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「人の可能性は無限大」ということを示した人物

形而上学では人には無限の可能性がある、
人は生まれ持って神、女神である、という教えがある。

無論、何も知らなければそんなこと信じやしないだろーが。
人生で産まれてから誰も尊敬したこともなければ
誰も友達だと思ったこともないこの俺は
仮初でも「友達」ができたとしても長続きすることはなかったし
どちらかというと厄介者として遠ざけられることの方が多かった。

学校でも会社でも最果ての部署にいることが多い。決して日の当たらぬ舞台。

いや、他者との迎合を死ぬほど嫌った、
マジョリティとの融合というものを忌避した俺は
自ら居場所を遠ざけたともいうべきかもしれない。

俺は自分のことを傲慢で身勝手だと思うし
俺と対峙した他者も身勝手で世間知らずと非難してきた。

そんな傲慢で身勝手極まりない、
自分の両親ですら尊敬したことのない俺が、人生で初めて尊敬した男がいた。

その人物は、かつて自分と同じ会社にいた同僚だった。

彼は太陽・水瓶座、月・獅子座と葛藤が多い配置で
ある意味、素の理不尽さ加減で言えば俺以上かもしれない。

太陽と月がそれぞれ土星、火星とマレフィックとオポジションである彼と
対照的に太陽と月がそれぞれ天王星、冥王星コンジャンクションである俺。

マレフィックの絡み方ゆえに理不尽な性格な者同士、変人同士
気が合ったというのことかもしれない。

意気投合するのはそんなに時間がかからなかった。

かつての同僚たる彼は会社で「使えない社員」のレッテルのみならず
「プロジェクトを台無しにする危険人物」の称号を持っていた。

俺も最初は周りの社員の悪評を信じたのだけど、
信じながらも目を離すことはなかった。どういうことか。

なぜかといえば、社内評価で「危険人物」の悪評をもらっていた、
というのは、それは俺も一緒だったから。

一度悪評をもらうと覆すのがとても辛い。汚名返上には多大な時間がかかる。

俺も俺で汚名返上を果たしたのだけど、心からやりたいと思っていない仕事を
心から一緒にやりたいと思っていない同僚とやらざるを得ない、
という避けようのない強力なストレスを抱えていた。

俺はそのストレスの捌け口を探していた。
このストレスの捌け口になるのは、俺と同じ「弱い」人間でなければならない。
そういう意味で、俺は彼の「弱さ」に目をつけたと言えよう。

俺はただ単にストレスの捌け口が欲しかっただけだ。
彼の会社に居づらい気持ちをカバーしたい、助けたかったつもりは毛頭ない。

会社と言うヒエラルキーに突きつけられた、
どうにもならないストレスの捌け口になってほしいから
彼に「同情」しただけに過ぎない。

一応であるが、自分で言うのもなんだが
当時の俺は会社では「仕事ができる優秀な側」にいた。

俺は当時の会社で、悪評が止まらない戦力外一歩手前の中途社員は何人も見てきた。
そしてそういう社員は何人も辞めていった、と言う有り様も見てきた。

彼も、俺のいる会社の「伝統」の流れに乗っかった一人にすぎない。
何人もいる一人にすぎない人間は、捨て置けば良いであろう。
遅かれ早かれ彼は退職に追い込まれるだろう。

彼に近づく人間はとても少なく
彼と一緒に仕事する人間からは悪評ばかりが聞かれる。
彼はその会社では居場所をなくしつつあった。

俺も彼のことを危険人物と看做し、腫れ物扱いしていた。
俺も会社という世界で生きるために必死なんだ、
生存競争の世界では弱い奴は死ぬ、強くなって生き延びねばならん。

ただそれは俺も同じ扱いを受けた人間として、なんていうんだろうな。
俺もその会社で腫れ物扱いされたことがあったわけだし
本能的に他人と思えなかった部分があったのかもしれない。

そのことが俺に彼のことを「日々構う」というアクションを起こさせた。

やがれ俺たちは腹を割って話せるようになった。
言い方はアレだが「奇妙な友情」というやつなのかもしれない。

仕事で追い詰められた彼はやがて休職になった。
その休職した1年間で大きな進化成長を遂げて帰ってきた。

不健康な食生活をしていたのが嘘のように健康マニアになり、
無目的に反発していたのが嘘のようにコーチング理論を身につけて
類まれな野生味と類まれな理性を兼ね備えた人物になって帰ってきた。

彼はコーチング理論で私の進化成長を促し、
家と会社しか知らなかった俺の生活を大きく変えてくれた。

彼はハイイニシエートでもなければ、大成功した起業家でも大富豪でもない。
ただの中年のおっさんであった。

そこに俺は人間の可能性を感じている。本来はポテンシャルを秘めてるのだと。
窓際族のサラリーマンだった男が、脱サラして自分の夢を叶えて店を開いている。

「XXだから〜」とか何がしか理由つけて人間の可能性を切り捨てるなんて、
俺はあり得ないと思う。

人は大きな可能性を秘めている。幾つになろうが老若男女、それは変わらない。

今まで見てきた中で一番弱くダサい姿を見てきたが、
されど強く、常に真理を見ていたー

人の可能性というものを教えてくれた人物だった。

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