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麻雀のゲーム構造を再確認する


noteに記事を書くようになってからというもの

自分の麻雀について内省したり、Twitter等で意見交換することが増えまして

「麻雀とはそもそもどんなゲームなのか?」ということを考える機会が多くなりました。

麻雀を哲学的に考え過ぎでしょw、とか言われてしまいそうですが、今回は麻雀のゲーム構造について改めて考えてみたいと思います。


① 手を作って相手に対応する

麻雀の原点と言えば、まずは点棒を増やして減らさないようにすることでしょう。

目前の盤面や半荘の期待値を最大化するために、個々が日々実力を磨き、また悩ましいケースがあれば様々な議論がなされています。

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みんな大好き何切る
(イメージ画像:ちなみに私は打8s)

牌理、リーチ判断、鳴き判断、押し引き、ベタオリ、捨て牌読み etc

最もポピュラーな平面何切るに始まり、リーチするかどうか、鳴くかどうか、押すべきか引くべきか、何を切ってオリるのが一番安全かなどを考えていきます。

捨て牌読みや山読みなどの技術もここに含まれますが、いわば麻雀の基礎体力を鍛える自己研鑽の場です。その他、書籍・動画・牌譜検討などで能動的に学習していくことも重要です。

② ボードゲームとしての特性

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麻雀には牌と点棒を用いて卓を囲むという、ボードゲームとしての特徴があります。今回はこれについて詳しく見ていこうと思います。

(1)牌を扱う
当たり前ですがリアル麻雀は牌を使ってプレーをします。ツモ動作ひとつをとっても、呼吸するかのようにできる人もいれば、僅かでも労作に感じる人もいるでしょう。また牌捌きが上手い人もいれば、理牌で牌を入れ替えるのが煩わしいと思う人もいるかもしれません。慣れの問題もありますが、ある程度適性があるのも確かです(ちなみに私は苦手な方だったので割と練習しました)。長時間のプレーに及んだ場合は、見えない負荷になっていることもあり得ます。

(2)理牌する
ネット麻雀では理牌不要ですから、これはいかにもボードゲームっぽい要素です。理牌のスキルとしては、「手牌を読まれやすい段階→読まれないように工夫する段階→逆に読む段階」といったステージの推移がありそうです。こだわる人もいればこだわらない人もいて、個性が出る部分だと思います。

(3)点棒をやりとりする
慣れた雀荘のメンバーさんになると相手が持っている点棒を加味して、受け渡しをしてくれます。私はこれまでのキャリアでそれなりにリアル麻雀を打ってきたと思うのですが、未だに点棒の扱い自体は得意ではありません(点数を音声で申告したらデジタルで表示されるようになって欲しいw)。これもツモ動作や牌捌きと同様、人によっては若干のリソースを消費する要因になり得ます。

(4)盤面情報を認識する
盤面の情報を正しく認識してアウトプットに活かす能力。これはプレーヤーとしてかなり重要です。①で言及した何切る問題などは、盤面の公開情報がすべて見えている前提での議論になりますが、実際の麻雀ではこの情報の何%かが薄まった状態で私達は打牌選択をしており、そこに個人差が生まれるからです。 

他家が打牌した瞬間に、(1)切られた牌が何であったか、(2)手出しだったかどうか、(3)打牌のテンポやトーンはどうだったか、という感じで観察できる範囲が広がりますが、対局中に「相手がどの程度場を見ているか?」は普通分からないものです。例えば上級者が初級者に麻雀を教える際に、打牌選択の優劣を指摘することはできても、その人がどこまで見えているのかは分かりづらいのと同じです。

「場を見て観察する」ことにどの程度リソースを割くことが出来るかは経験や実力次第になるので、視野が広いかどうかも個人差が大きいと言えますが、上述のように他人が指摘できない類の弱点になっていることもありますので、まずは「全打牌を見る」ように習慣づける(=目視をサボらない)ことが重要だと思っています。

一方、これは幼児教育などの分野で耳にすることなのですが、空間認識などの感覚に関わる部分の脳の成長はだいたい9歳くらいまでに完成されて、頭打ちになると言われています(その後は主に論理的思考が培われていく過程)。

したがって盤面認識のセンスのない人が大人になってからそれを伸ばそうと思っても、実は結構難しい可能性もあるのです(次項の手出しツモ切りの記憶はもっと顕著です)。

小さい頃から牌に触れて遊んでいた人が麻雀プロになるケースも多いですが、それは単にキャリアが長いからというだけではなく、幼少期だからこそ獲得できた有利な能力を内包している可能性もあります。将棋やスポーツ界などでもそうですが、ノウハウを理解した親が英才教育的に早期介入して成功する例も少なくありません。やや偏った考え方かもしれませんが、その時期にしか育まれない何かがあると考えれば合点がいきます。

(5)記憶する
世の中には、見た画像をカメラで撮ったかのように鮮明に思い出せる映像認識能力の持ち主がいると聞きます。そこまでの能力者は稀有としても、麻雀には手出し・ツモ切りを覚えるといった要素がある程度含まれます。

人間は基本的に無味乾燥に並べられた羅列情報を記憶することが苦手なようです。「何故手出しを覚える必要があるのか?」→「それは読みに必要だからだ」という論理でアプローチすると記憶しやすいとも言われますが、これにも限界がありやはりセンスの一つだと思われます。

少し余談になりますが、20~30年前くらいまでは、リアル麻雀といえば手積みの時代でした。オーラスこそ点数申告するルールでやっていましたが、当時を振り返ると相手の点数状況を自分で覚えられるかどうかでかなりの有利不利があったように思います。(3)の点棒の行き先を覚えるという部分にも通じるところがありますよね。

あとよくあるのは、セット麻雀をやった後の感想戦。「5半荘目の南2局のあの5pがね・・・」と言って話が通じる人と通じない人。麻雀以外に例えるなら、ゴルフで18ホール回った後に「15番ホールのグリーンの右にあったバンカーが曲者で・・・」と言っても「そんなのありましったっけ?」といった具合に、会話が噛み合わないほどの隔たりが生じる場合もあります。

ちなみに、私はあまり思いだせない部類の人間です。こういった能力がどこまで麻雀に関係するかは分かりませんが、全く無関係ではないのも事実です。

(6)読みに活かす
捨て牌読みや鳴き読みなど、手出し牌かどうかの確認が必要な読みは、「相手の打牌を見る」「手出しかどうかを覚える」「情報を統合して読む」の3段階が揃って初めて成立するため、まずは場を観察しないことには始まりません。見ることが出来ていたとしても、ボーッと眺めているのか、注視しているのかで情報量が違ってくることがあります。またリアル麻雀における対人読みや、ネット麻雀におけるラグ読みもこれに該当します。特にリアル麻雀では、相手の気配を察知する能力や他人を観察する力に長けていると、何かと有利に働きます。


③ 名選手であると同時に名監督であれ

突然ですが、まさGさんという方のnoteの記事を紹介します。有料記事になりますが、東風打ちを名選手、東南打ちを名監督に例える内容が面白かったです。

僭越ながら、この「名選手」と「名監督」という言葉をお借りして、私なりにアレンジして使わせていただきますと以下のようになります。

『麻雀のプレーヤーは、上記の①や②を駆使する名選手を目指しつつも、点数状況判断やゲームメイクに長けた名監督である必要もある

つまり「この局はこう振る舞ってオーラスはこう戦え」とか「おい、アイツに少し点棒を配ってやれ」といった戦術面な指示を、監督さながらに自分に対して出すことができるかどうか。麻雀打ちはかつての野村克也さんのような選手兼監督であることが望ましいように思います。

前々回の記事で、三麻における点数状況判断の重要性について述べましたが、麻雀はどこまでも頭を使うゲームなんだなぁと痛感しております。

④ その他の様々な能力

最後に、麻雀というゲームを長くやる上で必要と思われる各種の能力についてです。

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・体力、身体能力
例えば不眠不休の雀魔王と呼ばれる連盟の沢崎誠プロ。1週間連続(24時間x7日)で打ち続けたことが2回もあるそうです。疲れ知らずの底抜けのパワーの持ち主は長期戦を戦い抜く上で有利なのはもちろんのこと、1日単位の勝負においても疲労を感じる度合いが他者と違うことが容易に想像がつきます。生まれ持った素質に加えて、力の抜き方をマスターされての結果でしょうから、きっと努力されている部分も沢山あるのだと思います。

ネット麻雀天鳳の鬼打ちプレーヤーと言えば、なんと言っても第14代天鳳位のお知らせさん。下記の素晴らしい著書を書かれている方です。

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お知らせさんとは一度だけお話する機会を持たせていただいたことがあるのですが、もしやと思って聞いてみたらなんと裸眼だそうです。麻雀以外の経歴を含め、過去に相当な近見作業を続けてきたはずなのに近視にならなかったのは、類まれなる眼の身体能力に他なりません。四麻で月に1041半荘(1日平均約15時間)という超人的な実績が示す通り、これは沢崎プロと双璧を成す圧倒的な才能です。長時間プレーをすると肩が凝る、目が霞む、眠くなるなどで集中力が落ちてしまう人もいると思いますので、実はこれだけでも結構な地力の差なのです。そこに有名なお知らせシステムが乗っかる訳ですから、まさに鬼に金棒という訳ですね。

・情報処理力
時間をかけて高精度の解答を出すことよりも、一定時間内に多くの情報処理を行える頭脳の方が麻雀には向いていそうです。アスリートで言うところの速筋か遅筋か、あるいは「拙速は巧遅に勝る」的な内容の話です。私も若い頃は瞬発力に結構自信があったのですが、最近は反応がやや鈍くなってきたせいか、じっくり考えるタイプに変わった気がします。

・自己管理能力、メンタル
自分の実力を最大限に引き出すためのコンディション作りは非常に重要です。また不調時の対応を始めとしたメンタルの管理も麻雀打ちには欠かせない要素だと思います。いずれも奥の深い内容になりますので、ここでは項目を挙げるだけにさせていただきます。

⑤ まとめ 

自分にとって麻雀とは、①の手組や押し引きの要素が7~8割を占めると思っていたのですが、そこに比重を置き過ぎていたのかもしれません。

本人が気付かないだけで、②のボードゲーム適性が高い人もいれば、③のように場を操ってナンボと思っている人もいるかもしれません。また長期成績を向上させる上で④の要素に注目している方もいらっしゃるでしょう。

いずれにせよ麻雀は総合力のゲームなのですが、こうして見てみると自分は結構ダメな点も多いことに気づきました。特にボードゲームが下手ですね(笑)。強いて長所を挙げるならば、①を探求する熱意でしょうか。あと、これからは名監督を目指して頑張ってみようかと思っています。

そんな私でも、天鳳(現アカウント)では四麻も三麻も500戦前後で八段までは行けましたので、まだ到達していない方も努力すれば必ずなれると思います。自分の強みと弱みを知り、効果的に麻雀のトータル能力を高めていきましょう。



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