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ひとりごとの4回めは 『竜とそばかすの姫』をめぐる あれやこれや

Huluで観ました。 去年 劇場で観るべき映画でした。
細田守監督が 強い影響を受けたディズニーの
『美女と野獣』への オマージュだと言うことですが
私には ハッキリ 
喧嘩を売って 見事 勝ちやがったな! というのが感想でした。
かくは めでたい♪

『時をかける少女』で大胆にも 初代時かけ少女を
主人公の魔女おばさんに設定して
ゴダールの『はなればなれ』と
トリュフォーの『突然炎のごとく』でヌーベルヴァーグ2人が
揃ってハワード・ホークスの『タイガーシャーク』などでした
男2人に女1人の共犯関係 という
微妙なエロティック つまり 【もやもやするけど やめられない】
だけど その危うさはやがて崩れ去るのを3人ともに知っている。
というストーリーラインを採用していました。
私のような 季刊『リミュエール』育ち 又は 蓮實重彦先生の影響下で
映画の新しい波を夢見た世代にとって
細田守監督は 私たちと同世代の 庵野秀明監督や押井守監督
以上に 奇妙なヲタク共感を 覚えてしまうのです。

私の親友で4年前にインフルエンザをこじらせてあの世に旅だった
里君という男が いました。
彼は映画を浴びるほど観る正統なシネフィルでした。
その里君が 大学時代 いきなり
「現存する日本映画の監督で最も優れた監督は 宮崎駿」と
主張しました。1980年くらいです。黒沢明監督が
久しぶりに『影武者』を撮ったころです。
「へぇ~黒沢じゃないんだ」と私は応えましたが
ミヤザキハヤオという監督がアニメ映画の監督だったのを知り
ちょっと衝撃を受けました。
更に 未だ東京12チャンネルだったテレビ東京で放映していた
『機動戦士ガンダム』に異常に熱中していました。
里亮弘君のような アニメ映画も 映画として当然観る 
つまり 本当に映画を愛せる才能が 日本映画の新しい波を
起こすべきだった
と 『竜とそばかすの姫』を観た直後 身を切るようなせつなさに
襲われました。 
私にルイ・フェルデナン・セリーヌの
『夜の果ての旅』や ヴォネガットの『ジェイルバード』を
是非とも読まなければいけないと 主張したのも里君でした。

前置きが とても長くなりました。

感想としては 
『この映画が語る現代の高校生たち世代に
明るい未来が待っている事を 信じなくてならない』
という 短いセンテンスです。

勿論 メタバース程度の 仮想現実空間しか今のところ無いですけど
Web3.0やブロックチェーンによって 仮想現実空間は
この映画で予見しているUが出現するまで さほど時間もかからないでしょう。 
そして 仮想現実空間と現実という宇宙のかりそめの世界が
融合していく事は 地球星人という我々の種にも待ち受ける未来です。

そして私がnoteに掲載した『20××年の召集令状』や
『或る物語がもたらす示唆について』に書いた地球の歳差運動に対して 
地球星人が用意すべき 今度のノアの方舟は 空中都市であり 
『勧誘者の名』でも書いたように
他の者たちが寝ていて 見たい夢を見ている間 
その生存を見守る優しさが あれば

地球星人として宇宙にやがて旅する半霊半身の存在として 生きる価値があり
それは 人類が仲間同士でつくる人権とか契約ではなく
大宇宙の法則によって 保証されていく時代へ向かうことでもあります。


その時代や 空中都市生活を送る間 仮想現実空間は
われわれが 人生とか呼んでいる現実とやら以上に 意義がある時空になるでしょう。

○ U世界での方が すずたちの生きている時空より ベルにしても竜にしても動きが 繊細で フォルムや描線が 緻密で 立体感が艶めかしい。
○ 音楽も ディズニーアニメが 西洋音楽クラシックを意識しているのに対して
  フォークソングに徹していたのが 私には どこまでも 身の丈を
  アズのベルより 生体情報源である すずに合わせ、
編曲は現代風にしておく。この方が ハリウッド製映画音楽のハードルを ベリーロールでトライするのでなく背面跳びでかわしたような
爽快感がありました。
○ 善玉を粋がるジャスティンというのが 悪役という設定も
  現在の世情に適切な警告になっていて 脚本の勝利だと思います。
  民主主義は古代ギリシャの都市国家アテネから始まりますが
  常に 民主主義は 衆愚政治(ポピリュズム~人気取りゲーム)に
  墜ちてしまい 機能不全になる。すると ジャスティンのような
  正義とか秩序とかを法制すべしという主張をする
  タイラント(僭主)が 出現し 全体主義を目指す
  密告制度による恐怖政治を行う独裁者を台頭させる。
  歴史哲学 法則と呼んでも 繰り返してばかりでは
  人類とは何なのか? バカなだけなのか? 
○ でもこの映画でも描いていたように
  結局は 勇気ある行動が 
  愛から生まれた勇気が
  僭主独裁から 人々を救ったことも 極まれですがあります。

今 我々は 愛から生まれた勇気の行動を しているでのでしょうか?

現代の高校生たち世代の明日に この映画を作れた日本文化を
受け渡すことが できるのだろうか? 
何ができるか未だ分からない。
この映画を十代で鑑賞できた世代に この映画を作れた文化を
受け渡すことができる 明日があることを 信じることから始めたい。

追記: この映画でも私が最も ショットとして記憶したのが   
同級生の美少女ルカが 校庭でクラリネットを吹きながら踊るショット
2階からのすずの目線でとらえた ルカの髪の揺れと その揺れに
やや遅れて揺れるスカートの裾が ルカとすずの関係を
寡黙にして やがて雄弁に語ることになろうとは 思いもよらなかった。
ストーリーラインから逸脱しているはずであり 学園の人気者
ルカを説明するだけのカットなはずなのに おそらく細田監督すら
そこまで伏線として描いたわけでもあるまいが こうして
編集されると ショットとして美しいだけではすまないのである。

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