ピアノの弾き語りを上から映している動画を見るのが好きだった:KAN『エキストラ』Lyrics Video

リストラーズというアカペラカバーグループに出会ったのをきっかけとして、最近は今まで余り馴染みが無かった歌謡曲やニューミュージック・ポップス・クラシックをYouTubeで聴くようになってきた。ただ、こちらから積極的に探索するよりはYouTubeのおすすめ動画での偶然性に頼っている。そういえばリストラーズの時もおすすめ動画がきっかけだった。

誰かがピアノを弾いている動画も時々見る。
ピアノの高音側か低音側にビデオカメラかスマホを置き、演奏者ごと撮影している動画がほとんどだが、
上からピアノと演奏者を見下ろす形で撮影した動画が私は好きである。両手でどう弾いているのかがよく見えるからだ。

おすすめ動画で最近知ったのはKAN『エキストラ』のリリックビデオ。
『エキストラ』は、2020年に発表されたKANのアルバム「23歳」に収録されているピアノバラード曲。このリリックビデオでは、演奏者の手とピアノを上方から撮影している。

動画が開始すると、画面一杯にピアノ本体と鍵盤、そして鍵盤に乗せられた両手が映っている。演奏が始まると、鍵盤から少し離れた場所に歌詞が表示されては消えていく。
途中の間奏で弦楽奏者達の姿が淡くインサートされるが、それ以外はほぼ、ピアノと演奏者の手のみが映る。
演奏が終わると、下方からKANがひょいと顔を出して小さくピースサインを出して動画が終わる。

画面の色がほぼ黒色だからか、目を閉じて聴いているように音に集中出来る。それでいて目は鍵盤上の手の動きに最後まで引きつけられる。

『エキストラ』という題名が聴く者に先入観を持たせるのか、イントロから既に幸福な未来が無い事を示している。初めて聴くとは思えない、いつかどこかで聴いた事がある懐かしいメロディだ。当時、テレビやラジオで多く流れたのだろうか。

ここでは歌詞については触れない。映画やドラマをよく見る人ならば。もしくはロールプレイングゲームをよくやる人ならば馴染みがある設定かもしれない。

今はただ、手の動きが作るピアノの音の美しさと、諦念を秘めたKANの歌声を併せて堪能する。

(2024年1月5日0:15頃 文章を一部書き直したり追加したりした)
(2024年2月11日1:10頃 タイトルを変更し、文章を一部書き直した)