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芯抜き加工承ります

木工ドリルを作るだけではありません
木工ドリルで穴をあけるお仕事も承っております
とはいってもその穴あけは特殊なもの
丸太の中心に少し大きめの貫通穴もしくは止め穴をあけるというものです
以前にもこんな記事を書きました

穴の役割

通常の木工ドリルで穴をあける場合はビス穴やダボ穴、座堀、セパ用、配線用など穴をあける目的は様々です
しかし丸太の中心に穴をあける目的は大きく2つ
ひとつは中心に金属の棒や配線を通す
そしてもうひとつは木の割れを防ぐということです
弊社では芯抜き加工と呼んでいます


五感を研ぎ澄ます

これまでにも様々な建築物に使用される木材に芯抜き加工を行ってきました
穴をあけるのには、しっかりとした準備と細かなセッティング必要です
錐が回転をはじめ錐先が少しずつ木材に近づいていき、木材にあたる瞬間の音が第一関門です

第一関門は錐頭が木材にあたるとき

まずこの瞬間に異音がすればストップです
ここで錐が破損してしまえばそこで作業が止まってしまうからです
第一関門を突破すれば、錐は順調に進むはずですが途中に硬い部分があったり節にあたったりすると音が変わるのでどきっとします
長い木材の場合は片側から貫通が難しいので、両側から加工を行います
中心でうまく繋がった時は音が変わります
「聴覚」 耳の穴をよーくかっぽじって聞かなければなりません
さらに芯抜き加工は長さがあるので、木屑の排出にも注意が必要です
通常は錐のラセン(溝)に沿って木屑は排出されていきますが、うまく排出されない場合は一度錐を抜き木屑を吐き出さなければなりません 
そうしないと木屑が詰まり錐の破損や焼けにつながる場合があるからです 木屑の流れを見る「視覚」です
煙や焼けてくると臭いがしてくるので「嗅覚」も使います
木屑の大きさや湿り気の状態を確認する「触覚」

ご依頼をいただく木材には予備がありません
失敗したので他の木材でというわけにはいかないのです
五感を使い、錐の状態や木材の状態を把握しなければなりません
電動工具を自分の手で使う穴あけとはまた違った緊張感がうまれます


穴は見えない

弊社に運ばれ、芯抜き加工された木材はそれぞれの場所で建築物の一部となります
寺社仏閣に関わるものも数多くあります
そんな木材ですが、外から見ても芯抜き加工されていることはわかりません
だって穴は見えないのですから
苦労して加工をしても誰からもその穴を見られることはない
穴があいていることすら知られることはないでしょう
ご依頼も数多くあるものではありません
それでも芯抜き加工ができるところを探して弊社に辿り着き、ご依頼をいただける
私たちの技術が建築物を見えないところでお役に立てている
木工ドリルメーカー冥利につきるというものです

芯抜き加工を終えた木材

今も日本全国のどこかで、この芯抜き加工された木材が使われた建築物がみなさまの目に触れています

木工ドリルメーカーがつくる機械用のロングドリルで芯抜き加工を行います
お困りのことがございましたらお気軽にご相談ください