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hidekのエンジニアと長話 第8-1回【全文書き起こし】~ゲスト:紀平拓男さん(@tkihira)~

stand.fmで配信中の「hidekのエンジニアと長話」8人目のゲストは、紀平拓男さん(@tkihira)です。

「hidekのエンジニアと長話」は、メルペイVPoEのhidek(木村秀夫)さんをメインパーソナリティにお招きし、ゲストエンジニアとともに 作っていくスペシャルトーク番組です。

第8-1回の今回は、スマートニュース株式会社の紀平拓男さんをお招きして、ExGameや学生起業、起業した会社のEXITなどについて語りました。

※本記事は、2021年7月23日にstand.fmで配信を開始した番組を書き起こしたものです。


ゲスト
紀平拓男 氏 @tkihira
スマートニュース株式会社 ソフトウェアエンジニア

メインパーソナリティ
hidek(木村秀夫)氏 @hidek
株式会社メルペイ VPoE(Vice President of Engineering)

パーソナリティアシスタント
gami(池上)氏 @jumpei_ikegami
株式会社プレイド エンジニア

Web・JavaScript領域の道20年!3社起業した紀平さん

gamiさん(以下、敬称略):皆さんこんにちは。「hidekのエンジニアと長話」進行役のgamiと申します。今回もhidekさんと一緒にゲストの方のお話を聞いていければと思います。番組への感想は、stand.fmのコメント機能かTwitterハッシュタグ、#hidekのエンジニアと長話、この番組のタイトルと同じハッシュタグまでいただければと思います。というわけで、メインパーソナリティはこの方、hidekさんです。よろしくお願いしまーす。

hidekさん(以下、敬称略):よろしくお願いしまーす。どもども。池上さん、最近、どんな感じですか?

gami:どんな感じですかね。今日、ワクチンを打ってきました。

hidek:あ、どうでした? 副反応的なやつ?

gami:いや、でも、意外と、この収録があるので若干心配だったんですけど、今のところはないですね。でも、翌日に出る人が多いらしいので、明日、普通にミーティングとか入ってて大丈夫かな、っていう心配でいっぱいですね。

hidek:あー。僕も打ったんですよ、1回目。

gami:おー。出ましたか?

hidek:出ましたね。うん。ただ、よく話を聞いていたのは、筋肉痛。「打った腕の方が筋肉痛みたいになって腕が上がらない」みたいに聞いてたんですけど。あんまり筋肉痛というよりは、肩を思いっきり肩パンされたような感じ?

gami:こわっ(笑)。

hidek:打撲みたいな痛みですよね。

gami:なるほど。

hidek:はい。このワクチンって、副反応っていうのが、より若い人、女性、みたいな方が出やすくて、僕みたいな年齢って一番出にくいらしいんですよ。

gami:おー。

hidek:なので、ワンチャン副反応が出て、若い自慢できるかな、と思ったら何も出ませんでした(笑)。

gami:なるほど(笑)。出なかったんですね。

hidek:肩が肩パンされて痛いくらいの雰囲気でおわっちゃいましたね。

gami:なるほどですね。たしかに。めちゃくちゃ副反応が出た自慢ができたかもしれなかったわけですね。

hidek:ダメでした。おじさんでした。

gami:じゃあ、僕も出るか楽しみにしてます(笑)。

hidek:(笑)。

gami:楽しみにするものでもないですけど。はい。じゃあ、そんな感じで。本日もゲストの方をお迎えしております。紀平拓男さんです。よろしくお願いしまーす。

紀平さん(以下、敬称略):よろしくお願いしまーす。

hidek:よろしくお願いしまーす。はい。紀平さん、前回の山崎さんからのご紹介ということで、山崎さんからメッセージいただいています。

紀平:お!

hidek:読み上げますね。「紀平さん、先日はありがとうございました。また、いろいろな場所でニアミスしましょう」と。すごくシンプルかつストレートなあれなんですけど(笑)。

紀平:(笑)。

hidek:そもそも、どういうご関係だったんですか、山崎さんとは。

紀平:前の会社でかなりお世話になった、というのもあるんですけど。お互い、自分の会社を設立して、売却して、みたいな、そういったバックグラウンドが近いこともあって、よくいろいろとお話をさせていただいている関係ですかね。

hidek:なるほどですね。ニアミスよくするんですか?

紀平:この前ね、「Web24」っていう、「24時間Webの話をぶっ続けでやろう」というJxckさんのイベントがあったんですけども。そこで、僕は「WebAssembly」で出ていたんですけど、山崎さんが「広告配信」で出られていて、「おお、こんなところで会うなんて」みたいな話をしましたね。

hidek:なるほどね。最初、紀平さんの自己紹介からぜひ。リスナーの方に、まだ、ご存知ない方もいらっしゃると思うので、ぜひ自己紹介の方をしていただけると。ごめんなさい。順番が逆になってしまいました。

紀平:とんでもないです。よろしくお願いします。紀平拓男と申します。私の自己紹介をする場合は、「過去にたくさん会社を作りました」という生き方をしているんですけれども。私、過去に3社、会社を起業しておりまして。最初に起業したのがちょうど20歳のときになるんですかね。大学在学中だったんですけれども、そこで最初の会社を作りまして。そのあと、IBMの東京基礎研というところにいて、そこから次の会社を設立して、その会社をDeNAに売却したんですね。そして、DeNAでしばらく働いたあとに、また次の会社を設立して、その会社をスマートニュースという会社に売却しまして、現在、スマートニュースで働いている、というようなことをやっております。

hidek:紀平さんの専門領域というのは、Web、JavaScript。

紀平:そうですね。

hidek:ずーっとこの領域ですよね。

紀平:もう20年近くになるんですかね。最初に「この領域がすごい」と思ったのが2001年だったので、そう考えると20年目ですね、ちょうど。

hidek:うーん、すごい。ひとつの技術に20年、すごいですね。

紀平:いやー。お恥ずかしいですね。

hidek:(笑)。

紀平:IE 5.5とか5とかの時代ですよね。なつかしいですね(笑)。

hidek:(笑)。そう考えると、JavaScriptもすでに20年以上、っていうは、それはびっくりですね(笑)。

紀平:そうですね。98年とかになるんですかね。JavaScriptの3ですか、かそれくらいだった気がしますね。

紀平さんとhidekさんとExGame

hidek:そうですね。で、紀平さんと僕の接点というのが、DeNAでご一緒させていただいた、っていうのがありますよね。

紀平:僕の上司です!(笑)

hidek:(笑)。そうですね。上司というか、レポートラインの……。

紀平:レポートラインの上の方にいる感じで(笑)。

hidek:恐縮でございます。あんまり上司的な扱いを受けた記憶はないんですけど(笑)。

紀平:僕も部下的な扱いを受けた覚えがないんでしょうがないですね(笑)。

hidek:すみません、すみません(笑)。当時、2011年なので、ちょうどソーシャルゲームのブームが来る中で、っていうところで。

紀平:はい。

hidek:僕がモバゲーのオープンプラットフォームのマネジメントをしていて、そのラインで。あのときはBroadtailのExGame。

紀平:そうですね。私が2つ目に作った会社がBroadtailっていう名前なんですけど。その会社で作っていたのが、JavaScriptによるFlashプレイヤー。

hidek:はい。

紀平:ランタイムエンジンということで、その名前がExGameっていう名前で出しておりまして。それをDeNAに大変高く評価してもらって、買収されて、hidekさんの部下になった、という感じですね。

hidek:そうですね。あのおかげで、僕もだいぶお給料が増えたので、本当にありがたい話です(笑)。

紀平:それはいいですね(笑)。

hidek:そんな紀平さんと、今日はいろいろお話を伺っていければいいかな、と思っています。

紀平:はい。よろしくお願いします。

学生起業をした背景

hidek:自己紹介の中であったのが、やっぱり起業。言い方があれですけど、シリアルアントレプレナーというところで、すごくたくさんの会社を立ち上げて。で、一番最初の会社、僕も存じ上げてなかったんですけど、Swiftという会社を立ち上げて。学生のときにやってたんですかね?

紀平:はい。そうです。ちょっとこれ話すと、別に長くはないんですけど。私、大学に入って、学生起業されていた会社にバイトで入ったんですね。

hidek:ふーん。

紀平:はい。当時、学生社長と、もうひとり、取締役に川口耕介さんっていうJenkinsの方がいらっしゃって。

hidek:はいはい。

紀平:そこでXMLエディターを、Windowsのクライアントを作っておりました。

hidek:おー、なつかしい!

紀平:いや、本当に。MSDLが20万とか30万とかした時代なんですけども。

hidek:ですよねー。

紀平:で、そこの会社でしばらく働いていたんですけども、社長が「就職が決まったので会社を解散します」と(笑)。

hidek:おー(笑)。

紀平:まあ「学生起業あるある」なんですけどね。はい。

hidek:聞いてると「何を言ってるんだ」って感じですけど(笑)。

紀平:たしかに(笑)。で、会社が解散しまして。ちょうど夏休みの前だったんですよ。それで、夏休みに川口さんに誘われて、オーストラリアでインターンで1ヶ月間働いてたんですね。

hidek:はい。

紀平:で、帰りの飛行機で、「もし、会社名義が余ってるんだったら僕にくれませんか?」って言ったんですよ。

hidek:はいはい。

紀平:そしたら「いいよ、あげるよ」って言われて、その会社がSwiftっていう名前だったんですね。

hidek:あ、そうなんですねー。すごい。飛行機の中で会社の譲渡が決まってしまう、っていう(笑)。

紀平:(笑)。まあね、会社なんて所詮、作るのなんて簡単ですからね。ただの箱みたいなものなので。なので、名前もそのままいただいて。『ガリバー旅行記』のJonathan Swiftから取ってる、っていう風に聞いてますけど。

hidek:あ、そうなんですね。

紀平:はい。それをそのまま使って、私たちも友だちを集めて、いわゆる自宅開発の会社を作っておりました。

hidek:うん。なるほどですね。JavaScript・HTMLを愛してやまない紀平さんが、SwiftっていうiOSプラットフォーム上の言語の名前をやってた、っていうのは、結構面白いですね、これ(笑)。

紀平:いやいや。やつらが真似したので、僕は知ったこっちゃないんです(笑)。

hidek:時系列的にはそうですね(笑)。

紀平:はい。ただ、当時は、Javaの開発の案件がやはり多くてですね。あまり覚えてないんですけど、いろいろなフレームワークがありまして。JavaBeansとかが全盛期だった時代で。なんでしたっけ、Strutsとかを使ってた。はい。

hidek:2001年から2004年くらいだと、そうですね、Strutsの本当に1.……。Javaだとバージョンどれくらいなんですかね、5?

紀平:いやいや、1.2とか1.3とか……。1.5とか? 当時はJava 3,4とかですか。あんまり、ちょっと覚えてないですね。

hidek:うんうん。

紀平:で、いわゆるよくあるJava、もしくはPHPとかも当時3とかだったんですけど、の仕事はすごく単価がよくてですね。でも、あんまり面白くなかったんですけれども。単価の安い仕事は面白いんですよね。「独自CPUを作ったので、そのデモのプログラムを作ってくれ」みたいな案件だったり。

hidek:はいはい。

紀平:本当、4ヶ月で20万とかで結構泣きたくなる案件だったんですけど(笑)。

hidek:(笑)。

紀平:あれは楽しかったなー、とか、そういうのはありましたね。

hidek:なるほどねー。

紀平:ただ、所詮、自宅開発だったので、「自分たちで何かを作って、それを世に届ける」ということを、結局、最後までやらなかったのがすごく心残りで。やれるだけのメンバーが集まっていたのに、会社の安定……。会社って言ってもね、すごくおこがましい、ただの学生がちょっと遊んでいるようなものだったんですけども。そちらの安定を取って、結果として、ただ作るだけの会社、自分たちのなんらかのサービスみたいなものには、結局、最後までチャレンジしないままおわってしまったのが心残りでしたね。

hidek:なるほどですね。で、Swiftというその会社を3年くらいやっていて、一旦、会社に入る形になって、フリーランスを経て、また、新しく会社を立ち上げるわけなんですけど。なんかきっかけとかあったんですか?

リーマンショック直前に2社目を起業

紀平:そうですね。Swiftというのも、「みんなの就職が決まったのでそろそろやめようか」みたいな感じで(笑)。実は僕、まだね、Swiftの社長なんですけども。活動は全然していない、ペーパーカンパニーとして残っているだけなんですけど。で、そのあとちょっとIBMにいったんですね。IBMの東京基礎研というところにちょっと入りまして。JavaScriptによるJavaのバーチャルマシンの開発にちょっと参画したことがありまして。で、それ関連の研究の延長線、という形でIBMの東京基礎研でJavaScriptの研究みたいなものにちょっと参加させていただいていました。

hidek:なるほどですね。

紀平:これ、最初は学生インターンでやってたんですけれども、途中から「職歴に書けるようにしてあげるよ」って言われて、客員研究員みたいな形に格上げにしてもらったんですよ。代わりにすごく給料落ちたんですけど。はい(笑)。

hidek:(笑)。

紀平:で、いろいろな刺激もあって「留学しようかな」と思ったんですよ。

hidek:はいはい。

紀平:で、留学するために「推薦状とか集めなきゃなー」というので、いろいろと準備をしていたんですけれども。そのときに、ちょうど友だちとかと話している中で、ガラケー全盛期だったので、「ガラケーの上で動く、プログラムをインストールしなくても動くようなプラットフォームを作ればいいんじゃないか」という話になって。留学はいつだってできるけれども、メンバーが集まるタイミングって滅多にないので、これは先に起業しようかな、と思って起業を選んだ、っていうのが次の会社、Broadtailですね、の設立のそもそもの発端となった話でした。

hidek:なるほどですね。じゃあ、もうこのころから、いわゆるWebプラットフォームというか、Webによるより自由な世界、みたいなところに魅入られて、みたいな。

紀平:僕、もともと、本当にちっちゃいころからコンピュータを触っていて。当時、BASICって、コンピュータ起動すればすべてのマシンにBASICが入っている、みたいな世界だったので。あれが大好きだったんですよ。

hidek:はい。

紀平:ところが、90年代後半とかに、そういうのが全然なくなっちゃって残念だと思ってたところ、「ブラウザの中ですべてJavaScriptが動くって素晴らしいじゃないか!」「これはBASICみたいなものだな」と思ってそっちに入ったんですが、今度は携帯になったらまたJavaScript動かなくなっちゃって、ガラケーで。「でも、Flash Liteってものがあるじゃないか」ってことで、「そこに今度は、またちょっとかけてみよう」と思った流れでしたね、当時は。

hidek:はいはい。なるほどですねー。で、Broadtail、起業して。これ、2008年ですか?

紀平:起業した瞬間にリーマンショックをくらったのでよく覚えています。2008年です。

hidek:ですよね。2008年。そうですよね。大変だったんじゃないですか、これ。

紀平:いや、本当にひどかったんですよ、当時は。大体どんな不景気でも、コンピュータの業界のどこかでお金が動いているものなんですけど、このときは、本当にどこもかしこもお金が止まっていて。

hidek:えー。

紀平:本当にツイてなかったですね。

hidek:これ、起業したときには、すでに例えば案件を抱えていて、みたいな感じだったんですかね?

紀平:違います。これは、プルーフ・オブ・コンセプト(PoC)を作って、これをどんどん売っていこう、というようなタイミングだったので。

hidek:あー、なるほど。

紀平:はい。最悪でした。

hidek:じゃあ、融資もなかなか受けられない。導入もなかなか難しい。結構、ある程度、PoCだと余裕がないとなかなかできないでしょうから。

紀平:そうなんです。はい。どこの会社に持っていっても、「今、それどころじゃない」みたいなことをやんわりと言われる、みたいな形でやってたんですけど。リクルートさんに導入を決めていただいて、それで一息ついて、本当に助かりました。

hidek:これは、ExGameの前身的なものをリクルートが導入してくれたんですか?

紀平:いや、これはね、結構、ExGameとはかけ離れておりまして。どちらかと言うと、プログラミングのHyperCardみたいなやつをFlash上で展開できないか、みたいな形で作っていたもので。それによって作られた、例えば「写真スライドビューアー」みたいなのあったりするじゃないですか?

hidek:あー、はいはい。

紀平:ああいったものをガラケーで簡単にササッと作って、自分の好みのカスタマイズができて、みたいな。そういうようなツールというか商品でした。

EXITを目指すも東日本大震災でまた一波乱

hidek:なるほどですね。で、そこからExGameというのを作っていくわけなんですけど。これも何かきっかけとかあったんですか?

紀平:ありました。大体2年ちょい経った辺りで、やはり、もう全然世の中がそっちの方向に動かないし、お金も全然回らないし厳しいね、って話になってきてですね。当時、ベンチャーキャピタルから出資を受けていたんですけれども、「EXITを考えなさい」ということをですね、かなり強く言われるようになってきたんですね。

hidek:はい。

紀平:それで、EXITから逆算してですね、「今、お金が動いている業界どこだろう?」という風に考えたときに、当時、ソーシャルゲームがすごく動いていて。ほかにも「魔法のiらんど」とかね、あそこら辺も、結構、当時は盛んだったんですけども。すごく伸びている業界としては、ソシャゲー業界がすごかったな、というのがあって。「そのソシャゲー業界で必要とされる技術みたいなものってなんだろう?」って考えたときに、ちょうど、スマートフォンがちょいちょい出てきてころだったんですよ。2010年くらいですか?

hidek:そうですね。

紀平:まだ、シェアとしては10%とかだったような気もしますけども。

hidek:うん。

紀平:なので、今後これが伸びてきた場合に、特に「iPhoneにおいてFlashプレイヤーが動かない」っていうのが、きっとソーシャルゲーム業界にとってなんらかの障害になるであろう、という風に思っていてですね。で、私はずっとそういう製品を作ってきたので、Flashにはすごく詳しくて、かつ、JavaScriptは昔からずっとやっている、と。そういうところをすべて組み合わせると、JavaScriptでFlashプレイヤー作ったら売れるんじゃなかろうか、と。

hidek:うんうん。

紀平:と考えて、そちらの開発に乗り出したのが2010年の11月でしたかね。みたいな感じだったと思います。

hidek:あ! 結構、じゃあ、会社を立ち上げてからだいぶ経ってからなんですね、あれ。

紀平:そうなんですよ。2年半くらい経ってからですね、ホント。

hidek:そうなんですねー。それきっかけで起業して、そこをバンバン売っていくようなプランだったのかと思ったんですが、結構、じゃあ、起業してからしばらく経ってから、「ニーズに追われて」というか。

紀平:(笑)。まあ、そうですね。やはり、出資を受けている以上ね、EXITをするというのは至上命題でもありますので、「そのために何ができるかな」というのでやっていた、というのが正直なところです。

hidek:ちょうど僕がそのとき……。僕がDeNAに入社したのが2009年なんですよ。

紀平:はい。

hidek:2009年の7月ですかね、に入社して、いきなり1ヶ月足らずで「オープンプラットフォームを立ち上げるから、お前、リードしろ」って話になって。

紀平:はい(笑)。

hidek:プラットフォームを半年くらいで立ち上げる羽目になったんですけど。で、立ち上げたのが2010年ですよね。で、最初はガラケー向けの、いわゆるポチポチソーシャルゲーム、『怪盗ロワイヤル』、のプラットフォームを、いわゆるサードベンダーのゲームデベロッパーに提供させてもらって。

紀平:はい。

hidek:で、まあまあ、そこはある程度成功して、市場も広がって、いろいろなゲームカンパニーが、いろいろなゲームを出してもらって。で、よかったんですけど、そうですね、ちょうど2010年くらいですかね、iPhone 4とかが出てきて、「いよいよスマートフォンが普及していくぞ」っていう中で、当時、「Flashなどで作っていたものが動かなくなるけど、どうしようか?」みたいな、結構困っていたところがあって。その過程で普通にお声をかけさせていただいたんじゃないかなー、という風に思ってるんですけど。

紀平:いや、違うんですよ。これ、私の方から売り込みに行ってますね。

hidek:あ! そうなんですねー。

紀平:そうなんですよ。作って、ある程度動くものができてですね、それをどう……。最終的には「会社買ってください」っていう風に言いに行かなきゃいけないんですけど、買ってもらうために、ということで料金表を作ってですね、「こんなプランでこの技術を使いませんか?」みたいなものを持って行ったんですよね。

hidek:なるほど。

紀平:はい。

hidek:そのころ、僕ってマネージャーでもなんでもなくて、ずっとメンテナンスとかサーバーサイドのことをやっていたので、あまりこのディールをあまり実はよく知らなかったりするんですけど。

紀平:はい。

hidek:それこそ、守安さんとか川崎さんを対面にして、って感じですかね?

紀平:いや、それがね、そんなことはなくて、当時はエンジニアの方が出てきたんですけど、なぜかその中にコバケンさんが入っていて。

hidek:ほう(笑)。

紀平:はい(笑)。で、そのコバケンさん、当時、DeNAの、立場なんだったかな、ちょっと覚えてないけど、最終的には……。

hidek:人事じゃなかったかな、当時。

紀平:人事ですかねー、コバケンさん。じゃあ、なんでいたんだろう?(笑)

hidek:いや、違います違います。人事じゃないですね。投資とかそっちの方でしたっけ?

紀平:あー、かもしれないですね。そういう肩書きだったと思いますね。

hidek:なるほどなるほど。

紀平:で、なぜか出ていらっしゃって。で、私、そもそも製品として売るつもりはなくて、会社を売るつもりだったので、無茶苦茶高い料金を書いてたんですね。

hidek:(笑)。

紀平:いくらか忘れましたけど。「普通に払ったら会社倒産するよね」みたいな金額を紙に書いて持って行ったんですけども。コバケンさんは、本当、「この金額は私の決済を超えるのでここですぐ進めることはできないんですけど、むしろ会社を売りませんか?」っていう風に言っていただいて。

hidek:へー。

紀平:いや、本当にあの人優秀だな、って思いましたね(笑)。

hidek:願ったり叶ったりじゃないですか(笑)。

紀平:そうなんですよ。だから、そこからは本当にすんなりと話が進んで、お陰ですごいスピード感を持って進んだ、はずだったんですけど地震があったんですよね。

hidek:あー、なるほどね。そうか、2011年。そうですよね。

紀平:そうなんですよ。で、普通、M&A案件って、早ければ2〜3ヶ月でおわるものなので、僕らもそれくらいの速度感でやっていこうと思ったら、本当に3月11日ですよね、2011年の。

hidek:そうですね。

紀平:はい。あの地震で一気に「すみません、ちょっとストップで」って言われてしまって。

hidek:わあ。

紀平:まあ、何が起きるかわからないですからねー。どっち方向に転がるかもわからなかったので。仕方ないとは思うんですけど、辛かったですね。

hidek:なかなかすごい会社ですね。リーマンショックで始まって、東日本大震災で閉じるという(笑)。

紀平:(笑)。そうなんですよ。本当にツイてないなーと思いながらやってましたね(笑)。

そしてDeNAにジョイン

hidek:なるほどね。でも結果、DeNAにジョインしていただく形ということでディールも結ばれて。

紀平:はい。そうですね。7月1日からですね。DeNAに参加しました。

hidek:そうですよね。で、ExGameもオープンプラットフォームで提供させていただいて。本当にあれのお陰で、結構、DeNAって、当時、ネイティブアプリケーション化っていうのはすごく遅れていて。やっぱりガラケーのWebゲームというところで、「あぐらをかいていた」ってちょっと言い方があれなんですけど、そこの資産というのにおんぶにだっこになっていて。で、それがそのままスマートフォンにいける、っていうところで、かなりそこは助かった、っていう記憶があるので、本当に、さっきも言いましたけど、はい、僕、紀平さんのお陰で、僕、出世できたようなものなのでありがとうございます。

紀平:(笑)。いや、とんでもないです。僕ね、「売り上げの0.1%を僕にください」って言ったんですけど、怒られちゃいましたね(笑)。

hidek:(笑)。

紀平:すごく使われまして、本当によかったです。

hidek:いやー、そうですよね。めちゃくちゃ多くのゲームに使っていただきましたよね、あれ。

紀平:DeNAのゲームもさることながら、サードパーティの方々にはすごく使っていただいて。いやー、うれしかったですね。

hidek:最初に使ったのって『ガンダムロワイヤル』? じゃないや。なんでしたっけ?

紀平:いや、そうです。『ガンダムロワイヤル』に使っていただいて。そこで結構な……。当時、3GSだったんですよね。対象が。iPhone 3GSで12FPSが達成できるかどうか、という、結構辛い条件だったんですけど、そこを達成できて、それで一気に弾みがついて、いろいろと使っていただいた感じでしたね。

hidek:なるほどですね。



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