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雨模様4

あたしはミヤオと叫び続けたせいで喉がからからで声がガラガラになった。

そのうち、頬に冷たい感触を感じた。「嫌だわ、雨」。そう夜明け近くになると霧雨が降ってきた。

あたしは自分のことばかり考えていて、すっかりミヤオの事を芯から大切に思っていなかったと心底後悔していた。

雨が強くなればなるほど、あたしの心には孤独感が増してきた。猫を連れて外に出るなんて、本当に馬鹿な事をした。

やがてあたしの頬に一筋の涙が流れた。あたしは滅多に泣かない男勝りな性格だけど、何故か涙が止まらなくなって、雨と涙で顔がびしょびしょだった。

ミヤオと出会った時も雨降りだった。

すっかり辺りは明るくなって、あたしはトボトボと家路についていた。

今日は、早朝勤務のシフトだから、あたしはもそもそと濡れた洋服を脱いで出勤の支度を始めた。

しかし職場でもミヤオの事が頭から離れず、元気のないあたしの事を気遣って、店長が話しかけて来た。

「要ちゃん、大丈夫かい。珍しく、悲しそうだけど」

「はあ、実は飼っていた猫が居なくなってしまって」

「そいつは大変だ。猫ってやつはホント気まぐれだからなあ。今日は少し早めに上がっていいから。」

「すみません」

あたしは夜通しミヤオを探していたから、帰りの階段もいつもにも増してキツかった。部屋に戻ると猛烈な睡魔が襲ってきた。あたしは少し眠る事にした。

つづく