社会での楽しみ2

刑務所の中でも出来る趣味や楽しみはあるものの、制限かけられている生活なので社会で出来ることがほとんど出来ないのが現状です。
時間だけはあるので、私の趣味の一つでもある読書等は刑務所でも出来ますが、社会みたいに本屋に行ってすぐ買って来るとか、図書館に行って借りて来るとかは出来ないので、なかなか思うようには行きません。本の購入を申し込んでも手元にくるのは2ヶ月ぐらいはかかりますし、手紙で外部の人に差し入れを頼むにしてもちょっと時間がかかります。それに比べて時間はあるので1冊読むスピードは社会より断然速いので読む本がなくなりがちです。刑務所には官本という施設備え付けの本もあり貸し出しを受けることも出来ますが、施設によって貸し出し方法などや貸し出し日などが違うのですぐのすぐにはという訳にはいかないところもあり、また人気の作家のものや、新しく施設が予算で購入して備え付けた本は誰もが借りたがるので、借りるのも運不運があり、貸し出し日にその本が他の受刑者に借りられてることもままあります。ただ、本好きには時間が有り余るこの刑務所の環境は絶好のチャンスでもあります。社会復帰してからも読書は続けていますが、やはり刑務所の静かな、そして時間が有り余る環境とは違うので本を読むペースはかなり落ちています。それでも、こまめに本屋や中古本を扱ってるブックオフに足を運んで本を吟味したり、新刊のチェックをしています。それも刑務所じゃ出来ないことですし、今の私の楽しみの一つでもあります。昔は派手な遊びばかりしていましたが元々読書や静かに何かをするのが好きなので元々の感じに戻ったように思いますし、落ち着いた生活の基盤にさえなっているように自分では思っています。趣味嗜好は人それぞれだと思いますが、私は読書と音楽鑑賞、映画鑑賞、ショッピング、格闘技、筋トレ等が好きなので
この中の二つ同時にこなせる、スポーツジムで筋トレをしながらBluetoothイヤホンで大好きなB'zを聴くのが最もストレス解消と快楽と楽しみが1番充実してるなと感じる時間です。
この二つ同時にこなせる技は絶対刑務所じゃ出来ない事なので、社会にいる人から見れば当たり前でも、自分からしてみれば、天国にいるような感じなのです。当たり前のことが刑務所出所者からしてみれば当たり前ではなく、幸せな事に映るのですから出所者は有り難みを感じまくりです。
 確かに刑務所出所者は社会に適応するにはかなり時間がかかるし、その道は険しく、厳しいと自分も感じているし、それが前科者の背負った罪の重さでもあると思います。もうすぐ、社会復帰して5ヶ月が経ちますがまだまだ昔の刑務所を知らなかった頃の自分の感覚には程遠いとつくづく感じます。
まあ、それだけ歳もとってしまっているし、何かと昔と瞬発力が違うのは致し方がないのですが完全に社会生活の勘を取り戻すのは10年くらいはかかるのかもしれません。ムショボケという小説とドラマ化が話題になってましたが、自分では前の社会にいた時の勘が戻ったと感じても、一般の人から見たら、全然なのでしょうね。まさか、ムショボケしてますなんて、事情を知らない人にカミングアウトする訳にはいかないですし。
 そんな社会生活でも自分なりの趣味と楽しみをさがし、見つけていくことは破滅の道に進まない為の大切な行為だと思います。先日、京王線であった殺傷事件の容疑者、その内被告に変わりますが、元々根っからの悪でもなく、どちらかでいうと普通の人なのに、あれもこれも八方塞がりが自分を追い詰めてしまった結果があの事件だと私は思います。良い方に開き直って一から死ぬ気で仕事探して、なんの仕事でもいいから就職しよう、この際だからヒッチハイクとか旅に出て自分探しでもしようとか違う考えに行ってたらあんな事にならずに済んだものを。
 非常に残念でなりません。どんなに苦しくても貧乏でも刑務所より社会で生活していた方が全然いいのに。
しかも、死にたい、死刑になりたいという気持ちがあるようですが、LB施設経験から無期懲役止まりだと思います
無期懲役がどんだけしんどいか、大変か身近で一緒に生活してきた私はあの容疑者はこれから少なくとも30年以上は塀の中で生活しなきゃならない不憫さを感じてしまいます。それだけの年月があれば、社会で浮き上がるチャンスもいくらだってあるだろうに。
自分なりの楽しみを大事にしながら仕事や面倒くさい人でもある程度の人間関係を築いていくことで調和が保てると、自分自身社会生活をしていて感じているこの頃です。

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