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(詩)17-18-19


暑さだけが残ったこの季節も
夕方には優しい風が吹き出すね
ベランダに椅子を引っ張り出し
少し早めに酔ってしまおう

グラスに注いだビールをぼんやり眺め
泡と液体の狭間に
ゆらめいている甘い思い出
痺れた頭の上には
ゼリーのような月

大人なんて言われてから
3回目の10年が終わる
経験なんて荷物は
たいした重みもなく
今はただ
ミントティーみたいな
匂いの夜に包まれているよ

彼方の公園では季節外れの盆踊り
使い古したメロディが聞こえてくる
それでも子どもや恋人たちは
光の中に集まり
優しい時間を愛でている

思えば最初の10年は
優しさよりも強さだった
自分が何者かを探し続け
背伸びしていた頭の上には
とんがった太陽

大人なんて言われてから
3回目の10年が終わる
落ち着きなんて言葉は
これからをつまらなくするね
今はただ
ミントティーみたいな
匂いの夜に包まれているよ

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