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『ニムロッド』上田岳弘

歴代芥川賞を読んでみようと思い立ったものの、はじめの数頁の圧倒的理系感に気圧されなくて良かったと読み終わってから思った。 帳簿を書き続けることで存在が証明されるビットコインを「それって小説みたいじゃないか」と言うニムロッドの言葉のように、記されることで事実が事実として存在する、ということが鍵となる小説であった。 登場人物の存在そのものや関係、役職、出来事、感情、その他のいつかはなくなってしまう(かもしれない)ものをこの『ニムロッド』が記し、存在させている。 ・

    『ニムロッド』上田岳弘