私の座標

あの外の世界と溶けあってしまって、もう一度わたしは私が何処にいるのかわからなくなった。どこを辿ってきたのか、どうやって息を続けているのか、それは誰であって、あれは何処なのか、知っては、いた。頭が空っぽで詰まっていたからこれ以上は何も入れられなかった。助けてと叫べば、私は居た。

遠くの近所では友達は犬を連れて散歩する。彼の座標がある格子点へ移動した軌跡をたどり、迷子の案内所を通り過ぎたあたりに目印として旗を立てておいた。これはわたしのため。正確には過去の私のため。ここ通った気がしたから。だから過去の私は道に迷ったらこの場所に入ればいいんだよっていう案内。優しさ。辛さ。気の迷い。

誰にも宛てらないレクイエムを抱えて、4次元の隙間に逃げ込んだら誰も追って来れないらしい。