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メジャーデビュー15周年

15年前、月が綺麗だったあの夜。
私は紅玉いづきに出会った。

……というのは、単なる比喩であって。
出会ったのは夕方だった。

15年前、3月の終わりか、4月の始め頃だった気がする。都心の病院に通院していた"少女だった私"は、病院帰りに本屋に立ち寄った。
そこで大きなポスターが目を引いた。
『灼眼のシャナ』のポスターだった。
真っ赤な髪に真っ赤な瞳。炎髪灼眼。その強烈なビジュアルに惚れて、『灼眼のシャナ』の文庫本を買った。
夕方、帰って早速読もうと文庫本を開く。
そこに挟まっていたのが、「第13回電撃小説大賞」受賞作の広告だった。

漫画のような可愛らしいイラストが表紙となっているライトノベル群の中で、大賞を受賞したその作品、そのビジュアルは一際異質だった。
黄色と、緑と、赤と、黒。とりわけ緑の深さが印象的だった。

初めて『ミミズクと夜の王』を買ったときは、古本だった。
当時は小遣いがあまり多くなく、兄と折半で本を買ったり、古本を買うことも多かった。『ミミズクと夜の王』もそのうちの1冊だった。

『ミミズクと夜の王』を初めて読んだとき、何よりも強かった衝動は「私も物語を書きたい」だった。
それまで2次創作としてあまり上手くない小説や絵を書(描)いていたことはあったが、その時初めて「オリジナルを書きたい」と強く思った。
そして、書き始めた。

あれから15年経ち、『ミミズクと夜の王 完全版』が今日、発売になった。
新しい表紙。新しい物語。
でも、15年前と変わらぬ優しい物語。
ミミズクが、フクロウに出会う。
たったそれだけの物語。

煉花の赤と、お月様の黄色。

15年の時を経て、またこの物語が、誰かの心に寄り添い、あたためてくれるだろう。
闇夜を照らす月のように。


そして、私はというと。
15年経った今も、書いている。

15年の間に、たくさん紅玉いづきの物語と出会い、たくさん救われてきた。
そして読む度に、私も書きたい、と思うのだ。
だから15年、私も、書いてきた。これからも書く。

あなたのような美しい物語は、まだ書けないけれど。ずっとずっと、その背中を追っている。

だからどうか。
これからも、20周年も30周年も50周年も、書いていて、ください。

15周年おめでとうございます。
あなたの物語と、あなたを、愛しています。

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