113と133の話
今回は愚形含みの1シャンテンの手牌で113と133のどちらのトイツを固定をするか?という話です。
まずは具体的な何切るからスタートします。
6巡目の子だとして、何を切りましょうか?
フィールドは四麻でも三麻でも構いませんが、一応三麻という設定です。
注)
ちなみにこの手の牌姿は四麻の方が圧倒的に作りやすいです。三麻は2色なので意図せず手役が絡んだり2度受けになったりしやすく、想定通りのサンプルを作るのは案外難しいのですが、三麻に適用できる方が拡張性があるためこのようにしました。この牌姿の場合、打3p→全ての関連牌の前に4s引き→打3s→テンパイまで1sをホールド→ツモ2sの順だと一通が付いてしまいますが、かなり限定的なルートになるのでその影響は考慮しないものとします。
それでは、打1sか打3pの2択という前提で話を進めていきたいと思います。
◉打1sは?
ツモ4sの場合に完全1シャンテンになるのはどちらも一緒ですが、打3pの場合はツモ4pのリャンメン変化に対応できなくなります(オーラス等でピンフの1翻を大事にしたい場合も痛手となります)。また、裏目のツモ2sは打3pとすることでフリテンながらリャンメントイツになるため、1人麻雀の牌効率だけを考えた場合は打1sが明らかに優位です。ただし、これは牌理をある程度学習していれば十分理解できる範疇の話です。
◉打3pは?
そこである程度麻雀を打ち慣れてくると、打1sの平面的なメリットを把握した上で、テンパイまで3pを持っておくことのデメリットに着眼するようになります。具体的には下記の通りです。
・先に69pが埋まった場合、カン2待ちより1pシャンポンを選択したくなるが、宣言牌で放銃するリスクは1sより3pの方が高い。
・宣言牌が3pの場合の1p待ちと、3p先切りの1p待ちでは後者の方がアガリ率が高い。
ということで、私の中でもこのケースであれば打3pを選ぶことが多いという結論だったのですが、ここまでなら敢えてnoteにするほどの内容ではありませんでした。
◉改めて打1sについて考えてみる
個人的に最近やりとりをさせていただいている強者に山本悠矢さんという方がいます。
詳細なプロフィールは割愛させていただきますが、四麻の過去の実績を含めて単純に麻雀が強いという以外に、その思考の深さを上手に表現できる方だと思っています。
最近は三麻を沢山打たれているということで、下記の三麻フリーの攻略シリーズも実戦的で大変参考になります。有料記事ですがもし良ければご覧ください。
その山本さんにこの牌姿について打1sか打3pかを聞いてみたところ、彼の結論は打1sでした。主な理由は以下の通りです
・4p引きの好形変化のメリットと4pを引いてきたときの河のぬるさのデメリット、後手になったときの受けやすさの方を重く見ます。
・三麻だと筋の本数が元々少ないのと相手が受けたときに復活しやすいので河のぬるさには四麻よりもシビアに考えてます。
3pを残すことによるピンフの付加や赤5pの受け入れなど、打1sの打点的なメリットはむしろ四麻の方が大きいわけですが、三麻の場合は別の観点で打1sに分がでてくるという見解です。
確かに内側の牌である3pを河に放つことで、その後に引いた4pや5pなども河に垂れ流してしまう可能性が高いです。その場合自分が先制できたとしても相手に低リスクで押し返されやすくなっているということは言えるでしょう(4pの場合は1pが筋になるので都合が良くなる側面もありますが、あまりに河が濃いと愚形カウンティングもしっかり入れられてしまいます。特に三麻)。
また6巡目のこの手格好をどう捉えるか?という問題もあります。三麻と四麻で少し違いますが、他家との速度感を考えた場合、愚形含みの1シャンテンであればほぼ平均レベル(またはそれ以下)でしょう。明らかに自分が優位とは言えないため、攻めだけではなく後手になることも考えておく必要がありますが、その際に113pと持っていることは必ずしも不利に働く訳ではなく、4pや5pを吸収しながら回ることが可能になります。
あとここでは言及されていませんが、打1sとした後に先手を取られ、113pからテンパイを選択する場合も、打1pでカン2pに受ければ3pを使い切ることができます(アガリ率もさほど変わりません)。逆に打3p→ツモ2sの場合や、縦受けが薄くなって133sからカン2sを選ぶことになる場合は比較的危険な3sを切ることになるため、トータルで見ると3p残しのデメリットはあまり大きくないと言えます。
以上より、3pを先切りするかどうかでメリットとデメリットが入れ替わることが分かります。いわゆるトレードオフの関係にあるため一概にどちらが良いとも言えない訳ですが、現時点での私なりの結論は「やや打1s優位」に変わりました。
麻雀において「初級者なら選択A、中級以上になると選択B、そこから試行錯誤を経てまた選択Aに戻る」という変遷の仕方は、押し引きなど他のカテゴリーにおいても散見されます。今回もそれに近い話かもしれませんが、結局のところどの部分に一番ウエイトを置くかで変わってくるように思います。山本さんは河のぬるさの影響を重く見ていますが、人によってそれに異論があったとしてもおかしくはないでしょう。
その抑揚のつけ方が正しいかどうかや、正解が何かについては定量的な評価ができない以上解釈が難しいわけですが、113と133の選択だけでも色々な考え方があって面白いなと思いましたので、ご紹介させていただきました。
◉類似形の検討
ここからは補足です。先ほどの牌姿(ピンフ形の手)を基準に、似たような牌姿をいくつか検討してみました。
これは役牌暗刻がある場合です。先ほど打1sとした人は、仮にピンフが付かない手だとしても判断自体はあまり変わらないかもしれません。逆に打3pとしていた人の中には、こちらはポンテンが利いてテンパイが速くなる分、打1sとする人もいるかもしれません。
変化した場合に2度受けが含まれる形は少し注意が必要です。この場合はツモ4sの変化が弱いこともあるので、打1sの優位性が高まります。
こちらは4pが浮き牌候補になる場合です。赤の枚数が多いルールほど4pを残したくもなりますが、逆に処理しておきたくもなります。113pの場合とは少し異なりますが、結局同様の理由で打1sが良いように思います。ただし場への1sの安全度が高く、今にもリーチがかかりそうな局面であれば4p先切りでポンテンに備える戦略も十分にあり得ます。
◉まとめ
類似形についても検討しましたが、ピンフ形の手で1sを切る人は暗刻のある手でも1sを切りそうですし、3pを切っている人はだいたい3pを切ることが多そうです。
今回のトイツ固定の話は、良形完備の完全イーシャンテンの手から先切りするしないという話とは少し異なるように思います。どちらが正解・不正解というよりは双方の長所と短所を理解しつつ、思考の引き出しの幅を増やしていければ良いかなと思い、記事を作成いたしました。
以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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