犯罪を犯してしまった人
犯罪を犯してしまった人をどうするのが良いか は難しい課題である。
大きな事件が起きるたびに話題となるものの、本当に大切なのは多くの(比較的)軽い犯罪を犯してしまった人をどうするかということに気が付かせてくれる本である。
刑務所に入る人はごくわずか
判決が確定した人の77%は罰金刑のみで、懲役刑になるのは20%のみ。
しかもその61%は執行猶予がつき刑務所には入らないで済む。
犯罪を犯してしまった人のほとんどは、逮捕から保釈までの間は身柄を拘束されるものの、刑務所に行かずに他の人と同じように生活を続ける。
我々は意識していないだけで犯罪を犯してしまった人と普通に生活をしているわけである。
罰を与えるだけでは変わらない犯罪が多い
犯罪に良い悪い、重い軽いと区別するのはどうかと思うものの、新たに受刑者になってしまった人の犯罪はかなり特徴的である。
窃盗と覚せい剤が圧倒的に多い。
窃盗は生活に困ってやってしまう人もいれば、依存でやめることができなくなってしまう人もいる。
覚せい剤は初犯以外の人のほとんどは依存症である(売人は例外)。
窃盗や覚せい剤は逮捕して刑務所に入れておくだけで改善することはほとんどない。
依存に注目した治療・支援体制を作ることが不可欠である。
支援を必要とする人が多い
本の中でも最近の傾向として
・高齢化
・知的障害、精神障害の増加
・生活困窮者の累犯者化
が目立つと書かれている。
高齢化し日々の生活すら難しくなっている人
障害があり元々生活が難しく感情のコントロールが難しい人
食べるものにも困っている人
これらの人を、刑務所にしばらく閉じ込めておくだけでは何も変わらないし、世の中に出てもしばらくすればまた同じことを繰り返すだけである。
これから必要なこと
ではどうしたらいいか、本の中ではあまり語られていない。
更生支援計画書を立てて多くの人が関わり支援する体制を整えた人の話がいくつか紹介されているだけである。
個人的には被害者になったこともあるので被害者の気持ちも多少はわかるつもりである。
犯罪を犯した人を支援する暇と金があったら被害者を救済してくれ!
被害者をまともに救済していないくせに何を言っているんだ!
といいたい。
しかし、軽い犯罪を犯してしまった人に限れば、支援することによって今後の犯罪を減らすというのは理にかなっている。
とはいえ多くの課題が残っている。
・誰が支援体制を整えるのか?
少なくとも裁判所ではない
・誰が金銭的負担をするのか?
今は有志が善意から頑張っているものの続けるのは難しいし、地域によって差が大きいのは望ましいことではない。
・支援体制を強要はできない
留置所にいる間はおとなしく反省して、「みんなの言うとおりにします」と言いながら、社会に出たとたんに指示を無視する人は当然いる。
・支援体制があることで刑が軽くなるのは法の下の平等といえるのか疑問
しかし家族が「責任をもって監督します」とできもしないことをいうだけで刑が軽くなることがある現状では問題ないのかもしれない。
どうやって犯罪を起こしてしまいそうな追い込まれた人を減らすか、どうやって再犯を予防するか、ということは今後 真面目に考えなくてはならない課題である。
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