通にしてみようか」では、その選択について本当に妥当性があるかどうか検証できているとは言い難く、思いつきの打牌の色合いが濃くなってしまいます。逆に7pを引いて方針転換するのが有力な手なら、ツモる前からそのビジョンを描いてないとミスしやすくなると言えます。


画像8

その3)
これは比較的単純で、親のホンイツの満貫1シャンテンのところに下家からリーチを受けた場面です。2sツモが来たときにどちらの待ちにするか?という問題です。この瞬間に2sを引けば、対面からの9sオリ打ちを狙える分、歯を食いしばって6sを切る方が少し良いかもしれません。


画像9

しかし11巡目まで来てしまいました。

こうなるとどうでしょうか。6s切りと8s切りのメリット・デメリットを下記に記載しましたが、8s切りの方が良さそうです。仕掛けやダマのテンパイの場合に、カンチャン待ちにした方が融通性が高くなるケースがあることを押さえているかどうかによりますが、これも巡目に応じたツモ予測と言えますのでご紹介しました。

(1)6s切り
メリット:対面が筋を追って9sを切ってくれる可能性がある(ただしもう厳しそう)。デメリット:リーチに対する危険度がやや高い。4s,5s,7sを引いた場合、テンパイ維持ならツモ切るしかない。
(2)8s切り
メリット:リーチに対する危険度がやや低い。5sツモで良形に変化。4sツモで待ち選択が可能。6sツモで8s切りが可能。9sツモは東や8sを切ることが可能。デメリット:当面のアガリ率がやや低い(ただし大差はなさそう)。

※11224形におけるカンチャンとシャンポンの選択
①は自由に打てるか序盤の場合、②は中盤以降の被リーチの場合の選択
11224:①1122 ②1124
11244:①1144 ②1144
12244:①2244 ②2244
13344:①1344 ②1344(3344)
22335:①2233 ②2235
24455:①2455 ②2455(4455)
33446:①3346 ②3346
35566:①3566 ②3566(5566)
このような連続形ではなく、224などの独立の愚形複合ターツの場合でも、制限が加わった状況下ではカンチャン受けの方が融通が利くケースがあります。また上記以外に135,246,357で構成される形もありますが、パターン数が多く立体的判断の要素が強くなるので割愛します。


② 盤面認識力

麻雀の上達に必要なスキルは幾つかありますが、プレーヤーとしての重要な基礎能力のひとつに、「盤面情報をキャッチする力」があると考えています。相手が発信している確定情報を正確に認識できないようでは、打牌選択の精度は大きく落ちてしまいます。ちなみに『読み』というのは認識した情報から何かを分析することなので、そこからまた一段階上の話ということになります。

※盤面認識力が影響する状況
・ベタオリの際の最善打の選択
・通っている筋の本数把握と危険度の推定
・自分の必要牌が場に多く切られているかどうか
・字牌など特定牌の飛び状況や場に高い色の確認
・字牌や逆切り、ターツ落としなど、読みに関する重要な手出しの把握
・抜きドラの枚数確認(三麻)
・中張牌のポンで待ちが絞れるかどうか(三麻)

盤面を正しく認識できること自体が実力なので、その能力を高めるためには盤面認識の重要性を理解しながら、丁寧に打数を重ねる以外にスキルアップする方法はありません。その究極形とも言えるのが人工知能(AI)ですよね。人間から見ればAIはズルいと言えばズルいのですが、それに近い能力を持つ者が好成績を収めやすいことは容易に想像がつくと思います。

それとは逆に、この能力を低下させる要因としてはコンディション不良の問題が挙げられます。

・眠気 ・疲労 ・体調不良 ・飲酒後
・イライラなどのメンタル要素
・集中できない環境でのプレー

どれも身近に思い当たることばかりかもしれませんが、その人のパフォーマンスを低下させる要因になります。その日によって場が良く見える日とそうでない日がはっきりしているような方は、コンディション調整が不十分である可能性があります。

これらの様々な要因によって視野が狭くなればなるほど「一人麻雀」の傾向が強くなり、リーチなどの明確な強攻撃を受けない限りは、自手都合を優先しやすくなってしまいます(弱いテンパイを維持するなど)。これは暗闇の中をライトも照らさずに歩くようなものなので、ダマやフーロ手への無駄な放銃がかなり増えることになります。

また、先に述べたツモの想定まで頭が回らず一手先を想像できない思考状態というのは、脳の情報処理力自体が落ちていますので、その他の盤面認識も疎かになっていることが多いものです。全体的にパフォーマンスが低下していることが予想されますので、その日はそこがヤメ時と言えるでしょう。

いずれにしても重要情報の見落としからくるエラーというのはかなり勿体ないです。「応用問題(難しい何切るなど)はそこそこできるのに基本問題をよく間違える人」にならないようにしたいものです。

あと、オーラスやラス前の点数状況確認も広義の盤面認識となります。目視での確認だけでなく、「具体的に自分がどのように立ち振る舞うか」を胸によく刻んでいないと、実際に違った選択をしてしまう原因になります。

以上、ここまで当たり前のように書いて来ましたが、著者自体もこの課題を抱える一人ですので、対局後の厳しいツッコミなどは無しでお願いします(笑)。


では最後に、最近の反省対局から

画像5

三麻の東2局1本場東家。ドラは1p。上家が11000点のため、満貫直撃ならトップという状況です。

同点のライバルの下家が抜きドラの北を3枚抜いて満貫以上確定です。いま5pをポンして打1pとしました。手役の推定にも依りますが、テンパイ確率もそれなりに高そうに見えます。

自手はソーズのホンイツで満貫の1シャンテンです。下家の5pポンとあわせて考えると、自手の今後についてどういうことが想定できるでしょうか。


画像7

画像6

この日の私のCPUは本当に劣化していました。

下家が北を3枚抜いていることは見えていたと思いますし、ポンという声も聞こえました。しかし5pをポンしたという記憶があまり残っていません(笑)。

三麻におけるタンヤオは27種の牌の中で14種しか使えず、またチーもできないため四麻に比べて出現頻度が大きく落ちるのは事実です。今回の下家の仕掛けもタンヤオ確定とまでは言えませんが、発と中の率先した切り出しやドラ3であることを考えると、字牌絡みの手役(ホンイツやトイトイ)というよりは、メンゼンリーチとタンヤオを視野に入れた手なりの手牌を考慮すべきかもしれません。1pを引っ張っていたことから122p,133pや今回の123455pなど、ピンズ2ブロックの形が想定されます。

三麻のクイタン仕掛けで5pのポンとなると、リャンメン待ちならソーズの25,36,47,58の4本にほぼ絞られ、更に7sの先切りがあることから25sか36s待ちが本命になるということは、読みというよりも場の確定情報からの数え上げで分かることでした。

仮にこの手に7sを引いた場合、14s待ちか25s待ちかが選べる訳ですが、タンヤオ狙いの下家から14sでアガろうなどというスケベ心は、まさに視野狭窄後の一人よがりの麻雀であり、実戦でこの5sをしっかり咎めていただいて本当に良かったと思っています。

今回は以上です。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?