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今、保育園の給食調理員をやっています。
毎日1歳から3歳までの22人分の給食とおやつを一人で作っています。
調理員として可愛い子供達に食事を作っていく中で
夫の療養食を作った経験も生かして、嚥下障害の方の食事を
作りたいと思うようになっています。

みんなで「美味しいね」が言えるといいな

家族のためにほぼ毎日、3食とお弁当を作ってきました。
今から4年前、夫が大病を患い1年ほど食事制限をする期間がありました。
食物繊維や消化の悪いものはなるべく食べないようにするか
食べやすいように工夫しなければなりませんでした。
例えば、ナスやトマトの皮は消化に悪いので毎回剥いていましたし
キノコ類や生姜は食物繊維を断ち切るためにみじん切りにしていました。
健康な人の食事では気づかないような些細なことでも
大病を患った人には命に関わることもあるのでとても気を使いました。

初めの頃は、夫のために別メニューで作っていたのですが
ある時、ふと夫がおしゃべりもせず黙々と食べていました。
その時は気づかなかったのですが、他の家族は違うものを美味しそうに
食べていることが寂しかったようなのです。

食べられないから仕方ない、とわかっていても
やっぱり食事は一緒に楽しく食べたいと思ったみたいです。

その思いを知ってから
なるべく同じメニューで、食材の固さや切り方を工夫して
夫が食べられるようにしました。
食感や盛り付けは変わってしまいますが、夫はとても喜んでくれました。

食事は食べるだけではない

最近、お話を聞く機会があった方は
飲み込みが上手くできず、もう何年も家族と一緒に
食事をしたことがないと言っていました。
食べるのに時間がかかること、横になる体勢が飲み込みやすいこと
柔らかいものしか食べられないこと
そのような理由で、奥様が作ってくれた食事を一人で食べているとのこと。
夫婦とも、もう仕方のないことと思って過ごしてこられたのですが
先日、夫婦揃って食事に出かけたと嬉しそうに教えてくれました。
見た目は全く同じ、ただ嚥下障害でも無理なく食べられるようにと
とろみや柔らかさが工夫されていたようです。

目を輝かせて「数年ぶりに夫婦で食事ができた」と
話してくれたあの顔は忘れることができません。

大切な人と、食事の時間を共有し
「美味しいね」の感動を共にする。
そうすることできっと心も体も満たされるのだと思います。

もしも叶うなら

あと1年半調理員として実地経験を積めば
調理師免許の受験資格が得られます。
そして無事に調理師免許を取得して
嚥下障害で食事の楽しみが減ってしまった方が
もう一度、食事が待ち遠しいようなワクワクした
気分を味わってもらえる、そんな料理を食べてもらいたいです。食事は心と体を元気にします。
また食べたい!もう一口食べたい!
そう思って、明日への、未来への一歩を踏み出す
お手伝いができたらいいなと思っています。


#もしも叶うなら

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