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バイオンテック株で遊べるのはもう終わり。いよいよ乗るか、降りるか、判断の時が来た!

先週コロナワクチンの認可が遅れるかもしれないという記事を書いたところ、感想をいろいろと頂き投げ銭まで頂いてしまったので、気を良くしまして今週もコロナワクチンに関する最新状況を書いてみようと思います。1週間分のアップデートです。

まもなく32例の中間解析が発表

既報の通り、バイオンテック・ファイザー連合のコロナワクチンはいよいよEUA(緊急使用承認)に向けて最終段階の治験を進んでいます。ファイザーは27日の決算発表時にワクチンに関するデータの発表を行わず、一部の憶測を呼びました。ファイザーとしては11月3日の大統領選後に発表したいという意向のようです。確かに今発表すると政治の道具に巻き込まれてしまいますから、賢明な判断と言えましょう。CEOのニュアンスとしては「現時点でまだ分析をしていないので近々発表する」ということなので、結果を知っていて黙っている訳ではないとのことです。

ではそのデータ発表とは何のことでしょう。焦点となるのは「ワクチン接種後の治験参加者から32例のコロナ感染者が出た時点で、その内訳としてワクチン接種した人とプラセボという非ワクチン接種の人の比率を調べる」ということです。
32人の感染者のうち、
ワクチン接種者6人以下、プラセボが26人以上の場合(有効率76.9%以上)→→合格。効いている。
ワクチン接種者15人以上、プラセボが17人以下の場合(有効率11.8%以下)→→効いていない。
という基準で判断するようです。
ファイザーのCEOは「良い結果であれ悪い結果であれ中間解析として公表する」と言っています

さて32例のコロナ感染者というのは、44000人規模の治験参加者から比較すると、今の段階で症例が集まっていないというのは遅く感じます。前回の記事でも書きましたが、ワクチンを試すような人は「絶対にかかりたくない」というバイアスがかかっていて、普通の人よりも気を付けているのかもしれません。本来はもっと早い段階で解析できると予想されていました。

この32例のデータ解析についてバイオンテックのSahin CEOは“We are optimistic,”と木曜日の夜、コメントしています。この発言を聞いて金曜日のバイオンテックの株価は高くスタートしました(マーケットの下落に押されて最終的にはほぼ変わりませんでしたが)。結果を知ってて発言していると思われたかもしれません。

ここで問題が無ければそのまま症例を集めていく過程となり、ファイザーの資料によると164例(STAT誌によると150例)まで進めて行き、有効率50%以上であれば効いていると判断する予定です。

今後のスケジュール

今後のスケジュールについて考えたいと思います。コロナワクチンの本来のゴールは「フルライセンスでの最終認可」であると思いますが、それは時間がかかるので今は「EUAの承認」を一旦のゴールとします。するとざっくりと下記のようなハードルを越える必要があります。

ワクチン承認

この第1ハードルの中間解析が大統領選後に来ます。もう11月4日以降はいつ起こってもおかしくありません。このハードルを越えてもすぐEUA承認とはなりませんが、もしここで効果がないという結果が出た場合は最悪治験中止もありうるので、バイオンテックの株で遊べる=リスクの限られた売買、はもう終わるのです。

ちなみにファイザーのCEOは結果が出たら良くても悪くても発表するとしていますが、結果が微妙だった場合…例えばワクチン接種者の感染が7人だったとか、その時にすぐ出すかは明言していないかもしれません。英語読解による言葉のアヤかもですが念のため。

順調に進んだ場合のスケジュールとしては、上記イラストに沿って行くと
32例中間解析→大統領選挙後、11月5〜11日の間くらい?
EUA申請→11月3週かそれ以降と明言。しかし感染のペースによるので少しずれる可能性も指摘されている。
症例の観察→症例が溜まるまで経過観察(FDAの判断による)。
※EUAの承認に申請後の症例観察が含まれるかは私にはわからないので仮説です
EUA承認→早ければ12月中旬〜。
といったところでしょう。

バイオンテック株に対するリスク

上記は順調に進んだ場合のスケジュールですが、逆にバイオンテック株に対してネガティブになる要因を予想してみます。

内部要因
・中間解析の結果、効果がないという結論が出た。
・効果はあったがギリギリであった。
・中間解析が出てこない。
・EUA申請が11月3週より遅れる。
・申請してもFDAがなかなか承認をおろさない。
そして当然のことながら、いつであっても副作用などで治験中止になればダメージを受けます。

外部要因
・ワクチンは意味がない、効果が薄いなどの議論が力を持ってくる
・モデルナ、ジョンソンエンドジョンソン、アストラゼネカなど他のワクチンが先に申請したり承認されたりする。または主役が移る。
・アメリカ以外でワクチンに問題が出たり非難されたりする。

前週との状況の違いは、より切羽詰まってきているということです。ヨーロッパではフランス、ドイツ、イギリスといった中心国が軒並みロックダウンに入りました。アメリカが悠長に構えていると思われた場合、他国からバイオンテック・ファイザー連合のワクチンの優先順位が下がるという可能性も否定できません。ファイザー=アメリカ企業の縛りがあるため。
(これはnoteで何度も書いてきている問題ですが、アメリカ頼りにならんという話になりかねません。ワープスピードならぬ各駅停車作戦みたいな。)

バイオンテック株のトレードについて

だいたい株が上下する要因について列記したと思いますが、それでは株についてはどうトレードしたらよいのでしょうか。これは現時点は正解のない話なので投資は自己責任でくれぐれもお願いします。

コロナウイルスについては前回の記事にも書きましたが、しばらく収まりません。私の住んでいる地域もこの1週間でまた感染者激増しました。陽性率も上がっているので変異したのでは?と勘ぐっていますがわかりません。12月にはアメリカも悲惨なことになっていると思います。
じゃあワクチンの株は上がるに決まっているじゃん、と考えたいところですがそうとも限りません。今と似たような状況が前もありました。その時はズルズルと下がっていきました。なぜでしょうか。
振り返ってみると他の株が調子良かったので、ギャンブル性があり実現まで先の長いコロナワクチン株をわざわざ買う理由が弱かったのだと思います。

バイオンテック株がEUAをいよいよもう承認されるか、というタイミングであれば株が期待で膨れ上がるのも理解できます。しかし先に書いたようにそこまでいくつかのハードルを越えないといけないのです。リスクがミニマムな時代はもう終わります。

5月頃にコロナワクチン株が動意づいた時は、まだコロナ禍の中で他の株も五里霧中でした。しかし今は経済回復が見えてきています。そして他の株は暴落か調整気味です。もし大統領選後にマーケットが回復した場合、目移りしてもっと楽しめる株にシフトしてしまう可能性も、無きにしも非ずです。
よって現在85ドル付近の株価ですが、12月までその値を保っているかはわかりません。

反面、もし近々32例の中間解析をぶっちぎりでパスした場合、今の水準から上がってそのまま12月まで落ちてこない可能性もあります。EUA承認されれば、あるいはされると見込まれれば、おそらく今年最高値の105ドルを超えてくるでしょうから、それまでに仕込むチャンスが来ないかもしれません。

従いまして、中間解析の結果が出る前の今、バイオンテック株とどう付き合うか決断しないといけないと思います。株価については予想する意味が有りませんので書けませんが、強いてあげるとすれば、12月のEUA承認の結果が出るまでにもう一回転(上がってから下がるか、下がってから上がるか)する可能性はあるかなと思っています。

惜しむらくは(?)、いつもワクチンのニュースが盛り上がりそうな時に政治イベントが重なることです。最近は政治と関係ない風を装っておりますが、ワクチンは国民の関心事でメディアが絡んでくるので結局無縁ではいられません。特にメディアはバイデンサイドに付いているところが多いので、もしトランプ大統領が再選されるとワクチンが叩かれる可能性は大いにあります。それがFDAの判断にも影響する可能性もあります。

以上、10月末現在の状況です。感想や良いね、投げ銭などリアクション頂けたらまた書きますので、よろしくお願いします😊。

※記事中の下線部分には情報ソースをリンクしています。 投げ銭や感想、良いねなど、反応があると励みになります。