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Staple’s Big Love for agnès b. / アニエスベーへ愛をこめて

4/29~5/28まで瀬戸田にagnès b.がやって来る。それもなかなかに素敵な感じでやって来る。

商店街の空き家がショップになったり、コラボ自転車が走ったり、SOIL Setodaを含む地域のホテルに商品が置かれたり、フランスのストリートアーティストがパフォーマンスしたり、agnès b.が協賛している海洋汚染調査船のTARA号とのコラボの展示や映画の上映会も企画されていたりするのである。Stapleにとっても、日々文化的な生活を営もうとする僕にとっても、これほど嬉しいことはない。ということで、久々にnoteを書きます。岡雄大です。

agnès b.がジャックする瀬戸田のしおまち商店街

「豪華絢爛な都心の施設を貸し切ってパーティーするのも良いけど、瀬戸田のように素朴で生活の見える港町で地元の人も楽しめるマルシェをやる方がagnès b.らしいと思うんだよ。」

瀬戸内旅行から戻ったagnès b.のLaurentさんとBenoitさんから「瀬戸田はなんだか良い雰囲気だね。岡さんと話がしたい。」と突然連絡をいただいた。いったいどんな会話が待っているのかとドキドキしながら向かった先に握手しながら言われた一言目がそれでシビれた。

学生の頃からシンプルな服が好きだったし、agnès b.も何着か持っていた。19歳の頃にサンフランシスコへ留学すると、現地ではGAPやアバクロをダボっと着る人がほとんどで細身の服にシャツやジャケットを着ていた自分は「なぜそんな格好をするのか?」と小ばかにされたことも何度かあった。

そんなこともあって、当時UNION SQUAREの路地にあったagnès b.の店舗を見つけたときはなんだか嬉しくなって吸い寄せられるように入っていった。
小さな一軒家のような店舗には自然なトーンで話しかけてくれるスタッフがいて、「She likes these patterns(彼女がこのパターンが好きで)」「She chose this color because..(だから彼女はこの色を選んだの)」といった具合にしきりに誰かを“She”と呼んでいて、その対象がagnès b.創業者兼デザイナーのAgnèsさんを指しているのだと話していくなかで気がついた。創業して何十年も経ち、グローバルに展開しても尚、それが放つ空気は「確立されたブランド」ではなくて「ファミリービジネス」といった感じだった。

「あぁ、めっっっちゃ良いな。」
ファストファッションブランドがいくらデザイン性・機能性・価格競争力を磨いてもその時の店員さんが誇らしげに語る“She”の温もり・近さ・魅力には適わないな、と。

それから18年が経って僕はStapleの代表として「ソフトデベロッパー」だの「ヒューマンスケール」だの「広がらずに深く掘ろう」などと語っている。直接結びつけることができてなかったけど、あのときの”She”がきっと原体験の一つだったのだと気づかせてくれたのは今回のagnès b.との新しい形での再会である。

サンフランシスコの店舗で買った肩掛けのバッグは大学卒業まで使い倒した。今回の瀬戸田イベントではまた長く付き合っていける何かを手に入れよう。

Written by 岡 雄大

瀬戸田港から見える夕焼け